「探究的な学習」は「総合」の専売特許ではない。
「習得「-「活用」ー「探究」という学習の流れは承知していたが、「探究」については、あまり真剣に考えてこなかった。
「探究」以前にやるべきことが山積みだからた。
「学習指導要領」には、次のような記載がある。
◆各教科では、基礎的・基本的な知識・技能を「習得」するとともに、
観察・実験をしてその結果をもとにレポートを作成する、文章や資料を読んだ上で知識や経験に照らして自分の考えをまとめて論述するといったそれぞれの教科の知識・技能を「活用」する学習活動を行う。
それを総合的な学習の時間等における教科等を横断した問題解決的な学習や「探究」活動へと発展させる。
・・・「総合的な学習」にウエイトを置かない限り、「探究的な学習」までは考えなくてよいと勝手に判断していた。
しかし、文科省の冊子「今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開(小学校編)」を読み直して、意識を変えざるを得なくなった。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/sougou/1300434.htm
第1章の第2節に「探究的な学習における学習指導」のページがある(P17から19)。
◆総合的な学習の時間の改訂の趣旨を実現するためには、問題解決的な活動が発展的に繰り返される探究的
な学習とすること、他者と協同して課題を解決する協同的な学習とすることが重要である。加えて体験活動
を重視するとともに、思考力・判断力・表現力等をはぐくむ言語活動の充実を図ることが欠かせない。
◆探究的な学習とは、図のような問題解決的な活動が発展的に繰り返されていく一連の学習活動である。
①【課題の設定】 体験活動などを通して、課題を設定し課題意識をもつ
②【情報の収集】 必要な情報を取り出したり収集したりする
③【整理・分析】 収集した情報を、整理したり分析したりして思考する
④【まとめ・表現】気付きや発見、自分の考えなどをまとめ、判断し、表現する
・・・「探究的な学習」の4つの学習活動を見ても、今までは感じなかったのだが、
「考えてみれば向山実践には、探究的な学習があるじゃないか!」
と気が付いた。
①「かける」の授業は、「かける」の用例をたくさん収集し、【整理・分析】して、自分の考えとして【まとめ・表現】させている。
②分析批評の「対比」の授業は、文中からされている表現を集め【情報の収集】【整理・分析】(関連付け・意味づけ)をして主題に迫り、【まとめ・表現】させている。
③理科の「磁石」の授業は、浴びるほどの体験を通して【情報の収集】をし、【整理・分析】した結果を【まとめ・表現】させている。
・・・「総合的な学習」がない時代に、各教科の特性に応じて、【課題の設定】【情報の収集】【整理・分析】【まとめ・表現】という「探究的な学習」の積み上げてきた向山実践に今さらながら驚いてしまう。上記の実践に憧れたのは、「探究的な学習」も持つ知的なダイナミックさに惹かれたからだ。
「探究的な学習」は、「総合」の時間でしか取り組まなくてよい、わけではないことをきちんと理解したい。
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