« April 2015 | Main | June 2015 »

May 29, 2015

国語らしく心情を読む練習

(1)心情を含む行動表現(動詞)

「先生を見る」って何も感情は入っていない。
 じゃあ「先生をにらむ」だったらどう? 
 先生に恨みがありそうだね。
 
じゃあ「先生を見つめる」だったらどう? 
 先生に特別な感情がありそうだね。憧れているのかもしれない。

 「話す」には感情が入らない。
 でも、「どなる」「うったえる」「ささやく」は何かありそう。

 このように、行動を表す表現の中には、気持ちが含まれているものがあるんです。

  「いらいらする」などは、とても簡単。
  「言うもんか」は、「言わない」より強い感情が読める。
  「あまったるい」は、「甘い」より嫌がる感情が強い。

 「表現Aは、表現Bと比べてどんな感じがしますか?」のように、対比的に考えるとよい。

  
(4)心情を含む細やかな表現(修飾語)

  「腹が立った」と書いてあれば「腹が立った」という気持ちが読めるのは当たり前
 その前に「ちょっと」「すごく」があれば、その気持ちの程度が分かる。
  「じっと待つ」「黙ってうつむく」「ぷいと横を向く」のような表現に着目できるようになると読みのレベルがアップする。
  とりわけ、注目したいのは「副詞」。

 「じっくり」とか「やっと」とか、「しぶしぶ」のような言葉があるとないでは感情表現が全然違う。

  だから、作文の時間に、
①どんな動詞を使うかを吟味させる
②どんな修飾語(副詞)が、ぴったりくるかを吟味させる。

 作文で取り組むから、読み取りにも活かせる。
 表現と理解の往復活動で、心情を読む力を鍛えていきたい。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

「“Not Yet”思考で落ちこぼれが変わる」

 雑誌「PRESIDENT」 2015年6.1号に掲載された「職場の心理学」のテーマは、「“Not Yet”思考で落ちこぼれが変わる」であった。
 いわゆる不合格Fは、ダメの烙印になるが、「Not Yet」は、「今はまだ足りていないだけ」という意味合いになる。

=============
 Not Yetという評価は「あなたは学習目標に対して、まだ到達してないだけで、到達するにはさらに努力が必要である。でも目標への軌道には乗っている」という意味です。
その評価を受けた生徒には恥じる気持ちはありません。
さらに努力したいというモチベーションにつながるのです。
 これは、大人にも当てはまるはずです。
例えば、人生に置いて挫折を味わったとき、「絶望的」と思わずに、Not Yetと考えるべきです。
「絶望的」と考えると、目的に到達することはないと思えてしまい、それ以上努力をしなくなります。
しかし、Not Yetと考えると「成功するにはどの部分を集中的に努力すればいいか」と前向きな思考になるのです。
=============

 「できないことは恥ずかしいことではない」という気持にさせる発想法は、すばらしい。
 この部分を読んだとき、自閉症関連の書籍に出てきた「未学習・不足学習・誤学習(過剰学習)」とも重なった。

①「未学習」・・・経験がなく、どうしてよいか分からない状態。
②「不足学習」・・経験が乏しくまだ、うまくできない状態。
③「誤学習」・・・自分の知っている誤った方法を適用してしまう状態。
④「過剰学習」・・「こだわり」。一度経験したことが後まで残って、他の行動や柔軟な行動が取れない状態。

 「不足学習」の状態の子を責めても仕方ない。経験を積むように仕向けること・努力を促すことが最重要である。

 Not Yet思考は、自尊感情を下げない指導法である。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

May 10, 2015

指示1を、指示ゼロに移行する段階

 GWが終わったところで、学級経営は第2段階を迎える。
 うっかりすると、せっかく緊張感でうまく仕切れた学級の規律にほころびが生じる頃でもある。

 昨年作成した初任研メモを紹介する(一部手直ししました)。

=================
 教室では、様々な指示を出し、学習ルールや生活ルールを確定させていきます。
 たとえば、「授業が始まったら、教科書とノートを開く」というようなルールがあります。
 毎回のことなので、そろそろ言わなくてもよくなるころです。

①「授業は始まったら何をするんでしたか?」など、やるべきことを子どもに言わせる。
②「すごいね、先生が言わなくても準備ができているね」など、できている子をほめる。

 このようにして、今まで課していた「指示1」を「指示ゼロ」に移行させます。
 いちいち指示しなくても子どもができるようになること、これが、「自動化」「パターン化」です。
 教師が何も言わなくてできるまでに高まった状態です。

 
◆先生が何も言わなくても、フォーマットに従って日直が朝の会が始める。
◆   〃         給食当番が勝手に準備を始める
◆   〃         給食の後片付けができる
◆   〃         体育の準備体操まで係りが進行させる

 このような活動はすぐにはできないかもしれません。
 しかし、うまくできていない時、いちいち注意するのではなく、先に述べたように「○○の時は、どうするんでしたか?」と聞き返す方が効果があります(そして、できたらほめます)。
 すると、さらにレベルアップのために、新たな指示を加えることができます。
 たとえば・・・

◆朝の会が終了したら (何も言われなくても) 1限の授業の準備までやってみよう
◆給食準備の完了したら (何も言われなくても) 「いただきます」タイマーセット・おかず減らしなどまでやってみよう
◆給食が完了したら(何も言われなくても) 後片付け・明日の時間割の記入まで、できるようになろう。
◆自分たちで準備体操ができるようになったら、新たな基礎トレの補助運動まで係の子にやらせてみよう

 ほかっておくと、4月当初に決めたルールが守られなくなってくる頃です。
 ひょっとすると、4月の最初が一番お行儀がよくて、あとは下がる一方となりかねません。
 だからこそ、4月当初のルールは守れて当たり前、5月はさらにレベルアップするという気持ちを子どもたちに植え付けていきます。
  GW後に、新たな気持ちで学級や授業を再スタートさせられるとよいですね。 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

学力調査問題(理科)

 今年度、初めて実施された理科の学力調査問題。
 国語・算数とは異なり、ABまとめて1時間の実施。
 大問ごとにストーリーがあって、状況設定が面白い。
 総合単元のような面白い問題配列なので、子どもたちもテストを受けながら楽しめるのではないかと思った。

大問1
①古時計の「ふりこ」の長短
②古時計の「ふりこ」の金属の膨張
③新しい時計の「ふりこ」に使った電磁石(コイル)

大問2
①メダカとインゲン豆の成長
②顕微鏡の使い方
③日光と成長

大問3
①ポットから出ている水蒸気
②ポットのお湯の対流
③メスシリンダーの使い方
④砂糖のとける量

大問4
①月の観察
②星座の観察
③打ち水による地表温度の低下

 暗記問題はごく一部で、あとは問題のデータや状況をよく読んで答える問題だ。
 番号を答える選択問題なのに、その理由まで書かせる箇所もある。これは「あてずっぽう」の正答を防ぐ効果もあるだろうし、理由をきちんと文章化させる「言語活動」の成果を問う意味もあろう。

 市販テストは単元ごとだが、今回の学力テストは、場面ごとで別々の単元の内容を組み合わせている。
 理科の学習が、生活のいろんな場面で適用されることが、このテストで実感できる。
 私自身の理科の指導観が鍛えられたようなテスト体験であった

| | Comments (0) | TrackBack (0)

May 06, 2015

H27学力調査(小6)国語B問題

実際に取り組んでみた感想は、

◆物語文読解の授業から脱却しないと対応できない。
◆今の市販テストでは対応できない。

であった。
 表現問題が4か所ある。

1 インタビューの書き直し(40文字~70文字)
2 説明文の要旨(60文字~80文字)
  内容に合わせた条件作文(80文字~100文字)
3 読み方の工夫(40文字~80文字)

 特に、文中の表現を利用しないで記述する3の「読み方の工夫」が一番大変だと思う。
 
A:「あなたが想像したとのさまの気持ち」を根拠にして
B: 声に出して読むとき工夫することを書く

とあるが、Bを文字化することはなかなかない。

 それにしても、日頃から文字数に対する感覚を磨いて「これぐらいが80文字」と見積もりができないと、4つの表現問題を時間内にこなせない。
 先日、市販テストを見たが、採点の手間があるので、学力テストには対応できない。
 日頃の授業で、いかに文字数指定で書く場面を設定しているかが問われている。
 表現問題は、何を書いてもOKではない。条件となるキーワードや、指定文字数などの客観的な判断基準に即して点数化するものだ。
 採点する授業者の技量が問われてくる。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

長方形に1本の直線を引いて面積を2等分させる。

02_2

03_3


①斜めに線を入れ、三角形をつくる
②縦に2等分、あるいは横に2等分で長方形をつくる。

ここまでで4通りの直線がかける。
ここまでは、すぐに思いつく。
うまくいけば、

③台形でも2等分できる

ことが分かる(気づく)

そして、さらに、うまくいけば、

◆2等分できる台形は無数に存在する

ことが分かる(気づく)

2等分となる台形をたくさん列挙すると、長方形を2等分する直線は無数に存在することが分かってくるのだ。

ここまでなら、私も授業実践したことがある。

これが、今年の学力調査問題(小学校)算数B問題5の導入になっている。

「長方形の対角線が交わる点を見つけ、この点を通る直線を引けば、長方形の面積をいつも2等分できることが分かります」

という事実を、あらかじめ知っている必要はない。このテストで初めて知ったとしても、設問には答えられる(簡単な問題だ)。

 でも、こういう面白い授業をふだんから行っていれば、学力テストで驚くことはない。
 日頃の知的な授業が、B問題を解くベースになっている。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

「ブラッドレーのせいきゅう書」


過日、NHK教育の「オイコノミア」で、社会規範と市場規範について解説していた。

•社会規範…社会的なつながりや関係性を基にした価値判断
•市場規範…金銭的なつながりや関係性を基にした価値判断

◆社会規範が優先される例

 弁護士に時間給で相談にのってほしいと頼んだら、割に合わないからと誰も引き受けてくれなかったが、無料相談を頼んだら、快く引き受けてくれた。

◆市場規範が優先される例

 子どもの迎えに遅れてくる親が多かった託児所が、500円の罰金を課したところ、かえって遅れる親が多くなった。お金を払って済むなら遅れてもよいと考える親が増え、遅れたら申し訳ないと思う親が減ったから。

 同様の例が、サイトにあった。
==================
 あなたが座っている電車に、年配の人が乗ってきました。
席を譲ろうとした時に、「3000円あげるので、席を譲ってください」と言われたらどうでしょうか。
多くの人は、お金はもらわずに、席を譲るでしょう。でも、なんだかイヤな気分になるかもしれません。

 お正月にみんなのためにおせち料理を作ってくれた義理の母に、「ありがとう。とても美味しかったです。いくら払えばよいですか?」と言ったら、その瞬間にあなたの結婚生活は破綻してしまうでしょう。

 なぜでしょう?これは私たちが2つのことなる規範の中で生きているからなのです。1つ目の規範は、市場規範と呼ばれるものです。会社からもらう給料や、普段の買い物での支払いなど、市場での取引を前提とする規範です。この規範では、フェアな取引が最も重要になります。公平な対価をできるだけ早く支払うことが重要です。

 もう1つの規範は、社会規範と呼ばれるものです。友人関係や家族関係、地域の共同体などを保つために重要な規範です。社会規範においては、すばやく支払うことはあまり重要ではありません。お正月におせち料理を作ってもらったとしても、翌日にご馳走をもっていかなければいけないということはありません。

https://www.iec.co.jp/hs/022.html
====================

・・・我々は金銭価値だけで動いているわけではないことが、よく分かる。
 次のサイトでも、その経緯が分かる。

============================
 人は、助け合いの精神と金儲けを切り離します。
 社会規範とは、助け合いの精神のことで、誰かが困っていたら無償で助けようとする精神です。
 市場規範とは、まさにビジネスで、労力に見合うだけの対価としてお金を貰うという考えです。
 会社に遅れそうな友人がいて、好意で会社まで車で送ったのに(社会規範)、友人から千円を渡されれば(市場規範)がっかりするのではないでしょうか。
「社会規範」と「市場規範」は、基本的に、同居できないのです。
(中略)
 市場規範でいくと、報酬に見合う労働しかしてくれませんから、陳腐なサイトになって、人が集まらなくなってしまいます。 
 ボランティア精神で、金銭関係なく、頑張ってくれたからこそ、そこまで人が集まるサイトに成長したのでしょうし。

http://www.netkiwameru.com/busiura/c06.html
=============================

 次のHPも参考になった。
http://meigazasanpo.hatenablog.com/entry/140929/oikonomia

・・・さて、市場規範・社会規範というと、道徳資料に「ブラッドレーのせいきゅう書」を思い出す。

 あらすじは以下の通り (「3年生のどうとく」文溪堂より)
========================
 日曜日の朝、ブラッドレーは、お母さんに1まいの紙切れを渡した。
 その紙にはこのように書いてあった。

  ブラッドレーのせいきゅう書
     おつかいちん          1ドル      
     おそうじちん          2ドル
     音楽のけいこに言ったごほうび  1ドル
                  合計 4ドル

 お母さんは、にっこりわらって、何も言わなかった。
 お昼の時間の時、お母さんは、ブラッドレーに4ドルのお金をのせた。
 ブラッドレーは、そのお金を見て、よろこんだが、そのお金といっしょに、1まいの小さなせいきゅう書があった。
 そのせいきゅう書には、次のように書いてあった。

  お母さんのせいきゅう書
     親切にしてあげた代       0ドル
     病気したときのかん病代      0ドル
     服や、くつや、おもちゃの代   0ドル
     食事代と部屋代          0ドル
                  合計 0ドル       

 これを読んだブラッドレーは、お母さんの所へかけていき、
「お母さん、このお金はお返しします。そして、お母さんのために、何でもさせて下さい。」
と言った。
========================

・・・家族は本来、社会規範で動いている。市場規範を持ち込んだ息子に、社会規範の大切さを教え込んだ場面と言うことなら、これは面白い題材である。
 先のサイトで「一番してはいけないのは『社会規範』と『市場規範』を共存させること」とある。
 家族の中でも、お小遣い・お駄賃という形で、市場規範をもちこむことがあるが、ふだんからアルバイトのような形でお手伝いをさせていたのなら、市場規範を持ち込んだ母親にも問題があることになる。一度、お駄賃を導入したら、無償に戻すのは難しい。

 小学3年生に、そのような理屈を話しても仕方ない。
 でも、高学年なら「キャリア教育」の1つとして
 
 「人は市場価値だけで行動するわけではない。
  人は市場価値だけで職業を選ぶわけではない」

ということも教えていけるのではないだろうか。
 
 「無償の愛(慈愛)・厚意・善意」
 「慈善活動・ボランテイア」
 「社会貢献活動」
 
について、詰めていきたい。
 そのためにも、自分自身の社会貢献活動・無償行為について、もっともっと範囲を広げ、自らの無償行為を踏まえた授業を組み立てたい。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

May 03, 2015

ポール・マッカートニーと言えば

ビートルズなのだが、武道館公演が1966年、1970年4月に事実上解散したグループなので、いくら50代の自分でもリアルタイムな実感はない。
 私は、1982年にポール・マッカートニーがスティーヴィー・ワンダーとデユエットした「エボニー・アンド・アイボリー(Ebony and Ivory)」が気に入っている。

 「エボニーとアイヴォリー」とは、ピアノの黒鍵と白鍵の調和(パーフェクトハーモニー)の意味であり、黒人・白人の不調和に掛けている。

 歌詞を載せると、いろいろ問題があるらしいので、下記のサイトをご覧ください。


http://blog.goo.ne.jp/beatle-lennon/e/1b414064708409a937e1d90ccd91a91f

http://blogs.yahoo.co.jp/hmr_entertainment/9647298.html

https://www.youtube.com/watch?v=TZtiJN6yiik

ウイキによると、
◆この曲は、「ピアノの黒鍵(Ebony)と白鍵(Ivory)が一つのハーモニーを奏でるように、白人と黒人、無色人種と有色人種、すなわち人類が調和する」とのテーマをデュエットで歌い上げ、世界で反響を呼んだ。
アメリカのビルボード(Billboard)では、1982年5月15日に、週間ランキング1位を獲得。
ビルボード誌1982年年間ランキングは4位。
キャッシュボックス誌では、5月15日から6週間1位を獲得し、年間ランキングでは4位を記録した。
イギリスでも週間チャート第1位を獲得、日本でもオリコン洋楽チャートで1位を獲得した。

・・・ジョンレノンのイマジン、マイケルジャクソンのヒールザワールド同様、歌詞の重さがすばらしい楽曲である。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« April 2015 | Main | June 2015 »