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May 18, 2013

寝てゐても団扇の動く親心

4月の教え方セミナーの中で、この川柳で、模擬授業があった。

(1)「寝てゐる」のは誰か

 定番の発問は、これである。

 A:親が寝てゐる
  B:子が寝てゐる

というように、答えが2つに分かれて討論が白熱する。

 しかし、よーく考えると、「親が寝てゐる」状況と、「子が寝てゐる」状況は対立しない。

  A:親○ 子×
 B:親× 子○
 C:親○ 子○
 C:親× 子×

の組み合わせを考えれば、Dの「親×子×」を除いて3通り成り立つ。

 A:親が寝てゐる
・・・寝ながら子どものためにうちわを動かしている。

 B:子が寝てゐる
・・・親にあおいでもらっている。

 C:両者寝てゐる
・・・子が寝つくまで、うちわをあおいでいるうちに親も寝てしまった。

 逆に言えば、

◆子どもが寝てゐるかどうかはどちらでもよいが、親は寝てゐる。
自分が寝てしまっても、なお、子どものためにうちわを動かすその姿が「親心」なのだから。

という解釈が成り立つ。

(2)話者は誰か

という発問は聞かれたことも考えたこともなかったが、模擬授業中に考えた。

A:親が自分で「寝てゐても団扇の動く親心」とは語らない。話者は親ではない。

B:第三者が話者なら、「寝てゐても団扇の動く親心」だなあという感慨は成り立つ。

C:起きている子どもが話者なら、寝てしまっても団扇を動かす親の姿をみて「親心」だなあと感慨にふける姿は成り立つ。もちろん、子どもが寝てゐると解釈するなら、子どもは、話者にはならない。

というわけで、(1)を聞かれた時の、自分の意見は、次のようなものだった(ただし、言葉足らずだったので伝わらなかった)。

※誰が「寝てゐる」かは、話者が誰かによって変わってくる。
 話者が子ども(子どもが起きているならば)、「寝てゐる」のは親である。子どもは寝ていない。
 しかし、第三者が話者なら、「寝てゐる」のは、親でも、親子でもよい。
 いずれにしても、少なくとも、親が寝てゐなければ、この川柳の主題には合致しない。

(3)この場面は昼か夜か

 もう20年以上前に、自分が小学校6年生に実践したときの主発問は、これだった。
 季節は夏だから、寝る場面が昼でも夜でも成立すると考え、二者択一で考えさせた。
 話し合いの意見を聞いていると、個々のイメージが分かれていることが明らかになってくる。

・時間帯は、いつか?
・この場合の「親」は、誰のことか?
・子どもは、男か、女か、いくつくらいか?
・子どもは、寝ついたか、寝ついていないか?
・どこで寝ているのか?
・どんな音が聞こえてくるか?

 そのような個々のイメージを確定させて、1つのお話(日記)にしてみようという活動をさせた。
 古い話で、児童の作文例のデータがない。
 たしか『現代教育科学』に書いた。
 GWに実家に探しに行ったのだが、見つからなかった。残念!

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