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November 19, 2016

「計画的偶発性理論」(偶キャリ)その1

 「努力」のカテゴリーに、あえて「反努力」のような内容を書き込みますね。

 「自分の夢を決め、そこから逆算して今何をすべきかを綿密にスケジュール化していく」ことは大事だと思う。
 ただし、その「夢ノート」には余白が必要だし、軌道修正できるだけの余裕がほしい。
 いつだって自分の思い通りにすべてが進むわけがない。
 自分の努力次第で決定できることもあれば、他者との関係でいくら自分が努力しても何ともならないこともある。
 だから、先に、「努力を続ければ必ず夢は叶う」とは言い切れないが「努力を続ければ『スキルアップ』は保障できる」と書いた。

 また、「偶有性」についても書いた。
 「人生何が起こるか分からないからこそ、楽しいと思える」という心の持ちようが大事である。

 似たような心持ちについて、いくつか挙げる

(1)「ケセラセラ」 (Que Sera, Sera)。
「なるようになる(Whatever will be, will be)」のことで、
同義語に「成り行きにまかせる・運否天賦・運を天に任せる・明日は明日の風が吹く」などがある。

(2)「人事を尽くして天命を待つ」
 中国宋の時代の言葉で、「人間として出来るかぎりのことをして、その上は天命に任せて心を労しない」(広辞苑)。
 逆に言えば「納得できるだけの努力をしたら、結果がどう出ても後悔はない」ということ。
 結果の一つ一つに一喜一憂しない心のありようが求められる。

(3)「計画された偶然理論」
 スタンフォード大学のクランボルツ教授らが提唱したのが

「キャリアの80%は予期しない偶然の出来事によって形成される」

という「計画された偶然理論」。別名「偶キャリ」。

 これは「果報は寝て待て」という努力無用の意味ではなく、積極的に偶然を引き寄せてチャンスを生かせという意味である。
 人生は自分の思い通りにならないのだから、まさに「人事を尽くして天命を待つ」なのである。
 ちなみに、この理論では、

①好奇心 ②粘り強さ ③柔軟性 ④楽観性 ⑤リスクテイク

の5つのスキルが必要とされる。 「予期しない出来事を避けるのではなく、起きた事を最大限に活用する」というスタンス。
 すべて成り行きに任せて、何の努力もしない・何の手も打たないという意味ではないことは念を押しておきたい。

 さて、過日の教育再生実行会議では、内閣府の6か国調査結果から
「意欲的に取り組むという意識が低く、つまらない、やる気が出ないと感じる若者が多い」
「自分の将来に明るい希望を持っていない」
などが指摘され、子どもたちの自己肯定感を高めることが喫緊の課題になった。
 平成27年の日米中韓の4か国の比較でも、日本の高校生は特に
➀自信がない。
②早々に自分の能力に見切りをつける。
③チャレンジする前にあきらめる。
④失敗を恐れる 
などの傾向があると指摘されている。

、「自己肯定感を高める・自尊心を高める」は、とても大事なことで、金科玉条のように語られる。
 しかし、「『学力』の経済学」では、自尊心が高まれば、子どもたちを社会的なリスクから遠ざけられるという科学的根拠は、ほとんど示されなかったことや、自尊心が高いほど失敗しそうな課題を避ける傾向についても紹介されている。
 ということは、今の教育で必要なのは「強い自尊心を育てる」ことではなく、むしろ「中途半端なプライドを捨てさせる」ことではないだろうか。
 「失敗するようなことはしない・チャレンジをしないように慎重に行動する」というのは、「自分の思い通りになることしかしない」ということであり、「思い通りにならないことがある」自覚が足りないということである。
 プライドを捨てて
「恥をかいても当たり前」
「失敗しても当たり前」
と思える子どもたちを育てることではないだろうか。
 

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