「あいまいな指示が、教室を混乱させる」
『授業の腕をあげる法則』(向山洋一著・明治図書)の中でも、多くの先生方が共感するのが、第4条の「全員の原則」の場面です。
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「先生、窓あけていいですか」 ・・ああいいよ
「先生、外で遊んでもいいですか」 ・・ああ、いってきなさい
こんなささいなことをなぜ聞くのだろうと思うほど子供たちは次々に聞きに来る。
「給食を食べ終わったら、片づけていいですか」
「体育の時間の準備体操はだれがするのですか」
「野菜を残していいですか」
次から次へと、際限なく子供たちは聞きにくる。
そして、たまに小さなトラブルが生じる。
「先生、前の先生は、全員が食べ終わるまで片づけてはいけませんでした」
その頃は新卒教師に対する子供たちの質問は数十にものぼっているから、先生の回答のくいちがいも生まれてくる。
ある子供には「野菜を残して良い」と答え、ある子供には「できるだけ食べてごらんなさい」と答えたような時である。
一方の子供は「先生は残して良いと言った」と主張し、一方の子供は「先生は食べなさいと言った」と主張するようなことが生じてくる。あまりにもささいなことを何度も聞きにくるので「自分で考えなさい」とつきはなすこともある。それぞれの子供が考えたルールが、独立して歩きはじめる。教師の権威がかすかに落ちはじめる。
学級の出発に見られた静けさは、少しずつ失われていき、加速度的に騒々しさが教室を支配するようになってしまうのである。
この間、わずかに2カ月位のできごとである。
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「指示は全員にせよ」と題したこの章では、次のようなアドバイスも書かれています
◆手に何か持っている状態で指示をしたのは指示したうちに入らない。
◆おへそを先生の方に向けなさい。
◆指示の追加をしてはならない。
◆最後の行動まで示してから動かせ
このような場面は、どこでも起こります。
先日、ある教室に自習監督にでかけました。
「国語のテストを1枚やらせたら、あとは読書」という担任の要望です。
子どもたちに「国語のテストが終わった人は、読書をします」と宣言しました。
その瞬間、質問が出ます。
「お昼寝はダメですか」
「自由帳はダメですか」
「折り紙はダメですか」
「いつもはテストのあと、○○もやっていいよ」
・・・先の場面と同じです。あれこれ質問が出ましたので、
「お昼寝は勉強じゃないから家でやってね。」
「先生は読書をしてほしいと頼まれました。読書をします。」
と対応しました。
本当は、オウム返しのように「読書です」を繰り返せばよかったのだと思います。
あるいは、黒板に「テスト→読書」と書いておけば、余分な質問は受け付けなくてすんだと思います。
子どもたちは、テスト後、静かに読書をしていました。
いちいち、子どもの質問や要望に応える必要はありません。
向山氏が書いているように、対応すればするほど、そのうち先生の回答に食い違いが生じるからです。
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