よりよい交流活動のための手立て
光村図書の「国語教室 小学校版No75」の中に、「交流活動を充実させる教師の働き」という提言がある(P6.7)。
椙田萬理子氏の提言を抜粋すると
①交流活動の前に大事なことは、書く活動を取り入れ、自分の考えをもてるように時間を保障することである。
・・・逆に言うと、自分の考えも十分持たせていない状態で「相談しましょう・話し合いましょう・交流しましょう」という授業はダメですよ、ということだ。
教師すら、明快な意見をもたないまま「とりあえず交流」などさせたところで、ゴールがない。
自分の考えを持たせるための一番の方法は、「書かせる」ことである。書いてあれば、「ぼくもそう思ってた」のような後出しジャンケンも回避できる。
「○○だと思います。みなさんどうですか?」
「さんせーい」
といったやりとりでは、本当に賛成だと思っているのかどうかも疑わしい。
②交流活動は、学び合いであり、聞き合いである。友達の考えを聞いて、自分の考えの不備や不十分な点を補ってもらう時間だという意識を児童にはっきりもたせたいものである。
・・・「言いっ放しではだめですよ」ということだ。賢い子の中には、自分の意見を言ったら満足してあとは聞いていない子もいる。他者の意見をきちんと参考にして、自分の意見をよりよいものに整備していくことが集団教育のよさだ。
「パクリ」などといったマイナスの言葉もあるが、人の意見を参考にすることはとっても大事な行為である。なんといっても「学ぶ」は「真似る」なのだから。
③交流活動の後に大事なことは、聞いてどうだったかを振り返るために、書く作業を取り入れることである。
・・・②と重なるが「いくら自分の意見がよかったとしても、交流後に変容しないようでは、学びがない」ということだ。
自分の意見を固執するのではなく、柔軟に他者の意見を受容する寛容な態度が大事である。
言うのは簡単だが、実際はなかなか難しい。
④なんのために交流活動を行うのか、そのねらいを児童に伝えること
・・・冒頭にも述べた。「とりあえず話し合いさせてみよう」といったイージーな設定では、子どもに力は付かない。
さて、椙田氏の提言にはないが、どうしても加えておきたいのは
・子どもの意見を十二分に想定しておくこと、
・どの程度の意見を望むかを明確にしていくこと
・意見の質が低くとどまった時は、次の指導の手を講じること
いわゆる「評価基準」の設定であり、「指導と評価の一体化」である。
どこまで子どもを伸ばしたいかが明確でなければ、子どもは伸ばせない。
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