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December 06, 2015

アメリカの人格教育と日本の道徳教育

 アメリカの人格教育が気になってネット検索した。

「アメリカにおける道徳教育の新たな展開」

宮本浩紀氏の早稲田大学大学院教育学研究科紀要別冊 2013年3月
https://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/39547/1/KyoikugakuKenkyukaKiyoBetsu_20_2_Miyamoto.pdf

 「人格教育の特質」の項が分かりやすくてありがたい。

◆人格教育は、アメリカにおいて主として1990年代以降実施されてきた取り組みである。同国における道徳教育では、人格教育が注目される以前の1960~1970年代に、「価値の明確化」や「モラルジレンマ」という教育方法が多くの学校現場において活用されていたが。これらの教育目標は、教師が子どもに価値を押し付けるのではなく、子ども自身に価値を見出させることを目指す点に特徴があった。そのような目標が見出された背景には、ベトナム戦争の失敗などを通じて、国家・社会の提示する価値観のすべてが正しいわけではないという現実理解がが広がったことがあげられるが、「価値の明確化」や「モラルジレンマ」という教育方法は、そのような理解に基づいて、子どもが自らの判断に基づいて身に付けるべき価値を選択することを目指すものであった。だが次第に、子どもの問題行動への注目などを背景として、次第にそれらの教育方法の限界が見出されることになる。教育関係者の間において、大人(教師や保護者)が子どもに対して明確に身に付けるべき価値を示す必要があるのではないかということになり、子どもの道徳性の育成における新たな取り組みの創出が望まれたのである。
 そのような状況において注目された取り組みが人格教育である。

・・・・・・このように見ると、日本の事情と重なる。
 日本では、太平洋戦争後、国家・社会の提示する価値観のすべてが正しいわけではないという現実の理解が広がったと言えるし、次第に、子どもの問題行動への注目などを背景として、子どもに明確に身に付けるべき価値を示す必要に迫られたと言える。
 アメリカの「そのような状況において注目された取り組みが人格教育である」に対応するのは、「そのような状況において注目された取り組みが『道徳の教科化』」と言えるだろうか。

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