「総合的な学習」の延長上に、各教科の「アクテイブラーニング」がある
総合的な学習の時間について-問題解決学習とのかかわりから-」という平成13年度講演記録をWEBで読む。
http://www.apec.aichi-c.ed.jp/project/sogo/ken/ken13/nittei_c/kouen.htm
読んでいくと、「総合的な学習」が、「問題解決学習」と強く関わっていることが分かる。
そして、
「戦後の問題解決学習」
「生活科」
「総合的な学習」
の延長上に、各教科の「アクテイブラーニング」があることも想像できる。
「経験学習や体験学習を取り入れていること、考える態度を育てること、生徒の学習が中心となること」
「教師が一方的に知識を提供しないこと、生徒が自らの学習によって知識を獲得すること」
といった共通点がある。
◆問題解決学習は、生徒が自らの疑問や葛藤から出発して、それを解決していく中で様々な知識や技能を獲得していく学習過程である。
◆コアカリキュラム連盟が提案した問題解決学習では、
「問題→その解決のための手段や計画を考案→知識の収集・交換による仮説設定→仮説の検証→問題解決」
という流れを、一つの学習過程のモデルとして提案している。
◆デューイによる問題解決の過程は、
「問題状況→問題設定→解決のためのアイデアを推測→考えを練る(知識や情報の獲得)→仮説の検証→安定した状況が再度出現する」
という段階で説明される。
◆ 問題解決学習は、以下のような特徴をもつ。
○実践知(感性・知識・行動の統合)を育てる
(後に、問題解決学習は学力の低下をもたらした原因だと批判された)。
○「探究(リサーチ)」中心の学習とのつながりがみられる。
○状況を創造する力(「生きる力」)を育成する
○教師の役割は援助者・アドバイザー・状況提供者へと変化する
「教師の力量は、生徒が問題解決能力をもった自己学習者へと育てることで評価される」という記述も興味深い。
子どもに問題解決能力を付けない限り、指導者の力量は認められないのである。
.
◆とりわけ批判が向けられたのは、「活動中心の学習」であった。
それは、生徒が活動的に動き回れば学んでいるという安易な考えに陥り、問題解決学習は「はいまわる経験主義」にほかならないという批判が高まった。
「指導しない指導」や「立場なき立場」という考えは、生徒に指導することを学んできた教師にとっては抵抗感があり、そのような指導は責任放棄や放任につながると批判された。
◆ 問題解決学習のその後
問題解決学習は、その後も主に小学校の社会科などでは継続して実践されてきた。
◆総合的な学習の時間が意味のない活動や体験にならないよう、生徒を含め他の人々を納得させるに足る「知的内容の学習」を保障することが大切である。
◆自分で調べて学習成果を制作するという作業活動が求められる生徒にとっては、すでにある程度の「自己教育(学習)力」をもっていることが前提とされる。
◆教師にとっても、教科に関する知識の専門性を高める研修のほかに、自らもオープンエンドの課題を見付けて探究していくような課題探究学習に取り組むことによって、総合的な学習の時間を指導する力量が高められるであろう。
ア 上から与えられたテーマや課題になっていないか
イ 考える教師と考えなくてもよい生徒になっていないか
ウ 興味・関心と知識、知識と実践のつながりを工夫しているか
エ 生徒と教師のための相互学習の場を目指しているか
オ 他の生徒に対する理解、コミュニケーション、協力を重視しているか
カ 教師も生徒も、協働探究者として共に学習に参加しているか
キ 学習成果や作品を、冊子やレポート集などにして残すようにしているか
ク 生徒のオリジナリティを評価しているか
ケ 生徒の自分探しや世界探しの手段として総合的な学習の時間を活用しているか
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