「レジリエンス」について理解を深めよう
プラス思考とかポジテイブシンキングとかオプティミズムといった意味合いと同じように使われている言葉に「レジリエンス」がある。
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「レジリエンス」とは、物理学の用語で「弾力、復元力」を意味します。
心理学では「立ち直る力・逆境でもしなやかに生き抜く力』という意味で用いられます。つまり、強いストレスにさらされても負けない力、立ち直れる性質を指します。
レジリエンスが強い人はいくつかの共通点があることが分かっています。
①自分を信じてあきらめず、いつかよい時期が来ると思うことができること。
②感情のコントロールが適切に行えること
③失敗に落ち込むのではなく、失敗を今後に生かそうと考えること
レジリエンスは自分の努力で高めることができます。
◆自分を否定しない考え方を身につける。
◆結果よりもプロセスに目を向ける習慣を身につける
「仕事で使える心理学」榎本博明参照
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・・・これは孫引きの引用。
愛知県で発行される「福利あいち」の1月号から引用した。
せっかくなので、「『レジリエンス』とは何か」枝廣淳子著(東洋経済新報社)に目を通してみた。
レジリエンスの要素、要因としてさまざまな文献のさまざまな分類が示されている。
例えば、次の3つ。
➀「多様性」
②「モジュール性」
③「密接なフィードバック」
➀の「多様性」は、「リスク分散」と同じ考え方。
自分がさまざまな立場をもっていれば、どれか1つうまくいかなくても、全体が倒れることはない。
②の「モジュール性」は、「個の自立」と同じ考え方。
ふだんは全体とゆるやかにつながっていても、いざというときには切り離しても自分たちだけで成り立つ、「自給自足」できる個の強さだ。
③の「密接なフィードバック」は理解が難しかったが、「システムのある部分に起こる変化を、他の部分が感じて反応する速さと強さのこと」とあるから、正確で素早い情報収集といったところだろうか。
他にも3つの分類がある。P58
➀粘り強く問題を解決する「意欲的活動性」
②他者との内面の共有を求める「内面共有性」
③物事をポジテイブに捉える「楽観性」
「精神的回復力」も3つの要素 P59
➀新奇性追求(興味・関心が多様であること)
②感情調整(感情のコントロール)
③肯定的な未来志向(将来の見通しが明るいと思っていること)
ハーデイネス(頑健さ)と呼ばれる「レジリエンスを高める姿勢・心持のパターン」として、3つのCと2つのスキルを挙げている。
【3つのC】
➀コミットメント(正面から関わる)
②コントロール(制御)
③チャレンジ(挑戦)
【2つのスキル】
➀問題解決型の対処
②支えの交流
別のページでは、7つの特性。P56
➀「洞察」 ②「独立性」 ③「関係性」
④「イニシャテイブ」 ⑤「創造性」
⑥「ユーモア」 ⑦「モラル」
・・・この7つの中の「独立性」は、「モジュール性」に近い。
「関係性」は、「多様性」に近い。
「イニシャテイブ」は、「感情調整」「制御」に近い。
「ユーモア」は、「楽観性」に近い。
さて、「多様性」「関係性」は、「脱依存」とも言える。
危機管理で言えば「リスク分散」。
エネルギー問題で言えば「ベストミックス」の考え方である。
級友・近所の子・塾・クラブなど、さまざまな自分の入る集団があれば、それだけ相談できる相手が多くなる。
また、タイプの異なる集団に属していれば、自分を客観視できるし、ある1人の言動の善し悪しも冷静に判断できる。
頼る子が1人しかいないと、その子を失った途端に路頭に迷ってしまう。
所属集団が少ないと、その中の立ち位置だけがすべてになってしまう。
オールインワンの相手がいること・1つの集団の中でよい位置にいることは貴重だが、「複数の顔・複数の立場」をもっていることが望ましい。
◆「あなたは、気の許せる集団が、どれほどありますか?」
を問いかけ、所属集団が少ない子は注意したい。
「多様性・関係性」と相対関係にあるのが、「モジュール性・独立性」。
頼るべき存在を失っても、1つの集団を失っても、揺るがない強さ(しなやかさ)がほしい。
先にも書いたように、頼る子が1人しかいないと、その子を失った途端に路頭に迷ってしまう子が多い。、
いざとなったら1人でも生きていける強さがないと、「依存」から抜けられない。
しなやかな心をもつということは、いざとなったら1人でも生きていける強さをもつことだ。
自分の身は自分で守る「自助努力」のススメとも言える。
小さなレベルで言えば
◆「あなたは1人で帰れますか。1人でトイレに行けますか?」
である。
何かと群れたがる子は要注意である。
時には「そんな友達なら、いなくたっていいじゃないか」と言い切る「個」の強さがほしい。
・・・様々な分類があり、様々なキーワードがある。
同じような意味合いのものもあるし、全く異質なものもある。
単なる頑丈さではポキリと折れてしまうから、「復元性・しなやかな強さ」の重要さが問われている。
大人にも子どもにも大切な復元力=レジリエンスだから、しっかり学んでおこうと思う。
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