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July 11, 2015

「アクティブ・ラーニング型授業づくりのヒント」

「アクティブ・ラーニング型の授業を作る国語発問集の決定版」という謳い文句の書籍がある。

「読解力を育てる!小学校国語 定番教材の発問モデル 物語文編」

第1章 アクティブ・ラーニング型の国語授業をつくる教師の「発問力」
第2章 読解力を育てる!物語文の発問モデル

ウェブには、「アクティブ・ラーニング型授業づくりのヒント」のコピーがある。

http://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-191319-9

 著者の井上一郎氏は、1つ前の教科調査官で、PISA調査やフィンランドメソッドが話題になった頃、講演を聴いた。現行の『学習指導要領解説 国語編』の著者のはずだ。 

 前書きには、次のように書かれている(改行を入れました)。
===============
長年,子ども自らの主体性を重視した授業の必要性を提唱し,また,実際に指定校や研究会員の勤務校を通して教育課程においても,授業においてもその実現を図ってきた。
今,ようやくそのような主体的・協働的な学習であるアクティブ・ラーニング(Active learning)が広く求められるようになった。
しかし,まだその実現に大きく立ちはだかる問題がある。読む能力を高めるための発問が構想できないということである。
教師自ら児童・生徒がActiveになれるような発問を構想するのが困難な状況にあるのである。
単元構想なら,あるいは,授業展開なら一定の形式化を図り,周囲が支援することも可能だ。
だが,読むことの領域において,教材一つ一つの解釈を施し,発問の可能性を探る作業は,一人一人の教師にとって決して楽ではない。
精読主義でありながら,その実際は,場面や段落ごとに同じ発問を繰り返す旧来の方法では,とても新しい時代の学力観に対応できない。
==============

・・・具体的にどんな発問が並んでいるのかは、著書が手元になくて分からない。
 いずれ、具体的は発問内容いついて検討したい。

 ところで、特設教科である 「読解」のカリキュラムを編成している京都の御所南小学校へ視察に行ったのが8年前。フィンランドの教科書が利用され、9年間の「読解」を提案していた。その際の指導助言者が井上一郎氏だった。
 
(1) 読解のワークが配られ、各自取り組む。
(2) グループで話し合う(「グループ交流」と読んでいた)。
(3) 全体の場でグループで話し合った内容を発表。

 そんな感じの授業スタイルだった。ワークの答え合わせみたいな授業だった。
 研究の中では「司会力」をつけることも重視されていた。
 井上氏の発言部分の私のメモには、次のように記してある。

◆「子どもたちが主体的に授業を進めていく」
◆「司会力・対話力を系統的に育てる」
◆「日本では一斉授業の形態から抜け出せない。どうグループ学習を仕組んでいくか」

・・・今思えば、井上氏には、この頃から「アクティブ・ラーニング」が念頭にあったことが分かる。

 「文部科学省の調査官が、一斉授業より子ども主体の授業を勧めているのだとしたら、これは全国で広がる可能性がある」

というのが、当時の感想。まさに時代が、そうなろうとしている。

 ちなみに、この時の講演を聴いて、次のように感想をまとめた。
 
算数の問題解決学習と同じように、できる子だけが、ひとり学習をし、グループ交流を仕切り、全体発表を盛り上げる。できない子はお客さん状態でスポイルされていく・・そんな不安が消えない。

 当時のメモによると、井上氏は
 
◆「教師が押さえるべきところはきちんと押さえる」
◆「最後の10分は教師がきちんとよかったところ・よくなかったところを指導する」

と述べている。
 一方、フィンランドの国語教科書を作成したメルヴィ・バレ女史の発言部分のメモには

◆「できる子とペアを組むと全部やってしまう」
◆「グループ学習は、さぼる子が出ることもある」
◆「明確な作業指示をすれば全員作業できる」

とある。

 このような但し書き(諸注意)が無視されて、お手軽にやらせっぱなしのグループ学習が増殖していくのだろうか。
 子どもが教師代わりに司会をしたり相互指名したりする授業が広がっていくのだろうか。
というのが、当時の感想。
 「アクティブ・ラーニング」の不安の根本が、ここにある。

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