スマートフォン依存と「マシュマロ・テスト」
中学生の3割、高校生の5割が「携帯電話やスマートフォンが気になって勉強に集中できない」という報告がある。
ベネッセ教育総合研究所の「第5回学習基本調査」データブック [2015]
http://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=4801
特に、「家庭での学習」のデータが興味深かった。
1.平日の学習時間・宿題の時間
2.宿題の種類
3.家庭学習習慣
4.テスト勉強の開始時期
5.家での学習の様子
6.本やメディアへの接触
7.学習とICTメディア
注目すべきは、スマートフォン使用に関わる「学習とICTメデイア」の項目で、次のようにまとめられている。
◆「携帯電話やスマートフォンが気になって勉強に集中できない」と感じている中学生が30.8%、高校生が47.4%である。
それらを成績自己評価別にみると、中高生とも成績が低い層ほど肯定率が高い傾向がみられている。
・・・成績が低い層ほどスマートフォンが気になって勉強に集中できないという結果は、「自制心」を調査した「マシュマロテスト」と同じである。
「成績の低い子ほど、自制が足りない」のか、「自制心が足りないから結果として成績が低い」のかは定かではないが、そこに関連があることは言えそうだ。
「マシュマロテス」トでは、我慢できた子どもは目をそらしたり、後ろを向いたりして、むしろマシュマロから注意を逸らそうとする傾向があることが観察されている。
スマートフォンを手元に置いて勉強する中学生が全体で44%、高校生全体で69.4%などとの結果も出ているが、手元に置きながら「集中できない」と嘆くのは愚かな対応だ。
今の日本の若者にとって、学習の時間をいかに増やすかという問題は、スマートフォンの利用時間をいかに減らすかという問題と直結している。
勉強中はスマートフォンは別の場所に置かせる家庭ルールや個人の強い意志(ルーティーン)がないと、学習時間は確保できない。 だからこそ、スマートフォンの誘惑を断ち切れる「学習塾」という学習環境が、成績向上に直結するわけだ。
それにしても、「スマートフォンに対する自制心」は、もはや社会問題であるとさえ思う。
家庭の問題とはいえ、学校がサポートしていかないと犠牲者は子どもである。
教育は、国家の存亡に関わるのだから、大げさに言えば、スマホ依存が国家の危機でもある。
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