「偶キャリ」にこだわりすぎると視野が狭くなる
アファメーション(affirmation)とは
肯定的な断言をする事。個人的な「誓約」をする事。
具体的には「~したい」「こうなれば良いな…」という願望を「~なっている。」と断定して繰り返し唱える事で、潜在意識に働きかけ、変化や成長が遠くの未来にあるものではなく「今・ここにあるのだ」という現実を作り出す事と言われている。
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「有言実行」「自分への宣言」に近いニュアンスの言葉であると理解できる。
このアフォメーションと対極に近いのが「偶キャリ」の発想。
「その幸運は偶然ではないんです!」クランボルツ著 ダイアモンド社
◆人生には、予測不能なことのほうが多いし、あなたは遭遇する人々や出来事の影響を受け続けるのです。
結果がわからないときでも、行動を起こして新しいチャンスを切り開くこと、偶然の出来事を最大限に活用することが大事なのです。(P1)
◆結果をコントロールすることはだれにもできません。しかし、あなたの行動次第で望ましい結果が起こる確率を高めることができるのです。人生には保証されているものは何ひとつありません。唯一確かなことは、何もしないでいる限り、どこにもたどり着かないということでしょう。
・・・「偶然」でキャリアが決まるから何もしなくていいのではなく、「偶然」を引き寄せるように果敢に行動しようと説いている。
なるほどと思う部分が大半だが、次の箇所は、すんなり入ってこなかった。
「有言実行」のメリットを評価すると、次の箇所は真逆に思えるからだ。
◆「将来どんな職業に就きたい?」多くの人が一度はこんなふうにたずねられたことがあるでしょう。
でもやってみたこともないのに、職業を選ぶことを期待されるなんておかしいと思いませんか。皆さんには、今後一切キャリアの意思決定をしないでほしいのです。
あなた自身も、また、環境も変化している今日、自分の将来を今決めるよりも、積極的にチャンスを模索しながら、オープンマインドでいるほうがずっとよいのです。(P31)
「ひとつの職業にこだわりすぎると視野が狭くなってしまいます」とあるが、自分の直感は大事だ。
自分の「好きなこと」に熱中するのは脳科学的にもよい結果をもたらす。
「好きか嫌いか」という直感は、重要な行動基準であってよい。
「私たちは、常にオープンマインドでありながら、暫定的なキャリア目標をもつことには反対しませんが」とある。
この「暫定的な」のスタンスさえ堅持できれば、何になりたいかを口にすることは決して悪いことではないはずである。
「なりたい職業を決めたら、それ以外の選択肢を排除しろ」なんて誰も指導していないはずだ。
冒頭に引用したアフォメーションの効果を考えたら、「なりたい職業を口にしてみること・なりたい職業に就いた自分をイメージしてみること」には十分意義があることが分かる。
なりたいキャリアの情報を優先的にキャッチすることを「自分の可能性を狭める」などとマイナスに捉える必要もない。
とりあえず「今やってみたいこと」を自覚し、「今やってみたいこと」に関わる何らかの行動を起こすことは、「何もイメージしない」「何も考えない」よりは、成功の確率が高まる。
先の章で「唯一確かなことは、何もしないでいる限り、どこにもたどり着かないということ」と書いてある通りだ。
「なりたいこと」の宣言もしないようでは、「何もしない」と同じである。
そのような消極さでは、どこにもたどり着かない。
「努力で幸せになれますか」という努力の全否定が現実的でないのと同じように、「キャリアプラン」の全否定もまた、極端すぎて、現実的でない。
世の中は、さまざまなバランスで成り立っている。
「人生万事塞翁が馬」と「備えあれば憂いなし」は共存する。
一方のスタンスに偏るのは、あまりにリスクが高い、
、
「一つの職業にこだわりすぎると視野が狭くなってしまう」という意見に縛られすぎると、むしろ視野が狭くなってしまうのだ。
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