全国学力調査 6学年国語Aの【4】問題
「見れた」「見られた」の使用状況を示した世論調査の結果について答える問題。
しかし、いきなり「見れた・見られた」の使用状況の表を提示されても、それが「ら抜き言葉」の例示だと分からない児童が多いと思う。
世論調査の表と年代ごとの考察を元に、
「16さいから60さい以上までの『見られた』と『見れた』のわり合のちがいをまとめると・・・・」
に続けて、40字以上50字以内でまとめる問題がある。
これは、要約の力が求められる。
問題中に、次の表記がある。
(1)16さいから19さいまでのわり合では,「見れた」が「見られた」を大きく上回る。
(2) 20代,30代でのわり合においても,16さいから19さいまでのわり合と同じようであることが分かる。
(3) 50代でのわり合は,「見られた」と「見れた」の差が1ポイントで,ほぼ同じである。
(4) 60さい以上でのわり合を比べると,「見られた」が「見れた」を上回る。
この4つの記載を50字以内にまとめろという設問だ。
実際に模範解答を見ないで、解いてみた
まず、4つの年代に分かれた4文を、分布割合で統合させる。
◆16さいから19さいまで・20代,30代でのわり合では,「見れた」が「見られた」を大きく上回る。
◆ 50代でのわり合は,「見られた」と「見れた」の差が1ポイントで,ほぼ同じである。
◆ 60さい以上でのわり合を比べると,「見られた」が「見れた」を上回る。
次に、各年代を15文字程度に縮めてみる。
◆30代までは,「見れた」が「見られた」を大きく上回る。
◆50代ではほぼ同じである。
◆60さい以上では「見られた」が「見れた」を上回る。
これでは、50文字超えるので、思い切って50代を切って一文にする。
◆30代までは「見れた」が「見られた」を大きく上回るが、60さい以上では「見られた」が「見れた」を上回る。
・・・これで50文字。ちょっと気になるので削ってみる。
◆30代までは「見れた」が多いが、60さい以上では「見られた」の方が多い。
・・・40字を下回ったので削りすぎで×。
◆30代までは「見れた」が「見られた」より多いが、60さい以上では「見れた」の方が多くなる。42文字
・・・こんなところか。
解答を削るのは勇気がいる。
とにかくこの問題を解くカギは大胆な要約力=大胆に削る決断力であると実感する。
さて、模範解答を見る。
「やられた!」
◆年代が上がるにつれて,「見れた」を使うわり合よりも「見られた」を使うわり合が大きくなることが分かる。(五十字)。
・・・「年代が上がるにつれて」という言葉で分布結果をまとめるのは、算数や社会なら容易だが、国語の問題ということで、ためらってしまった。
英断を下さないと「年代が上がるにつれて」といった文中にない言葉は使えない。
さらには文末。
「~ことが分かる」とある。
「全体から分かること」のまとめであるから、
「16さいから60さい以上までの『見られた』と『見れた』のわり合のちがいをまとめると・・・・ことが分かる」
というのが、全体構造になる。
テストの答え方をきちんと指導しろと主張していながら、自分は文末を意識しはなかった。
「年代が上がるにつれて」を使わず、「ことが分かる」でまとめなかった自分の解答は、どう採点されるだろうか。
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