学力状況調査(小学校国語)の悪問
学力状況調査(小学校国語)を実際に解いてみて、今回一番難しかったのは、Bの2番。
ゾウの鼻についての疑問と気づきの問題だ。
原田さんの疑問を参考に、野口さんの疑問を書く。
野口さんのまとめを参考に、原田さんのまとめを書く。
いわゆる「類推」の問題である。
野口さんの問いは「ゾウの長い鼻はにおいを感じ取ることができるのか」
では、原田さんの問いが何なのかを考える。
原田さんの気づきのふせん内容①②③から、問いを考えるというのは、大変面白い問題だ。
①鼻は、今よりも短かったが、体がだんだんと大型化し、口が地面からはなれていったようだ。
②鼻と上くちびるいっしょに長くのびていったことで、頭を下げなくても草や水を口に運ぶことができるようになったようだ。
③長い鼻を使うことで、できること(食べ物をつかむ、水をすいあげて飲む、水浴び、あいさつ)
・・・しかし、ここから問いを特定するのは難しい。
①から予想される問いは「ゾウの鼻は、なぜ(いつから)大きくなっていったのか」。
②から予想される問いは「ゾウの鼻が長いことの利点は何か」
③から予想される問いは「ゾウの鼻が長いことの利点は何か」
②③からは同じ問いが予想できるが、①が異質である。
どうにも①②③から共通の問いが作れない。
あえて作れば、結局、設問に出てくる「ゾウの鼻はどうして長いのでしょうか」になってしまう。設問にある問いをそのまま抜き出して使ってよいとは到底思えない。
さて、先日配付された解説資料を見て驚いた。
正答例を見ると、問いが2つある。
◆ゾウの鼻はなぜ長いのか、また、長い鼻を使うことでどのようなことができるのか。
◆ゾウの鼻が長い理由と鼻の役目は何か
しかし、この正答は出ない。
なぜなら、問いの目安(ヒント)となる野口さんの問いが、「ゾウの長い鼻はにおいを感じ取ることができるのか」の1つの問いだからだ。
この問題の構造を読み取り、野口さんの問いと正対した問いを書かなければと思った子は、まさか2つの問いを入れてよいとは思わない。
①②③のふせんの共通点を懸命に探して問いを考えいるのだ。
まさか①②③の共通点を考えずに、複数の問いを挙げてよいとは、びっくりである。
また、正答例によれば、次の問いでもよいとある。
◆ゾウの鼻はどうして長いのだろうか
この正答も出ない。
先に書いたように、既に設問に「ゾウの鼻はどうして長いのでしょうか」と書いてあるのだ。
まさか、文中にある問いをそのまま引用してよいなどとは誰も思わない。
この問題は、誠実に問いに対応した高レベルの子ほど「無回答」の形で正答を逃す可能性が高い。
悪問だと言わざるをえない。
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