進路指導に役立つ「GRIT」
先日のサークル例会で、「進路の学年集会」の話題になった。
中3対象の進路の集会だから、ラストスパートであるとはいえ、これ以上頑張らせたら壊れてしまう子もいるし、何度言っても焦りのない子もいる。全員の心に沁みるような全体指導の言葉かけは難しい。
直近の受験対策ではなく、もう少し長期的な視野に立っての進路選択の大切さを伝えたいとの話題に沿って、手持ちの「GRIT」(ダイアモンド社)をパラパラめくっていると、使いたい箇所がたくさんヒットした。
念のため解説しておくと、「GRIT」は、TEDトークの「成功するカギは、やりぬく力」のプレゼンテーションで注目されたダックワースの待望の1冊である。t
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若い人たちに「自分が本当に好きなことをしなさい」とアドバイスするのは、バカげたことなのだろうか。
じつはこの問題については「興味」を研究している科学者たちが、この10年ほどで最終的な結論に達した。
第一に、人は自分の興味に合った仕事をしているほうが、仕事に対する満足度がはるかに高いことが、研究で明らかになった(中略)
第二に、人は自分のやっている仕事を面白いと感じているときのほうが、業績が高くなる。(中略)
自分の興味に合った分野を専攻した大学生は、成績が高く、中途退学の確率も低いことが分かっている。(P140)
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というくだりは、「好きな進路を選べ」というメッセージにはなる。
ただし「好きなことなら努力しなくていい」とは言っていない。
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「誰だって、自分が本当に面白いと思っていることでなければ、辛抱強く努力を続けることはできません」(中略)
「ただ、好きだからといって、上達できるとは限らない。努力をしない限り、上達するはずがないのだ。
だから、多くの人は、好きなことをやっても全然うまくならない」
私もそう思う。自分の興味があることを掘り下げるにしても、練習に励み、研究を怠らず、つねに学ぶなど、やるべきことは山ほどある。だからこそ言っておきたいのは、好きでもないことは、なおさらうまくやれるはずはないということだ」(P147)
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というくだりは、「好きなことでさえ努力が必要だ」と釘をさしている。
だから、逆に言うと
◆好きでもないことをやらざるを得ない場合は相当の覚悟が必要だ◆
ということになる。
目先の受験勉強で言えば、不得意教科の努力は大変だということ。
決して「好きな教科だけやっていればよい」ということにはならない。
◆得意な教科から先に取り組んでモチベーションを上げたり、調子を上げたりしておく。
◆徹底的な得意な教科をつくって、確実に点数を稼いでおく。
などの策を講じることになる。
さて、長期的な進路選択の話というと、次の箇所も外せない。「モチベーション3・0」にも同様の指摘があった。
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自分の仕事は重要だと確信してこそ、「情熱」が実を結ぶ。
目的意識を感じないものに、興味を一生持つ続けるのは難しい。
だからこそ、自分の仕事は個人的に面白いだけでなく、ほかの人びとのためにも役立つと思えることが絶対に必要だ。P133
「大きな目的」のためなら、粘り強くがんばれる P215
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「GRIT」をそのまま中学生に読ませたいとは思わないが、エッセンスをうまく伝えていけるといいなと思う。
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