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March 25, 2017

「偶有性」の概念

Mogi

「脳をやる気にさせるたった1つの習慣」茂木健一郎(ビジネス社)。


 「たった1つの習慣」の中身は、サブタイトルに書いてある。

 ~なぜやりたいことを書きだすと実現するのか~

  やりたいことを書きだすと、ドーパミンが放出されて「成功した気分」になり、やる気がアップすると言う。
  「有言実行」が自分を追い立てることも重要な意味があることは想像に難くない。
 記録することが「メタ認知」になることもよく分かる。

 ただし、「たった1つ」と言いながら、ほかにもやる気のヒントが書いてある。
 やる気をなくす原因が

①コンプレックス ②単調 ③強制や命令

 この反対が、やる気になる方法だ。

①コンプレックスを逆手にとる
②目標をつくる(自分なりの課題を設定する・目安をつくる)
③与えられた課題を楽しむ
④遊びながらやる(フロー体験)


 さて、茂木氏の本著のメインの主張とは別かもしれないが、何度も出てくる「偶有性」というワードが気になった。
 
P28
脳科学には「偶有性」という概念がありますが、脳は本来「定まっていること(確実性)」と「定まっていないこと(不確実性)」の絶妙なバランスの中で生きています。

P64
ある程度「予想がつく事柄(確実性)と、「予想がつかない事柄(不確実性)とが混ざり合っている状態のことで「どのように変化するか分からない性質」のこと。

P65
人生もそれ(オセロゲーム)と同じで、白だと思っていた状況が一転して急に急に黒に変わったりすることの繰り返しです。
地震や洪水などの災害に見舞われたり、事故に巻き込まれないとも限りませんし、勤めている会社が買収されたり潰れたりすることもあるでしょう。
まさに「一寸先は闇」で、自分の人生で次の瞬間に何が起こるかはまったく予想できないのです。

P73
人間の脳は予想できるものと、できないものの割合を1対1くらいに保ちバランスを取ろうとします。
そのバランスの取れた状態が脳にとっては、一番楽しいことなのです。
つまり、脳は本来偶有性を楽しむようにできているのです。

P74
 何が起こるか分からない状態を楽しむ気持ちは、進化の過程で脳が身につけた生きる知恵だといえます。
そのことが分かれば、次に何が起こるのか分からない局面に立たされたときも、「これは何だか分からないけど、もしかしたら面白いことが起こるかもしれない」と偶有性を楽しむことができ、人生の見え方も変わってくるはずです。
 繰り返しますが、脳は確実性と不確実性のバランスの取れた状態を好みます。会社と自宅を往復する確実性ばかりの生活を送っていては、会社が合併したり倒産するという「偶有性」の荒波に放り込まれたとき、適切な行動を取ることができなくなります。
自分が置かれた状況が変化しても、「次のステップに進むチャンスだ」と偶有性を楽しむ気持ちがあれば、その厳しい状況を乗り越えていくことができるでしょう。

P204
偶有性という概念が血肉化されていくと、一つひとつの出来事に対して一喜一憂しなくなります。
なぜかといえば、人生何が起こるか分からないからこそ、楽しいと思えるからです。
何が起こるか分からないからこそ、たとえ最悪の状況に陥っても「もうすぐ事態が好転するかもしれない」と思えるようになるのです。

P209
人生は偶有性の連続で、次に何が起こるか誰にも分かりません。
けれども実際何か事が起こったときに、自分の中にプリンシプルを持っていれば
・・言い換えれば、自分の中に「これだけは譲れない」「これがあれば大丈夫だ」という確実性を持っていれば・・
不況になろうが会社をクビになろうが定年退職しようが、自分自身が揺らぐことはないのです。

P232
人生に確実なことは何一つありません。
自分の中に確実なものを持っていれば、不確実なことがあっても慌てずに対処できるし、ときには楽しむこともできる。
その「たった1つの習慣」とは、やりたいこと書き残すことだ。
書き留めた時点でドーパミンが分泌されて、ヤル気になるからだと言う。

 
茂木氏のブログにも「必然化する偶有性」というタイトルの記事がある。

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自分の回りの「ローカル」な状況を自らコントロールしようとしても、そうはいかない。
局所が、別の局所につながり、それがまた次の局所へとつながっていく。
「ローカル」だけを見ていたのでは、二つ先、三つ先、四つ先のノードで何が起きているのか、把握できない。
「遠く」で起こったことが、回り回って自分の生活に影響を与える。偶有性が必然的となっているのである。
 とりわけ、インターネットの発達は、物流の側面だけでなく、情報の面から見ても、世界各地の相互依存関係を強め、偶有性を増す結果となっている
(中略)脳は、もともと、容易には予想できない要素が本質的な役割を果たすという「偶有性」を前提にその動作が設計されている。
そのことは、認識のメカニズムや、意識と無意識の関係、記憶の定着や想起などのプロセスに反映されている。偶有性に適応するからこそ、脳は創造的であり得る。
グローバル化に伴う「偶有性」の増大に適応することは、脳本来の潜在的力を発揮することに、必ず資するはずなのである。
http://kenmogi.cocolog-nifty.com/qualia/2010/07/post-c775.html
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◆ 「成功できる人は、「思い通りに行かない事が起きるのはあたりまえ」という前提で挑戦している」(エジソン)
◆「思い通りにいかないから人生は面白い」(曽野綾子)

 やる前からあきらめてしまう自信のなさは、「思い通りにならないことが許容できない」から起こる。
 できて当たり前のことだけこなす堅実な生き方は、脳に刺激を与えない。それでは創造的な仕事はできない。シンギュラリティの世界を生きられない。
 「偶然を受け入れる」「偶然を活かす」「偶然を引き寄せる」といった心の持ちようが求められる。

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