スマホネイテイブ世代
朝日新聞の1月3日号の一面は「スマホ世代 動き出す」という見出しでベンチャー企業で働く2人の若者を取り上げていた。
「灘中高に在学中から国内外のプログラムコンテストで賞を獲得してきた。昼間は昨春入学した筑波大で授業。夕方以降は都内のオフィスで働く」という「TEAMBOX」の矢倉大夢さん。
もう1人は、「15歳のときに起業した会社で働く仲間たちを率いる」という「GNEX」社長の三上洋一郎さん18歳。
ノーベル賞を受賞するような科学者も、ソニーやホンダのような優れた技術者も、戦後の教育では出てこないのではないかと言われてきた。
しかし、昨年ノーベル賞受賞の梶田さんは1951年生まれ。青色LEDの天野さんは1960年、iPSの山中さんは1962年生まれだから、立派な戦後世代だ。
戦後世代がノーベル賞を受賞する事実が出てくると、今度は「まだ経済成長期はよかったが、今のゆとり教育の世代はだめだろう」などといった声があがる。
いつまでたっても「昔はよかったが、今はダメ」でありたいと願う自虐的なところが日本人の国民性なのかもしれない。
さて、冒頭のスマホ世代。「スマホネイテイブ」世代とも言う。
物心ついたときから、手元にスマホがあった世代は、これまでとは生き方や発想が全く違うということは想像に難くない。
いつも手元に「ネット上の情報」があり「友達から得られる情報」があるのだ。腕時計1つだって身につけると癖になってしまうのだから、スマホが依存症になるのは仕方ないとさえ思う。
◆働く仲間はほぼ全員、ツイッターで初めて知り合った高校生や大学生たちだ。会議の大半はオンライン。業務管理や人事考課、経理システムも自前で開発した。海外の文献も読みこなし、面白そうな技術はいち早く社内システムに取り込む。その感性とスピードに大人は目を見張る。
との特集の記述にも圧倒されるが、驚いてばかりもいられない。
ネットでビジネスを始めるカリスマ中学生が登場した「希望の国のエクゾタス」を村上龍が書いたのが1998年。
現在、巨大LINEグループで18000人規模のSNS「匿名クラブ」を仕切っているのは16歳の高校1年生とのことだから、小説のような自体が現実化しているのだ。
http://kakeru.me/twitter/snl-mikagoshi/
上記のサイトのインタビューで天越クンは次のようにネットのメリットを語っている。
◆帝越:個人で何かをするっていうのは、リアルだと難しいことも多いし、特に僕みたいな学生には限度があります。でも、ネットだと、年齢やバックグラウンドを問わずに影響力を持つことができるし、それをゼロから積み上げていくスピードもリアルより早い。それはネットの持つメリットですよね
「スマホネイテイブ」は、「早くからプログラミングや英語に関心をもち、使いこなせる程度に習得しているのも特徴」だともある。
1万時間を早くクリアした者が、そのジャンルでのトップになれるのだとしたら、今の若者はスマホ活用の草分け的な存在になるビッグチャンスを与えられている。
今の若者たちを見下したり、嘆いたりするのは簡単だが、彼らは間違いなく新しい時代を創る。彼らのスマホ依存を理解し、支援していきたいと思う。
「教育」カテゴリの記事
- 「探究的な学習」の探究(2)(2024.10.07)
- 「探究型の学習」の探究(2024.10.07)
- 授業における「関所」の感覚(2024.10.02)
- 「先生は教える」「子供は教わる」#野口芳宏(2024.10.01)
- 特別支援教育は、「個別最適」の原点(2024.10.01)
Comments