« 光村4年国語「アップとルーズ」 | Main | 「偶有性」の概念 »

November 03, 2016

ニーチェの言葉

【That which doesn't kill us makes us stronger.】

 ニーチェはドイツ人だから、この英語は、ニーチェの言葉の原文ではない。
 それにしても、どう訳すのかな。

 直訳したら「我々を殺さないものは、我々を強くする」???
 ヤフーの知恵袋にも質問があった。

==========
Qニーチェの言葉のようですが、有名な日本語訳はありますか?
また、出典はどの著作でしょうか?

A1
ニーチェ全集14『偶像の黄昏』ちくま学芸文庫 原佑訳の16ページにあります。
そこではこう訳されています。

「人生の士官学校から。
ーー私を殺さないものは、私をいっそう強くする。」

ニーチェはドイツ人ですから、英語で書いたことはありません。
原典(ドイツ語)では、こう書かれています。
[Aus der Kriegsschule des Lebens--
Was mich nicht umbringt,macht mich staerker.]

日本では『偶像の黄昏』と訳されていますが、 原題は[Goetzen Daemmerung](神々の黄昏 )です。

A2
「生ある限り、全てが試練だ」と訳されることが多いようです。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q...
===========

・・・別のサイトでは、4択で訳を投票させていた。
どれも訳としては「あり」ということなのだろう。

============
次の言葉の訳としてもっとも適しているのはどれでしょう。

What doesn’t kill you makes you stronger.

― フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900年 ドイツの哲学者)
(著名人の言葉で覚える英語:ビジネス表現力)

A1 どんな経験も人を強くする。
A2 生きるか死ぬかの経験こそ人を強くする。
A3 命があってこそ強く生きることができる。
A4 常に命がけで挑むことによって強くなれる。

https://www.blwisdom.com/skillcareer/assessment/english-0...
==============

 今日、自分が読んだ訳は

◆「死なない程度の困難は人を強くする」(P011)
◆「死んでしまいそうなつらい経験も、乗り越えることができれば人は強くなれる」(P295)

 出典「トラウマ後成長と回復」(筑摩書房)である。

 原文がなく、日本語だけ示された言葉が検索したらヒットした。
 たぶん同じ原文の訳なのだろう。

◆困難につぶされなければ、人はその経験によって強くなれる。
                  ニーチェ(哲学者)
http://www.meigenshu.net/2007/12/post_638.html

 失敗したとき・あるいは挑戦するかどうか迷うときによく使われる「命まではとられないから」と似ている言葉のようだ。

 それにしても、訳のニュアンスによって、受け取る印象はずいぶん違う。だからこそ「名訳」というものが存在する。
 「原文にあたることが大事だな」と同時に「人に訳語に安易に頼らない」とも思う。
 これは、日本の古文でも同じことが言えるが、いざとなれば、自分で納得する訳を作ってしまうくらいの気概が必要だ。

|

« 光村4年国語「アップとルーズ」 | Main | 「偶有性」の概念 »

努力」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference ニーチェの言葉:

« 光村4年国語「アップとルーズ」 | Main | 「偶有性」の概念 »