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June 24, 2016

我慢・自制・刺激統制

 中野信子氏の 『教育技術』連載  Do You 脳 「人のココロ」
 タイトルは、どうしようもなく情けないが、内容は勉強になる。
 7月号では、

「ダラダラしがちな子どもたちのやる気を引き出すためにはどうすればよいのでしょうか」

ということで、認知科学的な対処法を紹介している。

①余計なものを排除する
②大人も一緒に取り組んでみる
③できる目標を立てて達成感を与える
「毎日少しずつ取り組めば、最後にはできるようになる」ということを、体で覚えさせるのです。
④上手にご褒美を与える
⑤5分間だけ昼寝をさせる
⑥アウトプットをさせる

 ⑥まであるが、①だけでも十分意味がある。

◆余計なものを排除する
 
 子どもの集中力をアップさせるためには、まず、余計なものを視界から排除してあげることが有効です。
 例えば勉強中に、勉強道具以外は近くに置かないようにしましょう。

・・・特別支援や療育の研究資料では、よく「刺激統制(距離を置く)」などと言われる。
 集中の訓練のための環境整備として、雑音を排除したり、視覚刺激が入らないようにしたりする。

 ただし、表記が微妙である。
 「排除する」なら、子供の行動、「排除してあげる」なら、第三者の行動になる。
 今回の中野氏の回答は、教師・保護者向けだから、やる気の上がらない子どもをどう支援するかの立場で書いてある。

 学習環境の第一歩、学習をスタートさせる第一手は、「誘惑(余分な刺激)の排除」。
 しかし、誘惑の排除を子供自身で行うのは難しい。
 家庭学習を進める上で、支援者が誘惑の排除を手伝ってくれるかどうかの差は大きいとつくづく思う。
 自分で、誘惑を排除できること(自己統制)が望ましいが、それが困難なら、教師や保護者が支援するしかないのである。

 ところで、「マシュマロ テスト」は、誘惑に耐えるテストだ。
 目の前にマシュマロがあると、我慢するのは難しい。
 その一方で、実物の代わりに写真があると、逆に励みになって我慢しやすいというのだから、誘惑の抑制は実にややこしい。

 「誘惑への抵抗」を調べる実験としては、「ミスター・クラウンボックスのささやき」もある。

 実験者は、作業中にクラウンボックスが誘いかけた時の自分への言い聞かせ方として3つを提示した。

①誘惑を抑える言い聞かせ「クラウンボックスを見ないんだ」
②ごほうび志向「あとで、おもちゃで遊ぶんだ」
③課題のやりとげ志向「私は仕事をするんだ」

 ③の課題やりとげ志向 は、「言い聞かせなし」よりも成績が低かったのが、①②は、成績がよかった。
 他人からの言い聞かせ(外的統制)ではなく、自分自身の言い聞かせによる自己統制に移っていくことの大切さを示す実験結果である。

 誘惑に耐えるために、後回しにする方法は、「if-then戦略(交換条件)」と言われる。
 「勉強が終わったら、おやつにしよう」という形で、自分に約束する方法である。
 他人に宣言すると、さらに成果が上がる。

 ただし、誘惑を中断すると、気になって仕事がはかどれない。
 「テレビを途中で消して仕事を始めると、気になって集中できない」というように、中途半端に放り出した問題については、脳が忘れないようにと注意を喚起することを「ザイガルニック効果」と言う。

 そして、我慢をしすぎると、次の課題の時に折れてしまう「自我消耗」が起こる。そして、かえって欲求が強く残ってしまうと言う。

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※人は精神的疲労に勝てることもあるが、意志力を発揮したり決断を下したりすることでエネルギーを使い果たせば、やがて誘惑に負けてしまう。

※被験者を自我消耗の状態にしたところ、感情にはっきりした変化は現れなかったが、すべてのことに対する反応が強くなったというのだ。
(中略)感情だけでなく欲望も強く感じるようになり、クッキーを一つ食べたあとに、もう一つどうしても食べたくなり、可能なら実際に追加のクッキーを食べた。
またラッピングされた箱を見ると、開けてみたいという特に強い欲求を感じたという。

 『WILLPOWER 意志力の科学』 ロイ・バウマイスター インターシフト発行2013
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 意志力の消耗は、脳の糖分の消耗とも関連があるのだとも書いてある。
 ダイエットをすると、かえって食欲が強くなり、食欲に対する抵抗力も弱まってしまうから、ダイエットできないという「パラドックス」が起こるらしい。
 おかしな話だ。
 意志力を気合だけで解決させようとすることが、いかに愚かがよく分かる。
 さらに、あまりに我慢をして、結果が伴わないないと、やけを起こすような行動になってしまう
 「今日は早起きしようと思っていたのに、寝過ごしたので、あきらめて2度寝する」というような、笑えない行動だ。

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 ダイエットに努力しているのに、お昼についつい食べ過ぎてしまった。
 その日の夜、ダイエットしなければならないのに、気力が失せて、ますます食べてしまう。
 「今日は無理だったから、明日からダイエットしよう」
 「今日は制限カロリーをオーバーしたから、もう関係ないや」

 このような心理を「どうにでもなれ(what the hell)効果」というそうです。

 「私たちは目標達成に成功しつつあるのに、一瞬の狂気で全てのことが泡に消えることがあります」
 このどうにでもなれ効果はセルフコントロールの欠如でも、刹那的な過ちでもなく、目標を見失ったことと関係しています。

http://www.shinrigaku-news.com/article/44123984.html
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 「我慢」を、根性論で語るのでなく、科学的に語る必要がある。

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