アクティブラーニングは、今までの指導でよいはずがない。
教育開発研究所が出している「教職研修資料」7月11号は、「アクティブ・ラーニングを進化させる」(小島宏)であった。
http://www.kyouiku-kaihatu.co.jp/uploads/file/material/pdf/rf55a2fc9507c30/kenshu503.pdf
「アクティブ・ラーニングの意味」は、中教審の用語集から取り出しているので同じ。
ただし、「源流としての『単元学習』」の箇所は曲者である。
要約すると
「かつての単元学習は、アクティブ・ラーニングに酷似している」
と言う主張になる。
安易に考えれば、
「アクティブ・ラーニング」は昔からあった。
↓
だから、目新しくない。
↓
今まで通りの指導でよい
ということになってしまう。
◆かつての単元学習(要約抜粋・文部省「学習指導要領一般編(試案)」昭和26年)は、
「教師によって、一方的に課せられる課題の学習ではなくて、児童・生徒の必要・関心・目的・問題などに基いた意味ある問題解決の学習で、目的が意識され、生き生きした学習である」
「教師と、児童・生徒との協力によって計画がたてられる弾力性をもった学習である」
「単元の目標を達成するためには、単に教師の話を聞き、教科書を読むというだけではなく、必要な資料を集めたり、それをもとにして討議したり、まとめたり、批評しあったり、その結果をいろいろに表現したりするような多様な学習活動を行う」
「単に、目標に照して、価値ある理解が深められるだけでなく、望ましい態度が身につけられる能力が練られる」
と、説明されている。
アクティブ・ラーニングに酷似している。
「活動あって学びなし」と批判されたが、改めて問い直したい。
・・・そして、「今後の対応の在り方」として次のように結んでいるが、危機感(教育改革への気概)が感じられないない。
◆以上のように、小中学校では以前から実践してきている。だから「このままでよい」のではなく、これからの社会で生き抜く児童生徒に「どのような資質・能力、態度を育成するか」という視点に立って研究し、さらに進化させることが重要である。
ちなみに、「現時点における小中学校の例」を見ると、
◆<学習活動>作業的な学習、観察・操作・実験・見学・調査などの活動、算数的・数学的活動、
<体験活動>○○ごっこ、疑似体験、自然体験やボランティア活動など社会体験、ものづくりや生産・飼育栽培など体験活動、
<協働学習>グループ学習、教え合い、協働で行う創造活動、他者と協同して問題を解決する活動、
<問題解決>問題解決学習、探究活動、興味・関心に基づいて課題を設定し解決する学習、
<話合い活動>発表や討論・議論で考えを深める話合い、意見をまとめる話合い、問題解決学習では問題を各自で解決したことを共通理解するグルー
プの話合い(ダイアログ)、まとめるための全体の話合い(ディスカッション)が行われる。なお、ゲーム、シミュレーション、ロールプレイ、役割演技、プロジェクト学習等の取組みもある。
これだけ列挙されたら、何か1つは必ず取り組んだ経験があるはずだ。
結局、「アクテイブ」でせあれば、何でもありに読める。
「アクティブ・ラーニング」は今でもやっている。
↓
目新しくない。
↓
今まで通りの指導でよい
ということになりかねない。
小島氏の真意は「活動あって学びなし」の批判の二の舞にならないようにということなのだろう。
小島氏の本意ではないかもしれないが、「今まで通りでいいのですよ」とも読める。
要注意の解説である。
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