「鍛錬」の回数は、マジックナンバーと一致する
かつて、中学校の学年通信の新年号に、下記のように書いた。
◆練習の「練」の昔の字は、糸偏に束と書いて、その束の中に「八」を書きました。
「八」は選り分けるという意味なので、「練」は、たくさんの糸の束からいいものを選び出すというのが元々の意味なのだそうです。
だから「練習をする」は、何度も繰り返す中でいいものを引き出すという意味になります。いいものを引き出せない練習は「練習」と言えないのです。
◆「練習」よりレベルの高い言葉で「鍛錬(たんれん)」という言葉があります。
「鍛」は千回の練習、「錬」とは1万回の練習。つまり「鍛錬」とは1万1千回の練習のことなのだそうです。
百日の努力が約1か月。千日の努力が「石の上にも3年」と言われる約3年。
1万は「どんな仕事も1人前になるには10年」と言われる約10年の努力です
・・・書いた後で間違いに気づいた。
10000割る365は、約27.4。
1万日は、27年というすごい年数だった。
簡単に1万日はクリアできないことがよく分かる。
さて、昨年末に読んだ「天才! 成功する人々の法則」(講談社)。
この中の「1万時間の法則」の章を読んで、「鍛錬」と同じ考え方なんだなと納得した。
一つの分野の世界レベルに達するために必要な練習量が1万時間であると法則。
◦毎日3時間のトレーニングでおよそ10年
◦毎日8時間のトレーニングでおよそ4年
1万時間は「成功へのマジックナンバー」であると述べている。
◆バイオリニストへの調査によれば、5歳ごろから始めて、最初の2、3年はみんな同じくらいで週に2、3時間。
しかしトップクラスになると、他の誰よりも練習に励むようになる。
9歳で週に6時間。12歳で週8時間、14歳で週16時間、20歳の頃は週に30時間以上。
トップクラスの学生の総練習時間は、1万時間に達していたが、優れた学生は8000時間、将来の音楽教師グループは4000時間程度だった。
アマチュアのピアニストは週3時間以上は練習していなかったし、20歳時点の練習時間の合計は2000時間。
プロの場合は、20歳のころには1万時間に達していた。
◆トップになれるかなれないかを分けるのは、「熱心に努力するか」どうかによることを示していた。
彼らを分けるのは、ただそれだけ。
さらに重要なことに、頂点に立つ人物は(中略)圧倒的にたくさんの努力を重ねている。
◆専門家たちは、世界に通用する人間に共通する「魔法の数字」があるという意見で一致している。つまり1万時間である。
◆不世出の天才モーツァルトでさえ、本来の才能を発揮するのは作曲時間が1万時間を過ぎた後なのだ。訓練は優れたレベルに達した後ではなく、優れたレベルに達するために行われる。
・・・ビートルズも世に出る前の下積み時代があり、その長時間のステージ演奏が、腕を上げるのに役立ったとある。
◆ハンブルクでは、1日8時間もステージに立たなくちゃならなかったから、新しいやり方を見つける必要があった。
演奏もうまくなり、自信もついた。一晩中、演奏してたんだから、嫌でもそうなるだろう。客が外国人なのもよかった。観客にわかってもらおうとますます必死に、全身全霊で努力した。
◆僕たちの噂が広まると、クラブに客が詰めかけるようになった。週に7日働いた。最初は、ほとんど休憩なしにステージに立ち、閉店の12時半には仕事は終わったが、演奏がうまくなると、たいてい夜中の2時まで客が帰らなかった。
◆学んだのは体力だけじゃない。ものすごい数の曲も覚えなくてはならなかった--思いつく限りのあらゆる曲を。ロックだけじゃない。ときにはジャズでさえ。それ以前はステージで鍛えられてなかった。だけど帰ってきたとき、ザ・ビートルズは他のどんなバンドとも違っていた。それが成功を呼び込んだんだよ。
・・・1万時間については、この本を含め、さまざまな引用でまとめたのが、次のサイトである。
http://matome.naver.jp/odai/2135372857393394401
ただしイージーに1万時間を推奨していないのが、次のビルゲイツの言葉。
◆「一つのことに1万時間費やせばその分野にずば抜けて強くなる」という人もいるが、私はそんなに単純だとは思わない。
実際には50時間を費やした後、90%が脱落する。好きになれない、向いていないという理由でだ。
そしてさらに50時間費やした人の90%があきらめる。このような普遍的なサイクルがあるんだ。
運だけでなく、続けるだけの熱意も必要だ。1万時間費やした人は、ただ1万時間費やした人ではない。
自分で選び、さまざまな過程の中で “選ばれた人” なんだ。
(出典 人生と経営に役立つ名言・格言・いい言葉)
・・・1万時間の法則は、必ずしも科学的ではないかもしれないが、経験則としては時間できる。
1万時間練習すれば必ず成功するというわけではないから、「成功のための十分条件」ではないが、「成功のための必要条件」とは言えるかもしれない。
1万時間のやり抜いた人を「天才」と言うのかもしれないが、
1万時間もかけないで成功をおさめた人がいたら、それこそ「天才」と呼ぶべきなのかもしれない。
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