中学入試が「思考力型」に
朝日小学生新聞2月20日号に「中学入試『思考力型』増える」の記事があり、面白い試験が紹介されている。
(1)「くらし」というテーマに沿って、受験校の図書館を利用してリポートを完成させる「思考力テスト」(東京・工学院大学附属中)。
(2)レゴブロックで自分の好きなことを作品として表現し、150字で記述させ、世界が抱える問題の解決法を考えさせる「思考力ものづくり入試」(東京・聖学院中)
首都圏で今春このような入試を実施した学校は120校だとのこと。
◆こうした「思考力型」「適性検査型」などと呼ばれる入試は、図や表、写真とともに長めの文章を読みこみ、自分の考えを記述するというタイプが主流。国語、算数、理科、社会といった教科の枠にとらわれない出題です。
◆新しいタイプの入試を導入した理由として学校側が挙げるのは、グローバル化などの「世の中の変化」です。実際には大学入試改革で、求められる力がかわることも背景にあるとみられます。
◆「塾通いをしていない子でもチャレンジできる入試が増えている。考える子が好きだったり、世の中の動きなどに関心があったりする子にも『受験』という選択肢が広がっている」
とある。
大学入試が変わる前に、中学入試から変化が起きているということだろうか。
むろん幼稚園や小学校のお受験は、知識理解は問えないので、創造力や想像力を試すような課題が従来から課せられてきた。その延長に中学入試の変化があるのかもしれない。
今回の朝日の記事は、なるほどとは思うが、「塾通いをしていない子でもチャレンジできる入試が増えている」には少し疑問がある。
こうした思考力を試す入試は、本当に塾通いしないで対応できるものだろうか?
結局、この手のテストも、それはそれで受験テクニックが必要になるだろうし、採点基準から裏読みした対策が練られることは必至である。
冒頭の「思考力テスト」は、その指定の細かさを見ると、従来の学力の高さにプラスしての「思考力」なのだと考えざるを得ない。
① 「くらし」に関係することや、言葉から連想することを自由記述。
② 記述内容に関連した情報を図書館でまとめ、表にまとめる。
③ 「くらし」と照らし合わせて、日ごろから感じている課題を書きだす。
④ その中から、重要なことを一つ選び、さらに知りたいことを書く。
こうしたプロセスをステージ6までふんでリポートにまとめると言うのだから、相当な学力・周到な受験対策が必要だ。
ところで、図書館で調べてレポートを書くという入試方法は、ハーバード大学で行われていると聞いたことがある。
ハーバード大学のユニークな入試方法が話題になる。これも「だから勉強しなくてもいい」というわけではない。
ユニークな入試ができる前提は、書類選考によって学科の成績が提出されており、受験するどの学生も高水準の成績だという点にある。優秀な生徒が集まっていることを前提にしてのユニークな入試である。
日本で言えば、難関大学がセンター入試の比率が低いのと同じ。
学力を軽視しているわけではなく、どの受験生も高水準であることが分かっているからこそ、学力以外の特性を試験したくなるのだ。学力軽視ではないことは、きちんと把握する必要がある。
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「ハーバードクラスの大学だと、これらのテストのスコアがすこぶる高い入学希望者ばかりが集まります。高校や大学時代の成績、いわゆるGPAも見られるので、学校での勉強にも手は抜けません」
学力はSATやGPAでチェックされ、さらに願書やエッセイ、推薦状から、その人のバックグラウンドや、課外活動でどんなことをしてきたかを審査される。
「ハーバードは、学力に加えて芸術的素養がある人や、スポーツに打ち込んできた人を好んで受け入れています。
出願時に提出する書類にエッセイがありますが、そのような人たちは、ただ勉強だけしてきた人よりユニークで深みのあるエッセイを書けるからです。
勉強だけでなくスポーツや芸術の才能も求められるなんて……と絶句したくなりますが、実際ハーバードには、天が二物を与えた才能あふれる学生が集まっているのです」
http://president.jp/articles/-/16257
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現在の大学入試センター試験は、マークシート方式で行われています。
また、各大学の試験では、1点刻みで合否が決まってしまいますが、現在、先進国でこのような入試方式を中心にして行っているのは、日本くらいしかありません。
米国も欧州も日本のような知識偏重の学力テストには重きを置いていません。
面接や小論文などを通して、高校時代をどう過ごしたかを見ているのです。
暗記、記憶だけでは測れない能力です。
そうしていかなければ、新しい時代の変化についていけないということでしょう。
http://mainichi.jp/articles/20150508/org/00m/100/026000c
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1つめは、「課題解決の能力」です。
受け身や指示待ちではなく、主体的にその能力を発揮できることです。
それから2つめは、「クリエイティブな企画能力」です。
例えば、東大の文系はかつて優秀な官僚を養成する大学だったわけですが、その官僚においても、いまやクリエイティブな能力が求められてきています。
ただ指示されたことだけをやっている官僚は、もはや使いものになりませんから。
そして最後の3つめは、「人間的な魅力」です。
人を思いやる優しさや慈しみの心、また、新しいものや多様なものを受け入れることができる姿勢など、そうした人間としての度量や魅力を持ち合わせていく必要があります
http://diamond.jp/articles/-/60886?page=3
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・・・さまざまなネット記事で入試の動向なども分かる。
保護者に言い負かされないように、きちんと把握しておきたい。
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