「ブラッドレーのせいきゅう書」
過日、NHK教育の「オイコノミア」で、社会規範と市場規範について解説していた。
•社会規範…社会的なつながりや関係性を基にした価値判断
•市場規範…金銭的なつながりや関係性を基にした価値判断
◆社会規範が優先される例
弁護士に時間給で相談にのってほしいと頼んだら、割に合わないからと誰も引き受けてくれなかったが、無料相談を頼んだら、快く引き受けてくれた。
◆市場規範が優先される例
子どもの迎えに遅れてくる親が多かった託児所が、500円の罰金を課したところ、かえって遅れる親が多くなった。お金を払って済むなら遅れてもよいと考える親が増え、遅れたら申し訳ないと思う親が減ったから。
同様の例が、サイトにあった。
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あなたが座っている電車に、年配の人が乗ってきました。
席を譲ろうとした時に、「3000円あげるので、席を譲ってください」と言われたらどうでしょうか。
多くの人は、お金はもらわずに、席を譲るでしょう。でも、なんだかイヤな気分になるかもしれません。
お正月にみんなのためにおせち料理を作ってくれた義理の母に、「ありがとう。とても美味しかったです。いくら払えばよいですか?」と言ったら、その瞬間にあなたの結婚生活は破綻してしまうでしょう。
なぜでしょう?これは私たちが2つのことなる規範の中で生きているからなのです。1つ目の規範は、市場規範と呼ばれるものです。会社からもらう給料や、普段の買い物での支払いなど、市場での取引を前提とする規範です。この規範では、フェアな取引が最も重要になります。公平な対価をできるだけ早く支払うことが重要です。
もう1つの規範は、社会規範と呼ばれるものです。友人関係や家族関係、地域の共同体などを保つために重要な規範です。社会規範においては、すばやく支払うことはあまり重要ではありません。お正月におせち料理を作ってもらったとしても、翌日にご馳走をもっていかなければいけないということはありません。
https://www.iec.co.jp/hs/022.html
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・・・我々は金銭価値だけで動いているわけではないことが、よく分かる。
次のサイトでも、その経緯が分かる。
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人は、助け合いの精神と金儲けを切り離します。
社会規範とは、助け合いの精神のことで、誰かが困っていたら無償で助けようとする精神です。
市場規範とは、まさにビジネスで、労力に見合うだけの対価としてお金を貰うという考えです。
会社に遅れそうな友人がいて、好意で会社まで車で送ったのに(社会規範)、友人から千円を渡されれば(市場規範)がっかりするのではないでしょうか。
「社会規範」と「市場規範」は、基本的に、同居できないのです。
(中略)
市場規範でいくと、報酬に見合う労働しかしてくれませんから、陳腐なサイトになって、人が集まらなくなってしまいます。
ボランティア精神で、金銭関係なく、頑張ってくれたからこそ、そこまで人が集まるサイトに成長したのでしょうし。
http://www.netkiwameru.com/busiura/c06.html
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次のHPも参考になった。
http://meigazasanpo.hatenablog.com/entry/140929/oikonomia
・・・さて、市場規範・社会規範というと、道徳資料に「ブラッドレーのせいきゅう書」を思い出す。
あらすじは以下の通り (「3年生のどうとく」文溪堂より)
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日曜日の朝、ブラッドレーは、お母さんに1まいの紙切れを渡した。
その紙にはこのように書いてあった。
ブラッドレーのせいきゅう書
おつかいちん 1ドル
おそうじちん 2ドル
音楽のけいこに言ったごほうび 1ドル
合計 4ドル
お母さんは、にっこりわらって、何も言わなかった。
お昼の時間の時、お母さんは、ブラッドレーに4ドルのお金をのせた。
ブラッドレーは、そのお金を見て、よろこんだが、そのお金といっしょに、1まいの小さなせいきゅう書があった。
そのせいきゅう書には、次のように書いてあった。
お母さんのせいきゅう書
親切にしてあげた代 0ドル
病気したときのかん病代 0ドル
服や、くつや、おもちゃの代 0ドル
食事代と部屋代 0ドル
合計 0ドル
これを読んだブラッドレーは、お母さんの所へかけていき、
「お母さん、このお金はお返しします。そして、お母さんのために、何でもさせて下さい。」
と言った。
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・・・家族は本来、社会規範で動いている。市場規範を持ち込んだ息子に、社会規範の大切さを教え込んだ場面と言うことなら、これは面白い題材である。
先のサイトで「一番してはいけないのは『社会規範』と『市場規範』を共存させること」とある。
家族の中でも、お小遣い・お駄賃という形で、市場規範をもちこむことがあるが、ふだんからアルバイトのような形でお手伝いをさせていたのなら、市場規範を持ち込んだ母親にも問題があることになる。一度、お駄賃を導入したら、無償に戻すのは難しい。
小学3年生に、そのような理屈を話しても仕方ない。
でも、高学年なら「キャリア教育」の1つとして
「人は市場価値だけで行動するわけではない。
人は市場価値だけで職業を選ぶわけではない」
ということも教えていけるのではないだろうか。
「無償の愛(慈愛)・厚意・善意」
「慈善活動・ボランテイア」
「社会貢献活動」
について、詰めていきたい。
そのためにも、自分自身の社会貢献活動・無償行為について、もっともっと範囲を広げ、自らの無償行為を踏まえた授業を組み立てたい。
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