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November 03, 2016

光村4年国語「アップとルーズ」

 数年前、初任が授業をしているのを見て、この教材は話題が身近で面白いと思ったが、案外分かりにくいと思った。

➀アップとルーズの対比
②アップとルーズそれぞれの長所と短所の対比
③テレビと新聞の対比

などが盛り込まれていて、複雑な構造だからだ。

 また、「段落ごとにまとめる」という作業も、難しいものなのだと改めて思った。
 先日、本校の先生が、この教材を授業をしている場面を見て、かつてのメモを再構成して学年に配布した。
その配付プリントをさらに再構成してみた。
 
◆内容の記載か、意味の記載か?◆

 例えば1・2段落を次のようにまとめたとする。

(1)テレビでのサッカーのハーフタイムの画面を例示して、会場全体の感じが伝わってくる「ルーズ」の説明。

(2)テレビでのサッカーの後半の画面を例示して、コート中央の選手の様子が伝わってくる「アップ」の説明。

 あえて「説明」と書いた。
 説明文だからそもそもすべて「説明」になる。必要ないかもしれない。
 「この段落は何が書いてあるのかを短くまとめてみよう」と問われたら、内容のみを書くべきで、その段落がもつ意味や役割は書く必要がないというのが正論だろう。
 しかし、説明文の授業をしていると、内容の要約と同じくらい、各段落の意味や役割もきちんと押さえる必要がある。
 「例示している」「問いかけている」「全体をまとめている」のような表記だ。
 初任が段落ごとにまとめるのを見ていたら、ある段落は内容中心、ある段落は意味中心の記載になっていた。
カテゴリーが異なるというか、まとめ方に一貫性がないのだ。
 どっちかに揃えるというなら、「意味を中心にまとめた方が授業もしやすいし、子供にも分かりやすい」と、このとき初めて思った。
 全段落を意味型の記載で揃えてもいいかなという気になった。

◆後述のキーワードは、使うべきではないか?◆

 ところで、1・2段落に「アップ」「ルーズ」の言葉はまだ出てきていない。
 1・2段落を受けた3段落で初めて「アップ」「ルーズ」の解説がある。
 ならば、この場合、1・2段落で「アップ・ルーズ」は使うべきではないのだろう。
 使わないと決めたら、例えば、次のようになる。

(1)テレビでのサッカーのハーフタイムで、会場全体の感じが伝わってくる画面を紹介している。

(2)テレビでのサッカーの後半で、コート中央の選手の様子が伝わってくる画面を紹介している。

◆全体構造上、はずせないワードがあるか?◆

 ところで、部分で見ると、上述の「テレビでの」などは省略してかまわないとも思う。
 しかし、全段落を並べたとき、「テレビで」と「新聞で」が対比構造になる。
 全体を見据えたら、ここは「テレビで」を明記しておくべきなのだと判断した。
 同様に、1・2段落の対比構造を意識して「ハーフタイム」と「後半」を明記した。
 要約は「個々の段落」だけ見るのではなく、「全体の中の位置付け」を考慮すると、取り込むキーワードが、ぐっと異なるというのが実感である。
 字数制限があるなら削ってもよいが、全体の中に位置づけを考えたら、あえて残しておいた方がよいワードがある。

◆文末は体言止めがいいか?◆

 各段落を意味でまとめる場合、文末は「説明」「紹介」と体言止めするか、「説明している」「紹介している」とするか。
 言葉を削る訓練としては体言止めがよい。ただ、子どもたちの実態としては「~している」と書いた方が伝わりやすいかなとも思う。

 さて、ここまで、かなり独断で書いている。
 すべて「?」がついたままであるが、自分なりに挑戦的に考えることも必要かなと思って書いている。
 とりあえず、「各段落の意味や役割」を含めながらまとめてみた。
 
※意味上の切れ目で改行をしてある。
※最後の行は、なくても分かる場合があるので、その場合はカッコをつけておく。
 ただしカッコの部分を付けたり、付けかなったりすると全部並べたときに統一感がないというのが、初任の授業を見たときの感想である。


テレビでのサッカーのハーフタイムで、会場全体の感じが伝わってくる画面(の紹介)。


テレビでのサッカーの後半で、コート中央の選手の様子が伝わってくる画面(の紹介)。


会場全体の様子が伝わる画面を「ルーズ」といい、
選手の様子が伝わる画面を「アップ」という
(2つの違いの問いかけ)。


(ゴール直後のシーンを例示して)
アップでとると、
細かい部分の様子は分かるという長所と、        
うつされていない多くの部分は分からないという短所がある
(ことの説明)。                        


(ゲーム終了直後のシーンを例示して)
ルーズでとると
広い範囲の様子がよく分かるという長所と
顔つきや視線、気持ちまでは分からないという短所がある
(ことの説明)。

⑥ 
(①から⑤を受けて)
アップとルーズには長所と短所があるので、テレビは何台ものカメラを切り替えている
(ことの説明)。
                               

(新聞の写真を例示して)
新聞も伝えたい内容に合わせてアップとルーズの写真を使い分けている(ことの説明)。      


(全部をまとめて)
テレビも新聞もアップとルーズを使い分けている(ことの説明)。

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