「幸せのメカニズム」
アメリカ人は「人の目を気にしない傾向」が強い
『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』に、野口桂子著『あなたの子どもを救えますか』からの引用の形で、アメリカの小学校で美術の先生が学期初めに児童に配った「許可証」の紹介がある。
英語は省略して、訳文のみ。
・何でも知らないことに挑戦してOKです。
・間違ってもOKです。
・じっくり時間をかけてもOKです。
・あなた自身のペースでやってOKです。
・あなた自身のやり方でやってもOKです。
・失敗してもOKです。次には失敗を恐れず成功するために。
・ばかげているように見えるリスクを冒してもOKです。
・独自のこと、人と違ったことをしてもOKです。
・心の準備ができるまで待っていてもOKです。
・安全に気をつければ実験をしてもOKです。
・「どうしてこんなことをすべきなのか」と疑問を持ってもOKです。
・あなたであること自体が特別なのです。
・あとできれいにするなら、周りを散らかしてもかまいません。創造的な仕事をするときにまわりが散らかるものです。
前野氏は、幸せの第四因子を「あなたらしく」(独立とマイペース)だと言う。
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アメリカ人は「人の目を気にしない傾向」が強く、日本人を含む東アジア人は「人の目を気にする傾向が強い」といわれます。
東アジアは、調和を重んじる社会。目立たずと皆と同じようにふるまうことが、均一社会での秩序のために大事。だから、人と自分をよく比較し、人と同じように行動することを重視されてきた、といわれます。P187
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上記の許可証通りの学級では、同じ進度で授業を行うことさえ難しい。自分のペースで立ち止まることや熟考することを許可しているからだ。
ただ、そういう教育文化で育ったアメリカ人と渡り合っていかねばならない日本の子どもたちの将来を考えると、もっともっと「人の目を気にしない傾向」を許容する学校教育のあり方を考えないといけない。
ちなみに、幸せの因子分析の4つは以下の通り。
(1)やってみよう分子(自己実現と成長)
・コンピテンス(私は有能である)
・社会の要請(私は社会の要請に応えている)
・個人的成長・自己実現
(2)ありがとう因子(つながりと感謝の因子)
・人を喜ばせる・愛情。感謝
親切
(3)なんとかなる因子(前向きと楽観の因子)
楽観性・気持ちの切り替え
・積極的な他者関係・自己受容
(4)あなたらしく因子(独立とマイペースの因子)
・社会的比較志向のなさ
・制約の近くのなさ(何ができて何ができないかは外部の制約のせいではない)
・自己概念の明確傾向(自分自身の信念は変化しない)
・最大効果の追求
◆「目標を持ち、頑張って、競争に打ち勝とう」は、一昔前の、西洋近代進歩主義的な考え方
という部分は、第一因子のマイナス面を語っている。
◆(うつ病になる人には)、「頑張れ」と言わないこと、というのは、「自己実現と成長」が大事だ、と言わないこと、と言い変えることができそうです。
つまり、うつ状態の人には、幸福の第一因子を無理に押し付けないほうがいいようなのです。頑張ることが負担になります。だから、平凡で、静かで、平穏なオンリーワンでもいいのです。P180
の部分も、幸せを「第一因子」中心で考えるのは、一面的にすぎないということを語っている。
学校で幸福追求を授業で行う場合、第一因子の「努力」に偏っていないだろうか。
他者との関わりも、楽観性も、あなたらしさの追求も、幸福につながるということを指導していけないだろうか。
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