「努力不要論」 は、努力の方向を示している
「努力不要論」――脳科学が解く! 「がんばってるのに報われない」と思ったら読む本
というタイトルは挑発的だ。
しかし、「努力にも適切な努力、と無駄な努力がある。無駄な方向の努力は不要」という意味だったので安心した。努力を真っ向から否定した本ではない。
「努力不要論」のタイトルのきっかけは、前書きで引用した明石家さんまの言葉にあるだろう。
◆「努力は報われると思う人はダメですね。努力を努力だと思ってる人は大体間違い」と持論を展開した。
「好きだからやってるだけよ、で終わっといた方がええね。これが報われるんだと思うと良くない。こんだけ努力してるのに何でってなると腹が立つやろ。人は見返り求めるとろくなことないからね。見返りなしでできる人が一番素敵な人やね」
・・・無限定な努力・過大な努力への期待が不要なことは言うまでもない。
◆見返りを期待して、楽しくないものに苦痛を伴う努力を重ね、恨みをため込むくらいなら、やめたほうがいい―
◆ポテンシャルがあって、努力もしているのに結果が出ないときは、そういう間違った努力”の可能性がある。
まず自分が何をしたいのか、そのためにはどうすればいいのか。それを知るための努力が、本当に必要な努力
◆ いつか成功できる、などというのはくだらない幻想です。この本を読んでくださったみなさんが、努力信仰に惑わされず、目の間にある毎日を豊かに味わって行かれることを心から祈念しつつー。
・・・自分も、無限定に「あきらめらければ夢はかなう」と信じるのは危険だと思う。
そのことは以前も書いてきた。
http://take-t.cocolog-nifty.com/kasugai/2008/09/post-a10c.html
中野氏は、
◆真の努力というのは本来、成果を出すために必要な①目的を設定する、②戦略を立てる、③実行する、という3段階のプロセスを踏むことです。
と言う。
いくら努力を積んでも、ウサイン・ボルトにはなれないとか、いくら努力しても変化しないのは負荷が足りなかったというくだりは、「トレーニングの原理・原則」とも通じる話だ。
○オーバーロード(過負荷)の原理
適度な負荷がないと効果は表れない。
○漸進性の原則
負荷を徐々に(漸進的に)上げていく。
○反復性の原則
トレーニングの効果を得るには、繰り返し行う。
中野氏の文章は分かりやすい。
◆「自分はこれだけ正しいことをしたんだから、許される」という言い訳を、なんと無意識のうちに脳がやってしまっているのです。
◆自分を痛めつけることを努力だと思っているのが日本人という傾向はあるようです。
◆才能があるかないかというのは、自分が持っている適性知って、自分の評価軸を確立できているかどうかということに尽きます。その意味では、才能のない人というのはこの世に存在しません。ただ、自分に何ができるのかがわかっているかいないかの差だけがあるのです。
◆もしも、自分には才能がないと思ったら、自分を取り巻く環境と自分の持っている資質のどこが適合しないのか、考える機会を与えられたと思ってください。
◆自制心を鍛えるためのトレーニング、相手の気持ちを忖度できる力を伸ばすための遊び、目先の利益を捨てて将来のより大きな利益を選択できる力を鍛える練習などが子供の一生を豊かなものにする教育といえるでしょう。将棋や囲碁などは適している遊びだと思います。
・・・無駄な努力と、有益な努力を区別して、豊かな生き方をしていきたい。
以下のブログも参考になりました。
http://rukakobuta.hatenablog.com/entry/2015/02/19/234508
http://blog.goo.ne.jp/cqad/e/2ed8d2582246880038843b1186e4af8b
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