マトリックスは複眼的思考である?
AかAでないかの二項対立では思考しにくいこともある。
その場合、マトリックスで考えると、整理できることが多い。
テキスト形式では示しにくいが、次のような分類である
◆ C | A
=======
D | B
(1)例えば「意欲」と「能力」
できるけど | できるし
やる気がない | やる気もある
=============
できないし | できないけど
やる気もない | やる気はある
A:「力も意欲もある子」は問題ない。
B:「力はないが、やる気のある子」は、がんばっていると評価できる。
C:「力はあるのに、やる気はない子」は、とにかくがんばらせたいが、ついつい嫌みも言いたくなる。
D:「意欲も能力もない子」は、まず力をつけて自信回復に努めなければならない。
このマトリクスには「話す」「書く」「運動する」「歌う」などの技能が該当する。
(2)
先の現職教育では、「能力」「意欲」とは別に、「潜在能力と顕在能力の有無」のようなものを考えた。
これは、「知能検査と学力検査」の差から生じるオーバーアチーバー・アンダ―アチーバーなどと呼ばれてきたから、特に珍しいものではない。
A:もともと力があり、今もその能力を発揮している
B:あまり力はないが、今のところはできている
C:もともと力があるのだが、今は成果が上がっていない
D:力がなく、成果も上がっていない
・・・特にCの本当はできるはずなのに、成績が上がらない子を、 「努力不足」「自信過剰」などと冷たく突き放すことは容易だ。
しかし、その子にとってのいろんな事情で汲んであげないと事態が解決しない。
まずは、クラスの中の、このCの子の点数を上げさせたい。
クラスの実態を分析する時、「成績の悪い子」について、
「やる気の有無はどうか」
「もともとの力の有無はどうか」
を考慮しないと、アプローチを誤ってしまう。
(3)
現職教育では「発言・発表」を分けて考えることも話題にした。
発言は、その場で意見を言うこと
発表は、準備してから意見を言うこと
A:発表も発言もできる子は問題ない。
B:準備して行う発表はできるが、即答が必要な発言の苦手な子がいる。
その場の発言は正解かどうかの自信がないとできないからかもしれない。
C:ペラペラ即答はできるが、原稿を書かせると全くできない子がいる。
話すことは得意だが、作文が苦手な子と言ってもいい
思いつきがよいのだが、まとめるのが苦手な子と言ってもいい。
D:発言もしないし、発表も苦手な子。
これは、発言・発表の力の問題もあるが、自分の意見にあってるかあっていないのか自信がない子1人で
残念ながら、発言も発表もできない子もいる。
挙手・発言できるかどうかが、よく評価の対象になる。
しかし、「発言」と「発表」は異なる。
きちんと分けて考えれば、個々の指導のアプローチも変わってくる。
(4)
発言と発表は「私的なおしゃべり」「公的な意見」ともよく似ている。
A:きちんとした話もできるし、おしゃべりできる
B:礼儀正しい話はできるが、ふだん友達とおしゃべりできない
中学校の演劇部の子の中には、普段無口なのに、舞台に出るとすごい発表ができる子が多かった。
C:友達とのおしゃべりは平気だが、礼儀正しい話はできない。
思いつきではペラペラ話すのに、ちゃんと立って言いなさいと言うと急に尻ごみしてしまう子とも言える。
放課はみんなと大声を出して遊んでいるのに、指名すると全然言えない子。
D:いつも無口
(5)
さて、『7つの習慣』の第三の習慣は、「重要事項を優先する」である。
◆第三の習慣・重要事項を優先する (Habit 3 Put First Things First)
第2の習慣を身に付けたなら、それを具現化し、自由意志を発揮し、毎日の瞬間瞬間において実行する。
価値観に調和した生活を送るために、効果的な自己管理を行う。
重要だが緊急でない活動を行う。 重要でない活動に対してノーと言う。
◆第三の習慣:重要事項を優先する
どうありたいかが決まれば、次はそれをどのように実現するかが大切になってきます。それが第三の習慣「重要事項を優先する」です。
ミッションステートメントに照らし合わせて「重要なこと」を優先する時間管理が求められるのです。
電話や会議や接待などの単に「緊急なこと」に振り回されることなく、また、遊びやテレビや待ち時間などの「重要でないこと」に流されることなく、「重要なこと」を優先するのです。
・・・これは、「重要性」と「緊急性」を組み合わせた、次のマトリックスを見ると分かりやすい。
A:「緊急かつ重要な用件」は当然優先される。
C:「重要でなくても緊急な用件」に、優先して片付ける期になる。
D:「緊急でもなく重要でもない用件」については、だらだら行ってしまう。
そして、問題なのが、Bの「緊急ではないが重要な用件」
実はこのBの部分には、将来の自分に役立つ自己改革などが入る。
本を読むことが大事だと分かってるけど、時間がない。
セミナーに行くことが大事だと分かっていても、時間がない。
自己啓発したいが、日々の生活に追われてしまう。
このように、緊急でないからと、つい後回しになる重要項目について、1日に少しでいいから取り組むかどうかが大きな差になるのだそうだ。
まさに「微差が大差」になるのである。
緊急事項をやるか、やらなかいかと問われればやった方がよいに決まっている。
しかし、そこに「重要か」という別のものさしを加えると、事情が変わってくる。
このように、自分のもつ単純思考を戒めるためにも、マトリックスで考えるような習慣をつけたい。
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