« December 2013 | Main | February 2014 »

January 26, 2014

休みの日こそ、しっかり学べ!

◆休みの日にリフレッシュするのもいいけど、授業の準備をしておいた方が気分がすっきりするよ◆

 休みの日にリフレッシュするだけが、リフレッシュじゃないというのは、かつて「ドラゴン桜」20巻から学んだ教訓だ。

※勉強でストレスを感じたからといって、一時的に勉強から離れて気分転換を図るのは、間違いなんだ。

※切羽詰まった時に勉強以外のことで、リフレッシュしても精神的に何の役にも立たないんだ。

※まったく別のこと・・・楽しいことをしてもストレスは消えやしないさ。

※ストレスの根本を取り去っていないので、休んで気分転換したつもりでも、目の前の問題は何一つ解決していないことに気が付き、逆に苛立ってしまう。

※本番直前になったら、結局・・・勉強で感じるストレスは、勉強で取り除くしかないんだ。
 問題を解いて解いて・・・勉強をやりまくって、やりまくって、自信をつけて乗り越えていくしかないんだ。

 「休みの日はしっかり学べ」は、「休みの日にはしっかり休め」よりも効果があるのだと思う。
 休日にでかけるセミナーの自分の感想も、

「明日からの元気をもらった」
「早く授業がしたい」
「疲れが吹き飛んだ」

などである。
 
 平日は、出力の連続である。
 休日に入力をしないと、すっからかんになる。
 休日に準備の貯金をしておかないと、翌週が、回らなくなる。 
 月曜煮の朝が憂鬱になるのは、その週の準備が不十分なまま、月曜日を迎えてしまったからだ。

  「休みの日には、しっかり学べ」は、「急がば回れ」のようなものだ。

 「忙しいから本を読まないのではない、本を読まないから忙しいのだ」と同じ発想ともいえる。

 さて、『プレジデント』の2月3日号に、「時間を浪費する行動のベースにある6つの心理」が紹介されていた。

①リラックスしたい。
②人とつながりたい(嫌われたくない)
③刺激がほしい
④嫌なことを忘れたい
⑤プレッシャーから解放されたい
⑥完璧でないと気がすまない

 そうだな、そもそも日々の仕事が嫌いなら、嫌なことを忘れたいから、休日に学んだり翌週の準備をしたりしないだろう。
 でも、我々はプロであり、それで給料ももらっている。
 好き嫌いを基準に、仕事の質を下げるようなことがあってはならない。
 時間を浪費する心理を十分自覚し、時間の有効活用を図っていきたい。
011403

| | Comments (43) | TrackBack (0)

『真理先生』(武者小路実篤)に見られる努力論

Photo
 武者小路実篤の『真理先生』」(新潮文庫)を一気読みした。
 若いころ『塩狩峠』を読んだとき、主人公の清貧の生き方、気高い生き方に感銘を受けことを思い出した。
 今回も、努力を惜しまない登場人物の姿に感銘を受けたが、それもまた「清貧の生き方に対する感銘であった。
 ストーリーの「面白さ」もよりも、人生論・哲学書のような「教え」の獲得に意識がいってしまった。それは、本書を読むうえでは「邪念」であったかもしれない。
 しかし、生き方指南を求めていた自分には、出会うべくして出会ったような、得難い一冊だった。


◆私の大願は、すべての人が人間らしく、自分の本来の生命をそのままに生かせる世界を望んでいるのです。
 今のように正直者が生きてゆけなかったり、他人を憎悪しないではいられなかったり、自己を歪(いびつ)にしないでは生きていられない時代には、なお更、この大願を持たないわけにはゆかないのです。P59

・・・きれいごとかもしれない。でも、このような理想を失わないで生き続けるには、よほどの覚悟がいる。

◆僕は運命に甘えることを恐れるのだ。だが運命を信用しないことも恐れる。忠実に、一心に画の仕事をしてゆけばいいと思っている。幸い僕はいい人許(ばか)りとつきあっている。僕が不幸になることを望まない人許りに守護されている。だが怠けたらそれっきりと思っている。いい画をかいている限り、運命は僕に好意を持ってくれると思うが、しかし多くの人から嫉妬される生活をすれば、罰を受けやすいことをこの頃感じて来た。謹みながら、他人を不幸にせずに、自分の仕事に精を出せば、何とかなってゆくと思っている。P114

・・・性善説であるが、人を信用し、自分の仕事い精を出すことい専念すればそれでよいという発想はごくシンプルで、納得できる。

◆世界の第一人者になりたい望みを持っていないとは言わない。しかし同時に僕は日本の片隅で自分の好きな画がかければそれでいいとも思っている。誰に認められないでも、好きな画をかいていられるのは幸福だと思っている。P115

・・・誰かに認められるために仕事をするというには、「邪念」である。次に引用する言葉で言えば「虚栄心」である。

◆自分は自分の力だけの仕事をするので、満足するのはいい。自分の力以上のことをしたいと思うのは虚栄心だ。しかしこんな小ぽけな仕事で、得意になるのは、自分が余りに小人物だということになる。自分は大作をしようとは思わないが、自分の全力を出してもっとも深い処から純な生命の泉を汲み上げたい。死物狂いで自分の力を出し切った仕事をして見たい。ここまで来れて、自分の全力を出し切れる仕事が出来ないのは恥だと思っている。深さで誰にも恥じない仕事をしたい。P116

・・自分に恥じない仕事をする。大事なのは他者の評価ではない、自分の心なのだ。
 「泥水もすすらないで、死に物狂いなどとは言えない」といったフレーズが浮かんでくる。

◆「精神一到何事か成らざらん」という言葉が頭に浮かんできた。真剣な気持ちでの追求を、馬鹿一は何年も何年も、くり返しくり返し毎日毎日続けて来たのだ。一歩一歩、一寸一寸、一毫一毫、彼は毎日目的に向って追求して来た。その真剣な勉強こそ、いつのまにか、今日の彼を築き上げたのだ。悪口を言った連中は、今になっても彼を馬鹿にして安心して軽蔑しているであろうだが軽蔑された彼には絶えざる進歩があった。この絶えざる進歩こそ、今迄毛虫だった彼をいつのまにか蝶にしたのである。僕も彼を軽蔑し切った一人であるが、僕は依然として昔の僕なのに、彼は遂に堂に入った。(P216)

・・・今でいう「メタフォルメーゼ」「ブレイクスルー」だ。
本書は努力を積んだ馬鹿一が、事を成し遂げる成長過程が描かれていて心地よい。

◆紙一重で、人間は物になったり、物にならなかったり、するのが本当なら、その紙一重を破って巣立ちした一個の若鳥を僕はこの老いたる醜い男の眼光と、身体全体から放射される一種の力に感じるのである。

・・・物になるかならないかは「紙一重」である。でも、誰にも恥じない仕事をしているというプライドがあれば、今現在、物になっていないとしても腐ることはない。

 努力した人が、みな物になるとは限らない
 でも、物になった人は、みな努力をしてきた。

 そんな言葉が浮かんできた。
 まさに「努力論」の1冊でもあった。

| | Comments (42) | TrackBack (0)

January 11, 2014

「反骨心」「雑草魂」は、「努力」のカテゴリーでは収まらない

 上原浩二の「反骨心」は有名で、エピソードは語りつくされている。
 たとえば、次のサイト。

http://dot.asahi.com/sports/bbl/2014010600030.html
http://matome.naver.jp/odai/2138315495419188901

◆体育教師を目指していたが大学進学で推薦は受けられず、さらに一般受験にも失敗して浪人した。渇望し続けた野球を休み、警備員やスーパーのレジ打ち、引っ越しの手伝いや会場警備などのアルバイトをしながら勉強に明け暮れた。

とある。国際大会で、野球道具をスポンサーから提供されている選手を見て闘志を燃やしたと、ある対談でも答えていた。

◆「野球界って、最初に甘い汁を吸ってしまって、そこから抜け出せなくなるんですね。後から気づいても遅い。ジャイアンツは注目度も高いし自分も勘違いした部分もありましたけど、メジャーでやりたい、ここで終わりたくないという目標は常にあったので、周りに流されないようにと思ってやってきました」

◆名門ながら前年最下位に沈んだチームを立て直す──そんなシチュエーションを与えられ、上原の「反骨心」は最高に花開いた。
 自分で限界を作らない、上原はそう繰り返す。目の前の敵に、過去の自分に、そして年齢による限界説に勝ち続けたい。

・・・「甘い汁を吸うと抜け出せなくなる」「周りに流されない」「自分で限界を作らない」などは、コンフォートゾーンをに甘んじない強い意志の証である。

 上原投手は、「「反骨心」とともに「雑草魂」が有名である。
 野球選手としてエリートの道を歩んでこなかったことが、逆に、今の成功につながっている。
 その「雑草」には、5つの知恵があるとのことだ。

http://www.sinkan.jp/news/index_3139.html

◆雑草はいわば“逆境を生きる道”を選んだ植物だ。抜かれたり、踏まれたりという生存にとって苛酷と思われる環境こそが彼らの活躍の場であるといえる。
 ゆえに、雑草たちは逆境を乗り越える5つの知恵を発達させてきた。それが「適応力」「再生力」「反骨力」「忍耐力」「多様力」の5つだ。

・・・「適応力」「再生力」「反骨力」「忍耐力」「多様力」ときたら、これはもう「生命力」そのものだ。 
上原投手の闘争心・向上心・雑草魂も、まさに「生きる力」そのものだ。
もはや「努力」という言葉では収まらないエネルギーを感じるのである。

| | Comments (13) | TrackBack (0)

「無理」は、誰もやっていないから「チャンス」になる

 ヒットメーカーの秋元康氏については、時代を読んで何をやってもヒットする成功者のイメージしかなかった。
 しかし、次のような言葉を読んで、秋元氏も苦労があり失敗がありそれを乗り越えてきたのだと分かった。

※AERA 2014年1月13日号秋元康特別編集長号より抜粋
http://news.nifty.com/cs/domestic/societydetail/dot-20140106-2014010600026/1.htm

◆僕も8年前にAKB48を立ち上げたときは、「秋葉原でアイドルなんて絶対ムリだ」と言われた。だが、不思議と「ムリ」という言葉が面白く感じた。無理=誰もやっていないぞ、空いているぞと。

◆僕もこれまでに何度も失敗した。大事なのは、間違えない力ではなく、戻ってくる力だ。最初から正しい道を行ける人はいない。間違えてもいいからやってみる。失敗したら、「イタタタ」と言って戻ってくればいい。失敗することで、使っていなかった筋肉が使われる。そのことに意味がある。失敗を恐れず、とにかくやってみる。その一歩目こそが大事なのだ。

・・・だから、失敗を恐れ無理をしない無難な若者を「ウーロン茶世代」と名付け、「普通に無難に暮らせていればいい、という思考がはびこっている」と指摘した。

◆だからこそ、そういう“引きこもり社会”からムリをしてでも飛び出した人は、生命力にあふれて魅力的に思えた。野茂英雄があのとき日本を飛び出して大リーグに行かなければ、その後のイチローや松井秀喜の活躍もなかっただろう。今号に登場する上原浩治さんもその中で、「ムリ」を超えて飛び出した。幼いころから鍛錬を積む歌舞伎の世界に40代後半で飛び込んだ市川中車さんも、日本にコンビニという文化を根付かせたセブン- イレブンの鈴木敏文会長も「ムリ」を超えた人たちだ。

・・・失敗を恐れず無理をしてみる。
「無理=誰もやっていないぞ」は、きわめてポジティブな発想だ。
使い尽くされたエジソンの言葉に通じる。

◆わたしは、今までに、一度も失敗をしたことがない。電球が光らないという発見を、今まで二万回したのだ。
◆わたしは、決して、失望などしない。どんな失敗も、新たな一歩となるからだ。
◆それは失敗じゃなくてその方法ではうまくいかないことがわかったんだから成功なんだよ

 秋元氏の成功は、他人がやらないこと・他人が無理と思うことに果敢にチャレンジしたところにある。

◆もしあの時、専門家を呼んでマーケティングをして、その分析に従っていたら絶対にAKB48の成功はなかった。成功パターンを踏襲したって絶対に次の成功はない。「人の行く裏に道あり花の山」なのだ。

 「人のやれないことをやれ」という歌詞を知っているのは50歳以上なのである。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

January 06, 2014

「希望学」があるなら「努力学」があってもよい

「希望学」があるなら「努力学」もあるといいのではと私は思う。先のダイアリー「希望学」のコメント欄に、努力について書き込んでいて物足りなくなった。

 「努力」って何だろうか。
 
 広辞苑では「目標実現のため、心身を労してつとめること。ほねをおること」とある。

 でも「ほねをおる」は比喩だからなあ。

 とりあえず、「努力の天才」と言われたエジソンの名言を拾ってみることにした。まさに冬休みの自主学習だ。
 エジソンの名言・格言はネットでもたくさんヒットする。
 そして「努力」がたくさん出てくる。

①なぜ成功しない人がいるかというと、それは考える努力をしないからだ。

②最初のひらめきが良くなければ、いくら努力してもダメだ。ただ努力だけという人は、エネルギーを無駄にしているにすぎない。

③成功というものは、その結果ではかるものではなく、それに費やした努力・時間の統計ではかるものである。

④もちろん、生まれつきの能力の問題も、まったく無視はできない。それでもやはり、これはおまけみたいなものだ。絶え間なく、粘り強く努力する。これこそ何よりも重要な資質であり、成功の要といえる。

⑤できる限り考えて、努力して仕事にかかれば、失敗からでも多くのことを学ぶことができるのである。

・・・ただし、この5つは英語原文がないので、何を「努力」と訳したか、今のところ不明である。
さて、同じような格言で「あきらめない」に言及した⑥のようなものもある。「努力」とは「あきらめずに続ける」と似ている。

⑥人間離れした天才だって?人間離れなどしていない。私はあきらめないことの天才なのだ。

・・・また、同じような格言で「集中・熱中」に言及した⑦⑧⑨⑩のようなものもある。
「努力」とは「集中・熱中」とも似ている。

⑦時の経つのも忘れて、ある一つのことに熱中できる人は、必ずや何かを成し遂げるだろう。

⑧私を天才だと言う人がいるが、それは違う。みんなが自分の力をあらゆる方向に分散させているのに対し、私は全てのエネルギーを
ひとつの仕事に集中しているだけなんだよ。

⑨成功に不可欠なのは、肉体的にも精神的にも疲労を溜めずに、ひとつの問題にエネルギーを注ぎ込める能力である。
The first requisite for success is to develop the ability to focus and apply your mental and physical energies to the problem at hand – without growing weary.

⑩朝7時に起き、夜11時に就寝すれば、たっぷり16時間ある。大抵の人は一日中なにか仕事をしている。ただ一つ違うのは、彼らの仕事は非常に多岐にわたり、私はたった一つの仕事に全てのエネルギーを集中する点だ。

・・・⑩は、「集中」に言及しているが、その前に「仕事」が出てくる。
エジソンの格言の中には「働く・仕事・労働」が「努力」と同じ意味で使われる⑩⑪⑫⑬⑭の例がある。


⑪朝6時に起き、夜中の2時まで働くこと。これを最初に描いた図面が形になるまでやり続けるのだ。
すぐにはうまくいかなくても、睡眠時間を減らし、起きている時間は精魂こめて働くようにする。
このルールを守れば、発明家として成功できるだろうし、もっと言えば、どんな分野においても成功できる。


⑫重労働に勝るものはないね。
There is no substitute for hard work

⑬価値ある事を成し遂げる3つの必要なものは、重労働と根気強さと常識さ。
The three great essentials to achieve anything worth while are Hardwork Stick-to-itiveness, and Common sense.

⑭偶然的に仕事はしなかった。発明は全て必然的だよ、労働の成果でね。
I never did anything by accident, nor did any of my inventions come by accident; they came by work.  


さて、最も有名な格言。
⑮Genius is 1 percent inspiration and 99 percent perspiration.

「天才とは1%のひらめきと99%の努力」とも訳されるし、
「1%のひらめきがなければ、99%の努力は無駄である。」とも訳される。

「perspiration」とは?

「努力」と訳されているが、直接の意味は「汗」である。
 したがって、「99%の汗が実るのは、1%の閃きを大切にしたときだ。」とも訳される。
 下記の⑯は、⑮についての補足であろう。

⑯「私の言葉が誤解されてしまったようだ。99%の汗ばかり強調されている。汗を流せば何でも成功すると思うのは間違いだ。
 私は1%の閃きといったはずだ。1%の閃きを無視してはならない。」

 「汗を流す」と「労働」と「努力する」が、同じような意味合いで用いられているようだ(「集中」も)。

ただし、「働く」を否定する格言もある。

⑰一日8時間労働制に感じた危機感は、労働時間の不足などではない。働くということが、ただの決まりきった作業になってしまうということだ。
⑱「私は一日たりとも、いわゆる労働などしたことがない。何をやっても楽しくてたまらないからだ。」
  I never did a day’s work in my life. It was all fun.

・・・漫然としたワークでは、優れた発明は生じない。漫然としたワークは「努力」に値しないからだ。
「努力」に値するのは、ハードワークであり、熱中・集中であり、楽しみ(all fun)なのだろう。
 「努力学」は、ささやかに今後も続けようと思う。


http://meigen-ijin.com/thomasedison/
http://earth-words.org/archives/525
http://systemincome.com/main/kakugen/tag/%E3%83%88%E3%83%...
http://japanese-lessons.net/Kalacurii/personality/thomas-...

| | Comments (112) | TrackBack (0)

「希望学」に寄せて

中日新聞1月3日の社説で「希望学」の紹介をしていた。希望学は「八年前にできたばかりの、ほやほやの学問です」とある。
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2014...
 ただし「希望学」のサイトによると、「東大社研の研究所を挙げた全所的プロジェクトとしては、2008年度をもっていったんひと区切りとした。ただ、希望学は2009年4月から7月にかけて、東京大学出版会より『希望学(全4巻)』を刊行したことなどから、ありがたいことに、多くの方々に高い関心を引き続きお寄せいただいている。」とある。 
http://project.iss.u-tokyo.ac.jp/hope/index.html

「希望学」のサイトから、いくつか抜粋する。

◆村上龍氏の『希望の国のエクソダス』の有名なフレーズである「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない」という指摘以来、日本イコール希望のない社会という認識は、なかば常識化した。社会やそれを構成する個人に希望がないとすれば、そこにはきっと「具体」「行動」「実現」「願望」のいずれかが欠けている。

・・・日本には希望がない=国民が将来を悲観しているという意味では、次の調査結果が興味をひいた。

◆希望学プロジェクトでは、2005年5月にインターネットを用いたウェブ調査を実施し、20代から40代の約900名から回答を得た。そこでは調査項目として、小中学生の頃になりたかった職業と、その後の実現状況などをたずねた。それによると、何らかの具体的な職業希望の保有が、小学6年当時で71パーセント、中学3年当時で63パーセントにのぼっていたことがわかった。このように10代前半には過半数がなりたい職業があったのだが、その希望は多く場合、実現していない。希望していた職業に実際に就いた経験がある割合は、中学3年の希望については15パーセント、小学6年の希望に至っては8パーセントにすぎない。このように子どもの頃の職業希望は実現困難であり、希望を保有すること自体、徒労であり、意味がないように思えるかもしれない。
 しかし、実際には希望を持つことが、将来の職業選択に大きな影響を与えている。先の調査では、これまでのやりがいのある仕事に就いた経験の有無をたずねた。すると、小学6年当時に希望する職業があった人々の場合、86パーセントがやりがいを経験したと答えているが、希望が無かった場合には、その割合は77パーセントにとどまっている。この結果は、仕事に関する希望の保有が、将来における就業のマッチングを社会的に改善する可能性を示唆している。

・・・このような調査を実施するから社会学として成立するのだな。自分の思いだけでは学問にならない。
 ちなみに、次のような別の調査の記述もある。

◆希望学では二度の全国調査を実施、希望を持つ人と持たない人の違いを検証した。二十歳以上六十歳未満の約二千人に対する調査からは、三人に一人が「希望がない」もしくは「希望はあっても実現見通しがない」と答える日本社会の実態があった。
反対に、実現見通しのある希望を持つという個人の特徴にも迫った。定量分析では、収入、仕事、教育、余命、健康などによる選択可能性の程度が、希望を左右することが明らかとなった。それゆえ高齢社会、経済停滞、進学困難、健康不安などは、希望の喪失感の広がりに直結する。希望は人間関係にも影響され、共同体的結束の弱まりや孤独化現象の深まりも、希望のなさに拍車をかけている。

・・・無駄を一切排除する志向性が未来への創造性や柔軟性をも奪ってしまうことを、希望に対する「負の効率効果」であると呼んでいる。キャリア教育で必要なのは、セカンドベスト・偶キャリのような柔軟な複数選択の発想であることが分かる。

◆希望は、それが実現困難であればあるほど、失望に終わる可能性が高くなる。しかし、そんな失望経験のなかで、自らの適性を改めて認識し、社会における自分の位置付けなどを見直すことを通じて、結果的に社会のなかでより高い充足感を得られるのかもしれない。
希望は求めれば求めるほど逃げていく。しかし、希望が失望に変わることで、初めて社会と個人の関係について適切な認識と行動が創造されることがある。かつて中国の小説家魯迅は、「絶望が虚妄であるように、希望もまたそうである」と述べた。希望には絶望と表裏一体であるというパラドキシカルな一面があり、だからこそ社会的な意味があるということは、希望学による調査研究の結果からも垣間見ることが出来るだろう。

・・・「希望は、それが実現困難であればあるほど、失望に終わる可能性が高くなる」「希望は求めれば求めるほど逃げていく」などは名言である。一方で過去に挫折や失望を乗り越えた経験が、将来に希望を持つ傾向を促すことを「挫折による学習効果」と呼んでいる。「失望は希望の元」で、希望と失望は2項対立でないことが分かる。

◆ここ最近における日本の若年無業の増加は、景気停滞の影響のみでなく、みずからの将来目標となる希望が見出せない結果でもある。国際比較からも、日本では将来を悲観し、希望が持てないと感じる人々は多いという。ただ一方で、希望の喪失は、日本のみならず先進国に共通して広がりつつある現象という指摘もある。
・・・「従来、希望という概念は、個人の心理や感情の一つとして捉えられることが多かった」が、「個人の保有する希望自体、その置かれた社会環境によって影響される」ということがよく分かる。村上龍が「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない」というように、希望を感じられるかどうかはその国家の社会情勢にあるのだから、その社会情勢の改善に努めなくては「希望のある国」にならない。

・・・元気になる授業、日本に誇りをもてる授業、将来に希望の持てる授業をする責任が我々教師にはある。それも含めたキャリア教育を考えていきたい。

| | Comments (1) | TrackBack (0)

January 02, 2014

安倍内閣総理大臣スピーチで昨年を振り返る

 昨年の日本を振り返るのに、安倍首相の生の言葉は参考になった。というより、これほど、まとまっていたら、もう何も付け足すことはないのだという気になった。

平成25年12月19日日本アカデメイア 安倍内閣総理大臣スピーチ
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/1219speech.html

==================
1.はじめに
 ご無沙汰しております。本年5月に、この日本アカデメイアで、成長戦略のスピーチをやらせていただきました。
 現職の総理大臣が、これだけの頻度で特定の会合に出るということも、滅多にないと思います。
 総理の年間の国会出席日数は、ドイツが11日、フランスが12日、あのイギリスですら36日であります。しかし、日本は、127日と、だんとつで多い。
 具体的な数字で聞くと、やはり迫力が違います。皆さんのこの調査のおかげで、国会改革の議論もようやく本格化しましたので、そのお礼もかねて、やってまいりました。
 昨日はさらに、「首相を待機時間から解放」、「首相の委員会出席を制限する」といった提案を発表されたと聞きました。目に入った部分だけを引用して恐縮ですが、これを機に、国会改革がさらに加速することを期待しております。

2.臨時国会
 先の臨時国会は、55日間の会期で重要な法案がいくつも成立しました。近年稀にみる、密度の濃い国会であったと思います。
 今後の社会保障改革のプログラム法が成立しました。さらに、産業競争力強化法のほか、電力自由化、再生医療の促進、農地集積バンク、国家戦略特区など、成長戦略関連法案が成立しました。
特定秘密保護法ばかりが注目されましたが、「成長戦略実行国会」の名にふさわしい国会であったと思います。
 「数の力の横暴」などと批判も受けましたが、実際には、まったく異なります。与野党の修正協議が盛んに行われた国会でした。
 産業競争力強化法、国家戦略特区法、そして農地集積バンク法といった重要法案が、野党と修正で合意した上で、成立しました。
 今は、野党にも、政権与党を経験した方がたくさんいます。選挙で国民に約束した政策を、少しでも実現したいと考える。国民に対して、大変誠実な姿勢だと思います。
「Her majesty’s opposition」
 イギリスでは、野党のことをこう呼びます。「女王陛下の野党」。つまり、野党も国政に責任を負っている、という考え方です。
 単なる「抵抗野党」でなく、「責任野党」として政策実現を目指す。私は、こうした野党とは、今後も、互いに寛容の心を持って、建設的な議論を行い、より良い結果を目指したいと考えています。
 祖父の岸信介が、かつて、「もう一度総理大臣になれたら、もっとうまくやるのに」と、よく語っていました。一度目の失敗は、私の胸に深く刻み込まれています。
 「信なくば立たず」。今は、前回の反省の上に立って、謙虚に、できるだけ多くの国民の理解と合意を得る努力を続けることが重要だ、と自覚しております。
 国会安全保障会議、いわゆる「日本版NSC」を設置する法律や、特定秘密保護法についても、実際には、野党と修正協議を行い、合意に達することができました。
 特定秘密保護法には、厳しい世論があります。国民の皆さんの叱声であり、謙虚に、真摯に受け止めなければならないと考えています。
 私自身が、もっと丁寧に時間をとって説明すべきだった、と反省もしています。政府として、今後とも、国民の皆さんの懸念を払拭すべく、丁寧に説明を積み重ねていく考えであります。
 世界各国では、国家秘密の指定と解除、保全などには、明確なルールがあります。もし我が国が、こうした秘密情報の管理ルールを確立していなければ、外国から情報を得ることはできません。
 この法律により、機密管理に関する明確なルールができました。さらに運用の透明性を確保することで、「知る権利」や「言論の自由」が侵されることは決してないことを、国民の皆さんに御理解いただけると思います。
 外交・安全保障政策の司令塔たるNSCと、その活動の基礎となるルールである特定秘密保護法。ようやく、安全保障政策を進める「車の両輪」がそろった、と考えています。

3.外交・安全保障
 今週、「国家安全保障戦略」を策定しました。我が国で、初めてのものです。北岡先生には、懇談会の座長として、大変なご尽力をいただきました。
 北朝鮮による核・ミサイルの問題があります。中国が、一方的に、防空識別区を設定しました。尖閣諸島周辺では、領海侵入が相次いでいます。力による現状変更の試みは、決して受け入れることはできません。
 南西地域をはじめ、我が国周辺の広い海、そして空において、安全を確保するため、自らの防衛態勢を強化することが必要です。今週、防衛大綱の抜本的な見直しも行いました。
 その上で、日本は、国際協調のもと、世界の平和と安定に、これまで以上に、積極的な役割を果たしていかねばなりません。
 今回の戦略では、全体を貫く基本思想として、我が国が、「積極的平和主義」の立場をとることを、鮮明にしました。
「The world must be made safe for democracy.」
 国際連盟を提唱した、アメリカのウィルソン大統領の言葉です。それまでアメリカ大陸にしか関心がなかったアメリカが、「モンロー主義」を放棄した瞬間であります。
 それは、民主主義の価値を守るためであり、世界の平和を守るためであり、そのことが、アメリカの平和につながる、との信念からでありました。
 それから1世紀。世界は格段に小さくなり、相互依存を強めています。世界の平和と安定なくして、我が国の平和と安定を守れません。
 自由で、安全なシーレーンによって、資源を輸入し、世界を相手に貿易をしている、経営者の皆さんは、そのことを、日々実感しておられることでありましょう。
 世界のコンテナの約2割が通過するアデン湾では、日本の自衛隊の活動を、日本の船舶だけでなく、世界が頼りにしています。海賊対処に共にあたっている連合海上部隊のミラー司令官に、本日官邸で会いましたが、日本の活動に高い評価をいただきました。
 海を挟んだ隣国フィリピンでは、すさまじい台風被害を受けた地域で、日本の医療チームのほか、1200名規模の自衛隊員が、緊急支援を行いました。
 首相官邸フェイスブック英語版で、この活動を紹介したところ、これまで一日数十件しかなかった「いいね!」が、フィリピンの方々からの感謝コメントを中心に、一晩だけで6万件以上も寄せられました。
 カンボジアでは、日本の女性たちの活躍で、乳幼児の死亡率が半減しました。日本式の保健・医療は、生活水準の向上に大きく貢献をしています。
 こうした様々な活動を通じ、世界の平和と安定に貢献しています。日本の平和と安定を守るためにも、日本は内向きであってはなりません。
 先週の日・ASEAN特別首脳会議では、生活水準の向上や経済的な繁栄など重層的なパートナーシップの上に、日本とASEAN諸国の防衛大臣による協議の場を持つことを提案し、今後進めていくこととなりました。
 日本の「積極的平和主義」の船出にふさわしい会議になったと思います。
 今後とも、日米同盟を基軸とし、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった価値を共有する国々との連携を強化してまいります。
 今年は、慌ただしく、海外を飛び回りました。1月の東南アジア訪問を皮切りに、13回も海外にも出かけ、訪れた国は全部で25カ国であります。
 TICADをはじめ、国内にもたくさんの海外首脳を迎え、首脳会談は全部で150回を超えました。さらに国会に127日も呼ばれたら、それだけで、ほぼ1年がつぶれる計算です。
 トルコには、この1年間で二度訪問しました。
 春の訪問で、エルドアン首相と、2020年のオリンピック・パラリンピック開催地にどちらが選ばれても祝福しよう、と約束しました。
 ブエノスアイレスでは、東京が選ばれた直後、祝福のため私の所に来てくれました。自国の都市が落選し、ショックは大きかったはずですが、私との約束を守ってくれました。
 秋には、私がエルドアン首相との約束を守り、日本の技術力で実現したボスポラス海峡地下トンネルの開通式に出席しました。同じタイミングで、首脳会談を行い、トルコへの原発輸出が決まりました。
 カナダのハーパー首相との会談では、シェールガスの輸出が決まりました。
 ロシアのプーチン大統領とは、外務大臣と防衛大臣による定期協議、いわゆる「2+2」を開催することや、平和条約の締結に向けて次官級の協議の場を設けることで合意をしました。
 やっぱり、直接会って信頼関係を築きながら、一つひとつ前に進む。政治も、外交も、ビジネスも、すべて同じではないでしょうか。
 いかなる課題があろうとも、首脳同士が、膝詰めで、直接話をすることで、物事が大きく動きます。「トップ外交」の重要性を、改めて、実感した1年でありました。
 本日もいらっしゃっている、武田薬品の長谷川さんが、先日、後継社長に、初の外国人社長を起用すると発表されました。
 230年もの歴史ある会社で、大胆な決断をされたと思います。しかし、グローバルにビジネスを展開し、国際的な競争力が勝負となる時代には、むしろ自然な決断ではないかと思います。
 残念ながら、総理大臣は、外国人というわけにはいきませんから、私自身が、足で稼ぐほかに、道はありません。
 リーダーが、永田町半径1kmの範囲内での生活に追われているようでは、日本は、世界で勝ち残ることはできません。来年も、世界に目を向け、足を運んで、積極的にトップ外交を展開してまいります。

4.成長戦略
 大詰めのTPP交渉を動かすのも、最後は、トップの判断です。
 企業活動の国境をなくす。そのためには、知的財産権、投資、政府調達、国営企業、環境規制、地方政府へのルール適用など、ありとあらゆる野心的な課題に、結論を出さねばなりません。
 個別各論ではなく全体を見て、国益にかなう最善の判断を行う。これは、トップリーダーにしかできません。バリでの首脳会談では、私から、そう申し上げて、各国から賛同を得ました。
 米国とは、農業と自動車で、タフな交渉を続けています。「攻めるべきは攻め、守るべきは守る」との原則のもと、安易な妥協は決してしません。
 自由や民主主義といった価値観を共有する国々が集まり、成長センターであるアジア・太平洋に、一つの経済圏をつくる。これは、新たな「アジア・太平洋の世紀」に向けた「百年の計」です。
 同盟国でもあり経済大国でもある、日本とアメリカが、このような大きな視点を持って、交渉をリードする。最後まで、その自覚を持ち続けることができるかが、成功のカギであると考えています。
 「できるか、できないか」ではなくて、「やるか、やらないか」ではないか。私はそう考えてます。私も、先頭に立って、早期の交渉妥結に向けて取り組んでまいります。
「世界で勝って、家計が潤う。」
5月のスピーチで、こう申し上げました。あれから7か月。あのときご説明した政策は、すでに「実行」の段階に移っています。
 例えば、『日本を、世界に誇る「実証先進国」にする』と申し上げました。そして、産業競争力強化法で新たに「企業実証特例制度」を創設しました。あらゆる分野で、フロンティアに挑む企業に、新たな規制緩和によりチャンスを広げます。
 ぜひとも皆さんにもご活用いただき、イノベーションにつなげてほしいと思います。
 国家戦略特区も、来年3月を目途に、具体的な地域を指定します。容積率規制や病床規制の緩和、公設民営学校は、長年実現しなかったものです。投資減税や固定資産税の軽減も行います。
 今後も、規制改革で追加的なニーズが明らかになれば、機動的に法改正を行います。進化し続ける戦略特区として、ニューヨークやシンガポールにも匹敵する、世界で最もビジネスしやすい環境を、目に見える形で、日本の中につくりあげていきます。
 実行だけではありません。すでに「成果」も生まれています。
 5月のスピーチで、『「観光立国」を目指して、ASEAN諸国からの観光客へのビザ制度を見直す』と申し上げました。例えば、タイからの観光客には、この夏からビザを免除しました。その後、観光客は、前年比で9割増えています。
 大橋さんの全日空は、さっそくバンコク線の増便を決めたそうです。成長する会社は、時代の変化に敏感ですね。
 そして、あの時申し上げた「訪日者数1000万人」目標の実現は、ほぼ間違いありません。おそらく明日には、1000万人を突破するはずです。これまで年間800万人程度でしたから、過去最高です。
 「やれば、できる。」来年以降は、次の2000万人の高みを目指し、外国人旅行者に不便な規制や障害を徹底的に洗い出し、観光立国をさらに加速してまいります。
「実行なくして成長なし」。
 臨時国会では、電力自由化や再生医療の促進などの法律も成立しましたが、今後も、とにかく成長戦略の実行に全力をあげてまいります。
 5月のスピーチでは、農業・農村全体の所得倍増を目指し、農業の成長戦略についてもお話しました。
 農業の構造改革を進めるには、農地の集積が、何よりも重要です。そのための農地集積バンクが、法律が成立し、いよいよ動き出します。
 さらに、40年以上続いてきたコメの生産調整の見直しを決定しました。いわゆる「減反」の廃止です。
 農業分野といえば、「古い自民党」の象徴のように言われてきた。減反の廃止なんて、自民党には絶対できないと思われてきました。
 しかし、金丸さんや新浪さんの力も借りて、農政の大転換を行うことができました。
 これで終わりではありません。
 先般、「和食」が、世界の無形文化遺産になりました。その和食を育んだのは、おいしくて安全な日本の農産物です。日本の農業は、成長産業として、必ずや世界に羽ばたけるはずです。 
 日本の農業が秘めているポテンシャルを最大限開花させるため、今後も、皆さんのお力をいただきながら、改革を進めてまいります。
「一命を捨てるときは、道具を残さず役に立てたきものなり。」
 「五輪書」に出てくる、宮本武蔵の言葉です。
 日本は、もう成長できないのではないか、という悲観論をしばしば耳にします。私が最も恐れるのは、国民が自信を失うこと。まだまだやれることはあるはずです。
 他方で、ないものねだりはできない。新興国と単なる価格競争をやっても、勝ち目はありません。
 日本は、日本らしく成長するほかに道はありません。アカデメイアで、岡村さんたちが議論しておられる「日本力」。これしかありません。
 農業、医療、エネルギーなど、日本の中に眠るポテンシャルを最大限引き出すこと。これが安倍内閣の成長戦略です。
 大きな柱の一つは、女性の活躍です。日本は、世界的に見て、M字カーブが顕著。しかし、逆に言えば、そこに成長の可能性があります。
 ニューヨーク証券取引所で、「リーマンブラザースが、リーマンブラザーズ&シスターズだったら、今も存続していたのではないか」という言葉を紹介したら、大反響でした。
 実際、イギリス・リーズ大学の調査では、女性役員がいる会社は、いない会社よりも、2割も破綻確率が下がるというデータがあります。
 安倍内閣は、女性を積極的に登用しています。三役の2人は女性。森大臣は、特定秘密保護法の審議に、堂々たる答弁で応じていただきました。先月は、憲政史上初の女性総理秘書官も任命しました。
 ところで、このアカデメイアは、見渡すところ、女性がほとんどいない。大変残念です。更なる発展のために、もっと女性会員を増やしていただきたいと思います。
 昨日、墨田区のメッキ工場に伺いました。従業員9人の小さな町工場です。しかし、機械の改良などで、誰にもマネのできない、薄いメッキができる技術を開発しました。
 世界のクルマの約3割、そのスピーカー端子のメッキは、この小さな町工場で、行われています。
 このたび、ものづくり補助金を活用して、1500万円の設備投資を行うそうです。町工場には乾坤一擲の投資ですが、しっかりとした技術力に裏打ちされているからこそ、攻めることができるのだと思います。
 「より薄く、しかし、より強靭に」といった、大企業からの厳しい要求に高い技術力で応える。日本のイノベーションを支えているのは、こうした下請けの中小・小規模企業です。
 民主党政権下で、行き過ぎた円高が続き、組立の海外移転だけでなく、部品の現地調達が加速し「根こそぎ空洞化」が進みました。しかし、政権交代を経て、政府もリスクをとり、国内の事業環境は一変しました。
 納期を守り、融通も利く、何よりも、技術力が高い。日本の中小・小規模企業の高い競争力を考えれば、国内調達はもはや十分コストに見合うはずです。
 持続的なイノベーションは、海外調達一辺倒からは生まれない。私は、ポテンシャルあふれる国内の中小・小規模企業の力が、不可欠であると考えています。
 今週発表された12月の日銀短観。中小企業の業況判断がプラスに転じました。製造業では6年ぶり、非製造業では21年10か月ぶりのプラスです。
 アベノミクスのすそ野は、中小企業にも確実に広がってきています。
 しかし、先行きの見通しは、まだ弱い。仕事が減るのではないかと心配している。やっぱり大企業は、中小企業から、信じられていないんでしょうか?
 大企業の業績回復の果実が、国内の中小・小規模企業、そして、その従業員の皆さんに、行き渡らないようであれば、アベノミクスは失敗であると、私は考えています。
 地方にもポテンシャルが眠っています。それぞれの地方が持っている「資源」を活かす発想です。
 例えば、ドラマ「あまちゃん」で有名になった、「北限の海女」。今年のB―1グランプリで優勝したのは、「浪江焼きそば」。「ふなっしー」のような「ご当地キャラ」もあります。
 歴史や伝統も含めて、地方ごとの特色をうまく生かした活性化。「もうダメだ」とあきらめる前に、他に「誇るべき」独自の資源を発掘して、活性化につなげていく。
 そうした取り組みを、政府としても応援していきたいと思います。

5.経済の好循環
 さて、いよいよ年の瀬。
 来年も、やっぱり経済。強い経済を取り戻すことが、政権の最優先課題であることは間違いありません。
 4月から消費税は上がりますが、景気を着実に回復させていく。そのために、先日、経済対策として、5.5兆円規模の補正予算を決定しました。
 目指すは、「経済の好循環」。
 業績の改善を、所得の上昇につなげ、消費の増加を通じて、さらなる業績の改善を図る。長引くデフレで錆びついてしまった、自由経済の成長のメカニズムを、取り戻すことが目的です。
 先ほどのメッキ工場では、今年は景気がよくなり、メッキ待ちの部材が敷地からあふれ出るぐらい発注が来ています。だから、従業員の給料もあげることができた。そうしたら、40代の若手が、ローンを組んでマイホームを買ったそうです。
 これこそ、まさに「好循環」。私は、こうした実感を、広く、国民の皆さんへ、全国津々浦々にいたるまで届けたいと考えています。
 この秋の中間決算は、TOPIX採用企業1300社あまりの平均で、経常利益が、前年度比5割増し。業績改善は明確です。
 今年の冬のボーナスは、今日もおられる古賀さんの「連合」の調査によると、平均で、昨年より3万9千円増えています。
 年末商戦では、昨年と比べて、お歳暮やおせちなどで、ワンランク高い商品が売れている、と聞きます。
 景気回復の流れとあわせ、この冬、「経済の好循環」が、かすかに生まれつつあります。あとは、来年の春、賃上げがどうなるか?
「Buy my Abenomics」
 9月にニューヨーク証券取引所を訪れた際、私は、ウォール街の皆さんに、「今こそ、日本に投資すべきときだ」と申し上げました。
 今日は、日本でも、とりわけチャレンジ精神に富む経営者の皆さんがお集まりですから、あえて申し上げたい。
 今こそ、人材に、設備に、投資すべきときです。
 月曜日に、中小・小規模企業の経営者の皆さんから、お話を伺いました。今年、3%や4%も、賃上げしたところがあります。物価上昇目標よりも高い。
 中には、従業員20人、30人規模の企業もあります。おそらく社長さんは、会社のために個人保証までやっている。それでも、従業員の賃金を上げる決断をしたのですから、皆さんの企業が賃上げの決断できない訳はないと思います。
 社長の一人は、「人が成長する以上に、企業が成長することはない。」とおっしゃっていました。利益を上げるのは、人の力。だから、利益が出れば、社員に還元する。それがモチベーションにつながり、さらなる利益を生み出す。
 非常にわかりやすい。「成長する企業」の発想とは、こういうものなのだと思います。
 皆さんの企業でも、将来の成長を確保するため、ぜひとも、今、攻めていただきたいと思います。
 皆さんだけに、リスクを取らせる気はありません。政府も、設備投資減税や、所得拡大促進税制を、さらに拡充します。さらに、復興財源を確保した上で、来年度から、復興特別法人税を廃止し、法人実効税率を2.4%引き下げます。
 来年は「好循環」を力強い流れに変えていきたい、と考えています。

6.さいごに
 振り返れば、この1年間、「強い日本を取り戻す」ため、特に経済に軸足を置きながら、あらゆる課題に取り組んでまいりました。
 経済以外にも、復興の加速化、教育の再生、外交・安全保障政策の立て直しなど、課題は山積です。 憲法改正に向けた国民的な議論を深めていくことも重要です。
 しかし、強い日本を創るのは、他の誰でもありません。私たち自身です。一人ひとりが、それぞれの持ち場で頑張ることで、未来を切り拓いていくほかありません。
 1年前と比べて、どうでしょうか?世の中の空気は、景気を含めて、一変したのではないでしょうか。2020年の東京オリンピック・パラリンピックも決まりました。
 「みんなで頑張れば、夢は叶う」。
 今年は、あらゆる面でそうした実感を持てた1年だったと思います。
 今週末から映画「永遠の0」が公開されます。私も見に行きたいと思っているのですが、日本の航空機技術の始まりは、103年前の今日だそうです。
 明治43年12月19日、代々木公園で、日本で初めて飛行機が空を飛びました。その滞空時間は4分、高度はわずか70mでありました。
 飛行実験を一目見たいと集まった10万人にものぼる観客は、この小さな一歩に、大きな拍手を送ったと言います。「いつか、飛行機の時代がやってくる」。当時の人々のワクワクする気持ちが伝わってきます。
 頑張れば、来年は、今年よりも、もっと良くなる。多くの国民の皆さんが、103年前の初飛行に心躍らせた人たちのように、ワクワクするような一年にしたいと思います。
 今年も、残り少なくなりましたが、来年が、皆さんにとって、良い年となりますことを、心からお祈りしております。
 ありがとうございました。

================
・・・
「そうだったのか」「そういうこおだったのか」「そんなことがあったのか」と思うエピソードが満載だ。
ちりばめられた格言にも感心した。
むろん「自画自賛にすぎない」といった批判もあるだろう。
しかし、議論が紛糾して棚上げ・先送りでは何も進まない。

◆ 「できるか、できないか」ではなくて、「やるか、やらないか」ではないか。

という首相の言葉が、行動力・実行力の大切さを表している。
経過と今後の動向を考えるには、貴重な内容である。   

| | Comments (1) | TrackBack (0)

« December 2013 | Main | February 2014 »