子どもの動きを制御する授業
若い先生の書写の授業を参観した(春日井市は教育特区として、低学年の毛筆書道を行っている)。
1・2年生では、水書板(子どもは「魔法の黒板」と呼んでいる)に、水をつけた筆で線を書いていた。
今回が、ほぼ初体験の1年は、「の」の字のようなグルグルを書いていた。
久しぶりの2年生は、「一」を書いていた。
3年生は、教科書通り「土」の1画目の「一」を書いていた。
3名の若い先生は、みんな「授業が上手だな」と感じた。
指示が的確で、特に「NO GO」が徹底できていたからだ。
◆では、一を書きますよ。
はい、筆を持って。筆を立てて。
(先生と同じ速さで)トン、ス―、トン。
その下に、もう1回、書きますよ。
(先生と同じ速さで)トン、スー、トン。
というように教師の動きに合わせて文字を書かせていた。
どうってことのない場面だとは、自分には思えない。
大方のクラスでは、勝手な動きをする子が出る。
教師の動きに追いつけない子もいれば、教師が言う前に先走る子もいる。
特にやっかいなのは「No Go」が守れず、勝手に先に進めてしまう子だ。
教師の指示通りに子どもが動く教室は、制御が効いている。
指示が速すぎず遅すぎず、心地よいリズムとテンポだから、子どもがみんな指示通り動けたのだと思う。
若い女性の先生が、子どもの動きを制御している姿に感激した。
かつてベテランの先生の図工の授業を垣間見た。
下描きの絵が描けていない子が何人もいる一方で、色ぬりが終わろうとする子がいた。先生は、それぞれの過程の子に指示を出しているが、 先走りを容認しているから、指示は後手に回っていた。個別対応だから、どうしても漏れが出ていた。「色塗りは○○するんだよ」と声掛けしているが、すでに描き終えた子もいたので、後の祭りであった、。
結局、作品は「描けばいい、出せばいい」という質になっていた。「『自由画』だから、それでいいのだ」と言われればそれまでだが、自由放任の授業では、身に付けさせるべき技能の習得はできない。
あの図工授業に比べ、今回の3名の書写の授業は、心地よかった。
「授業の原則」の1つとして、ほかの先生方にもしっかり伝えていこうと思う。
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