日米仏の作文指導(思考指導)
先のブログ。ハーバード合格の鍵は「エッセー」の続き。
◆日本の作文の二大テーマは「学校行事」と「読書感想文」
◆アメリカの作文指導で重視されるのは「エッセイ(小論文)とクリエイティブ・ライティング(創作文)
◆フランスは、小学校では「正しく」書くこと、中学校では「美しい文」を書くこと、高校では「論理的な構造」で書くことと
・・・であるらしい。作文の指導にはお国柄が出るし、国策が出ることがよく分かる。
なお、ここでは、エッセイは「小論文」として規定されている。
◆日本の作文の特徴は「時系列で書き、説明も理由付けも区別しない」こと。
◆アメリカで指導されるエッセイ(小論文)は、「因果律」で書かされ、創作文は「時系列」で書かされる。
「因果律型」の思考表現スタイルとは「最初に主張を述べ、次にその主張を裏付ける証拠を三つ挙げて、最後に結論として再び主張を繰り返す」という構造。
◆フランスの小論文の構造「弁証法」
一般的な視点(テーズ=正)とそれに反する視点(アンティテーズ=反)を統合(サンテーズ=合)し、新たな理解の枠組みを生み出すもの。
自分の主張のみを一直線に展開するアメリカの小論文の書き方とは好対照である。
・・・であるらしい。そして、3国のまとめ。
◆日本は「時系列で出来事を追いながら歴史上の人物の気持ちになって『共感』することで歴史理解を深める」。
◆アメリカは「結果から振り返って出来事がなぜ起こったか原因を特定する」。
◆フランスは「時系列で出来事を追いつつ、さまざまな原因を挙げながら、歴史の大きな流れを俯瞰して出来事を位置付ける」。
・・・こうした作文指導の違いや思考表現スタイルの違いを踏まえた上で、先のブログで示したような「エッセー」を書くことの意味・エッセーに盛り込まれる内容の意味を理解しないといけない。
この論文は、次のようにまとめられている。
◆まさに「物語」「説明」「論証」という3大基礎様式の違いが分かり、書けることこそグローバル・スタンダードを満たす知識・学力といえます。
・・・「物語」「説明」「論証」という3大基礎様式の違いと言われて、即答できない自分が中学校で国語を教えていたことのだと思うと、穴があったら入りたいくらいである。
【出典】
日米仏の思考表現スタイルを比較する
──3か国の言語教育を読み解く─
渡辺雅子[国際日本文化研究センター助教授]
http://berd.benesse.jp/berd/center/open/berd/backnumber/2006_06/fea_watanabe_01.html
6ページ分あります。
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