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May 05, 2016

「やる気が出る・出ない」について~『勉強法の科学』より~

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 「やる気が出る・出ない」について、『勉強法の科学』市川伸一著 岩波下学ライブラリーでも調べてみた。p89~92

【期待・価値理論】

◆たとえばアトキンソンの期待・価値理論では、動機づけは、期待と価値の積によって決まると考えます。(中略)たとえば志望校をめざして受験勉強をしている生徒が、どれくらいやる気になるかは、受かる見込みがどれだけあるかということと、その志望校がどれくらい魅力的であるかの両方の強さで決まります。積ということは、どちらかがほぼゼロであれば、一方だけが高くても意欲は湧いてこないということです。

…期待と価値の「積」か。なるほど、価値が低ければ無論やる気は下がるが、高すぎる価値でもやる気につながらない。
 適度な「励まし」、適度な「目標設定」でないと、やる気を喚起できないわけだ。


【随伴性の認知】

◆その期待、つまり見込みですが、それは自分が努力すれば目標が達せられるという経験をどれだけ積んできたかによるでしょう。やれば成功するし、やらなければ失敗すると思っているかどうかです。これを行為と結果の随伴性の認知といいます。

【学習性無力感】

◆セリグマンの学習性無力感の研究は、自分の行動と結果が随伴しないことを学習してしまうと、動物でも無気力になってしまうことを示しています。(中略)
 「学習性」というのは、「学習することに対して無気力になる」という意味ではなく、原語にもleanedとあるように、「学習された無力感」ということです。つまり無力感は先天的なのではなく、「やってもどうせだめだ」という経験を通じて後天的に獲得されたものだというわけです。


・・・無力感は後天的に「学習される」もの。学校や家庭で「どうせダメ・どうせ無駄」と教え込まれたら、やる気はすっかりスポイルされてしまうのだ。

【結果期待・効力期待】

◆バンデユーラの提案した結果期待と効力期待という考え方にも触れておきましょう。
 結果期待とは、自分がある行動をとればよい結果を得られるだろうという期待のことで、随伴性の認知にあたります。一方、自分はそのような行動を実際にとれるかという期待が効力期待といわれるものです。
 たとえば、1日8時間勉強すれば必ず合格するだろうという結果期待をもっていても、自分が1日8時間勉強するという見込みがもてなければ、効力期待は低いことになります。(中略)
 「これをやればいい結果になる」という確信のもてる内容にすると同時に「これなら自分でもできそうだ」という実行可能性の高いものにしないと、やる気は湧いてこないわけです。

・・・期待と価値の「積」と同じ意味だな。

【セルフ・ハンデイキャッピング】


◆無意識のうちにやる気を控え、仮に成績が悪くても「自分は本当は頭がいいのだけれど勉強しなかっただけだ」という言い訳を用意しているのではないかとわけです。なぜそんなことをするのでしょう。それによって、自分の自尊心やプライドを維持する、あるいは、人からの評価を損なわないようにするためです。(中略)
 「やらなかったからできなかっただけだ」「やればできたはずだ」と思いこんでいる状態というのは、努力しなくても自尊心や評価が保てる状態なので、ある意味、居心地がいいのです。セルフ・ハンデイキャッピングは、「自尊心を守るための心のメカニズム」ではありますが、それを続けていると、いずれ、自尊心も評価も失うときがやってきます。勉強にしても、スポーツにしても、楽器演奏にしても、普段の練習の蓄積の上に成り立っているものです。どこかで悪循環を断ち切らなくてはなりません。そのきっかけは、いたるところにあるはずです。学習動機の2要因モデルでいえば、関係志向でも、報酬志向でも、その動機でもいいので、とにかくやってみることです。やってみたら、できるようになった、おもしろくなった、という経験をつかむことが重要です。(p95/96)

 「やればできるのにやらない子」は、「本当はできるのだから」が根底にあるから、真摯な態度で現実に立ち向かわない。
 「そのうちやる」では、いつまでもできるようにならない。そのことを認めない限り、落ちていくだけだ。
 「やればできる(けど、今はやらないだけ)」という思考は、過剰な自己肯定感なのだと思っていたが、自己防衛の本能だったのか。
 「セルフ・ハンデイキャッピング」という負の用語があるんだよ、現実から逃げているだけで、今後もっともっと困るのは自分なんだよ、としっかり説得できるよう理論武装したい。

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