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November 03, 2012

「はいまわる経験主義」についての参考資料

職場に「生活科の学習の成立と評価」(日本教育新聞社)という書籍があった。
平成3年初版、上越市立大手町小学校著、平成元年に生活科が導入されたことを受けた実践と理論の書である。
とはいえ、7月に上越に行かなかったら、気にも留めず、手にすることもなかったと思う。
上越は生活科をリードしてきた地域だと、知人の先生が教えてくれた。
上越でお会いした先生も、生活科に携わってきて学習指導要領の作成にも関わったとのことだった。

さて、この中に「はいまわる経験から価値ある経験へ」というページがある。

①社会科(戦後の新教育運動)
②生活科の導入
③「総合的な学習」の導入
④「言語活動の充実」の導入

と、何度か「はいまわる活動」との指摘がされてきたが、「聞きかじり」程度であって、確かな知識はなかった。

「はいまわる」を口にするには、とても貴重な解説であった。

◆アメリカの経験主義教育を理論的基礎としながら登場した戦後の新教育運動が、なぜ「はいまわる経験主義」と批判されたのかを検討する必要がある。

と見出しにある。

○新潟県上越地方で明治期より「郷土科」を新設し郷土の自然や社会にかかわる直接体験を重視した教育を推進し、戦後も一貫して生活教育を主張してきた新潟大学教育学部附属高田小学校(現上越教育大学)の実践をひもといた。さらに奈良女子高等師範学校附属小学校、そして川口プラン桜田プランなど、戦前、戦後の教育運動史を分析してみることにした。

そして、
【戦後の新教育運動の中で遺産として残されたもの】
 授業とは、教師の活動である教授と子どもの活動である学習とが統一された営みにあるということは一般的にいわれていることである。
 ところが、過去の日本の教育を振り返ってみた時、この当然の営みが、必ずしも調和のとれた関係になっていなかった時期が存在したことも歴史上明らかなことである。第2次大戦中や、戦前におくる超国家主義と注入、詰込み主義中心の時期においては、まさに、教師の活動が全面的に主張された。
これに対して、教師中心主義を批判する立場で戦後に展開されたのが、アメリカの経験主義教育論を理論的背景とした児童中心主義の教育であった。
 ここでは、それまでの教師中心の授業に対して、あまりに実生活からかけはなれ、子どもたちの興味・関心を軽視していた点を指摘されたのである。
 そして、学習は、「生活により経験から学ぶ」ものであり、「為すことにより学ぶ」ことであるとされ、子どもの経験や興味・関心を根底とした自発的な活動が重視されたのであった。
 しかし、この時期、教師による一方的な知識注入を指摘することは正解であったものの、それがあまりに子どもの興味関心や身近な生活経験を重んずるあまりその反動として教師の指導的役割が軽視されることとなった。それが後には、世間一般より、現状適応主義、「はいまわる経験主義」等の批判を受けることになり、結果として基礎学力の低下などの社会問題を引き起こし、新教育運動は衰退の道を歩んだのであった。

【戦後新教育運動より生活科へ生かすもの】
 アメリカの経験主義教育論を理論的背景にした、戦後の新教育運動は結果として「はいまわる経験主義」などの批判を受け、系統学習が主張されるようになった。
 しかし、新教科生活科が誕生した現在において当時の実践を見直した時、そこには、生活科が学ぶべき多くのものが存在していることに改めて気付くのである。
 特に重要なことは、「為すことによって学ぶ」教育の重要性である。
 「はいまわる経験主義」などと、経験学習に向けられた当時の批判は、実はデューイの経験のとらえが子どもの生活の領域に限定され、子どもの活動が絶対化された点に対して向けられたものであったというとらえである。
 子どもの生活経験に根ざした興味・関心を重視し、子どもの自発性を軸にした問題解決的な学習活動を活発にしたこと。そして、生きてはたらく各学年ごとに独自なプランを作成し実践した戦後の新教育活動。この戦後の新教育運動を、生活科を実践しようとするわれわれは、もう一度、価値ある教育活動として、子どもの活動と教師の活動との調和の赤で見直す必要があることを確認したい。

なお、新教育運動の遺産として次のプラン名が紹介されている。
 東京「桜田プラン」「豊島プラン」
 神奈川「福沢プラン」・千葉「北条プラン」
 新潟「新潟プラン」・奈良「奈良プラン」
 兵庫「明石プラン」・広島「本郷プラン」

関連書物の一部
 Jデユーイ・帆足理一郎訳「戦後初期「社会科」とJ・Dewey」春秋社1959
 森昭「経験主義の教育原理」金子書房1952
 斉藤勉「デユーイの教育的価値論」福村出版1980


・・・【戦後新教育運動より生活科へ生かすもの】の項目の主張は、その後の「総合的な学習」にもつながっていく。
生活科の具体的な活動である「見る、調べる、作る、探す、育てる、遊ぶなどの学習活動であり、また、それらの活動の様子や自分の考えなどを言葉、絵、動作、劇化などによって表現する活動である」
「言語活動の充実」は、本来教科のねらいに即した活動であるが、「話し合う」「模造紙にまとめて発表する」というような直接体験の繰り返しだけが十分な指導もなく繰り返されることで「はいまわる経験主義」(学力低下)と批判されている。

前掲書には、文部省生活科指導書を引用部がある。
「もちろん、直接体験をすれば即多くのことを学べるということではない。むしろ逆である。間接体験は整理されている分だけ学びやすいが、直接体験は学びにくいのである。」

言語活動にトレースすると次のようになるだろうか。
「もちろん、音声言語の活動をすれば即多くのことを学べるということではない。むしろ逆である。文字言語体験は整理されている分だけ学びやすいが、音声言語体験は学びにくいのである。」

この書に限らないと思うが、そもそものねらいや願い・目的などをひも解いてみると、非常に参考になる部分が多い。
たとえば本書では文部省生活科指導資料による生活科学習指導のポイントが6点挙げられている。

①教科としての特徴を理解すること
②学習場面における教師の役割を理解すること
③学習意欲を喚起すること
④多様な活動を体験させること
⑤個に応じた学習指導をすること
⑥自分自身に目を向ける学習指導を進めること

どの教科でも同じことが言える。
当たり前の内容かもしれないが、改めて自分たちの教育実践を振り返る鋭い指摘である。

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Comments

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