長い一文を読み取る力
5年生のクラスに補欠で入り、国語テストを監督することになった。
学年のまとめ(ぶんけい)は、なかなか手ごわい読み取りテストだった。
「ゆるやかにつながるインターネット」は昨年の教科書教材なので、子ども達にとっては初見の説明文である。
文章全体に様々な「2つ」が組み込まれていて、その「2つ」を探すことが主に出題されている。
便宜上、設問の1~4として以下に関連する一文を示す。さらに便宜上「」と①②を書き加えておく。
設問1の該当箇所
インターネットにつながるあやしさ・・「①その一つは~。②もう一つは~。」
設問2の該当文
「①いつも意図した通りにやりとりが運ぶと思わず、わからなかったら確かめる、②予期しない返事が来ても、おこったりあきらめたりせずに、きちんと説明する」ということを重ねていきたい。
設問3の該当文
「①よく考えずにほかの人を考える内容を発信したり、②個人的な情報を無断で公開したりしては」、人をつなぐはずのインターネットが人を傷つける道具になってしまう。
設問4の該当文
「①受け取った情報が信用できるものかを注意深く見きわめることはもちろん、②あなた自身が無責任な言動をしていないかどうか、常に自分に問う必要がある。
・・・設問1は、「その一つは~。もう一つは~。」だから決して難しくない。ただし、場所がずいぶん離れているので、そこが難しい。
「その一つ」には改行がないの見落としやすいが、「もう一つ」には改行があるので、「もう一つ」が出てきたときに、前の「一つ」がどこにあるかを逆思考で確認するようなスキルが求められる。
設問2・設問3は、長い一文の中に、2つの注意事項が書かれている文型。
特に設問3の場合は「~たり、~たり」なので、2つの内容が盛り込まれていることを意識させやすい。
大人でも間違いやすい「~たり、~たり」の作文に書き慣れておくと、読み取りの際にも2つの内容が意識ができるのではないだろうか。
設問4は、「Aはもちろん、B~」という構造で2つの内容が盛り込まれている文型。
なるほど、確かにこういう表現は日常でよく使われる。読み慣れること・書き慣れること・言い慣れることが大切なのだと思う。
それにしても、今回、じっくり読んでいて「一文の長さ」が、難度を上げていることがよく分かった。
設問2の一文は、
◆たがいに、いつも意図した通りにやりとりが運ぶと思わず、わからなかったら確かめる、予期しない返事が来ても、おこったりあきらめたりせずに、きちんと説明するということをていねいに重ねていきたいものです。
設問3の一文は
◆よく考えずにほかの人を考える内容を発信したり、個人的な情報を無断で公開したりしては、人をつなぐはずのインターネットが人を傷つける道具になってしまいます。
設問4の一文は
◆受け取った情報が信用できるものかを注意深く見きわめることはもちろん、あなた自身が無責任な言動をしていないかどうか、常に自分に問う必要があります。
この程度の一文の長さに耐えられるような日ごろからの読書体験が必要だ。
さて、今回のテストで、かなり出来が悪かったのが、設問1に関する部分。
2か所の内容を15文字以内で書かせるのだが、後半の一文は
◆もう一つは、顔を合わせないですむという気楽さ、いつでもつながりを切ることができるという安易さから、つい無責任になりがちだということです。
この一文の構造が理解できる人は、要約したら
◆「もう一つは、つい無責任になりがちだということ」
になることが分かる。15字の模範解答は「無責任になりがちだということ」。
しかし、子どもたちは一文の前半に目がいってしまい、ほとんどの子が「顔を合わせないですむ気楽さ」と書いていた。そこそこ15文字でうまく抜き出せるからだ。
長い一文を読み取る力として、
(1)一文に含まれた複数の意味を分ける力
=複文を短文に書き直すトレーニングで身につける。
=意味ごとに囲む・番号を打つ(ナンバリング)
(2)主述や挿入部など、内容の軽重を理解する力
=主述をつかむトレーニングで身につける。
=要約のトレーニングで身につける。
=余分な箇所を消すトレーニングで身につける。
などが考えられる。
たぶん、もっと細分化できると思う。しっかり検討したい。
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