和久田学先生の講演
6月20日(土)、和久田学先生の講演が椙山女学園大学で行われた。
テーマは「いじめへの介入と予防」
自分の認識の甘さ・危機意識の甘さ・を痛感するばかりだった。
(1)教師の責任の重さ
文科省の定義とは別の「いじめの4つの定義」が示された。
①力の不均衡:精神的・知的・社会性などの差
②繰り返される行動:一定期間、繰り返されるネガティブな行動
③意図的なネガティブな行動
④不公平な影響(被害者には甚大な被害があるが、加害者は何とも感じていないというような意味)
この定義をトレースすると
・部活動の先輩と後輩
・部活動のコーチと部員
・教師と子ども
・学校の上司と若手教員
のような上下関係の明らかな場面でも「いじめ」と同じ事態が起こりうる。
だからこそ、
・大人が加害者にならない
・大人がいじめのモデルにならない
ことが大事になる。
それが、「大人の責任として」というスライド資料の3項目であった。
①加害者にならない
②傍観者にならない(加害者の行為を黙認しない)
③加害者のモデルにならない(加害行為に正当性を与えない)
同じく、「大人を変える!」というスライド資料に列挙された次の4項目も、教師の責任の重さを示していた。
①正しい知識を持っていない(経験則・間違った情報・思い込み)
②個人で頑張っている
③知らないうちに加害者に回っている。
④よくもわるくも、傍観者
(2)傍観者を変える
学級の1~2%である「ニーズ」のある子
学級の12~3%である「リスク」のある子
にばかり指導を注ぐと
リスクのある子が、ニーズのある子に移り、
85%の一般児童がリスクのある子に移ることがある
と言われた。
ニーズやリスクのある子にばかり注視するなという指摘は
「まず全体に、大きな課題を与えよ。然る後に個別に指導せよ。」
という子どもを動かす原則と同じだ。
和久田先生の話を聞きながら、
◆85%の一般児童を育て、よいモデルにし、よい風土をつくる
◆一般児童と重なるいじめの傍観者を変えることが、いじめ予防の最善策
と肝に銘じた。
「傍観者を変える」というスライド資料の全文は以下の通りである。
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・いじめは、普通、大人に見つからないように行われる。しかし、子どもたちの中で行われ、子どもたちの中に目撃者がいる。
(いじめの目的が、集団内での力を得ること、友達からの承認を得ることの場合が多いため)
・よって、いじめの加害者、被害者を見つけることは難しいが、傍観者(目撃者)を見つけることはたやすい。
なぜなら大人の前にいる子どものほとんどが傍観者(目撃者)であるから。
いじめの予防を考えたとき、この傍観者のグループを「物言わぬ多数派」から「思いやりのある集団」に変えることが必要である。
傍観者のグループに、いじめのない、安全な学校を作る責任を持たせることが、子どもたち全員にとって重要である。==========================
集団の教育力が、「いじめ」を許さない風土をつくる。
だからこそ、集団の教育力が機能するような「学校経営・学級経営」が重要視される。
和久田先生が、「学級風土 school Climate」と呼んだ。
このキーワードにもっとこだわって勉強していきたい。
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