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June 23, 2017

「やる気を出せ!」は言ってはいけない。

「やる気を出せ!」は言ってはいけない。
石田淳著(フォレスト出版)
サブタイトルが「行動科学で見えてくるリーダーの新常識」

 何をどうすればわからずにとまどっている人に向かって「やる気はあるのか」とどなっても何の意味はない。
相手を委縮させるという意味では、むしろ逆効果だ。そう思ってもつい使ってしまうのだとしたら、それは、もはや単なるストレス発散だ。

 筆者は、最高のリーダーを
「部下が自ら喜んで仕事をする環境をつくる人」
「部下一人ひとりのポテンシャルを最大限に引き出す環境を整えることができる人」
と定義している。
 リーダーを「教師」にし、部下を「子ども」に置き換えても同じだと思う。

◆根本的には、「仕事は面白い」「楽しい」と思わせ、それを習慣化させることが重要なのである。
 部下の行動が自発的になり、それを習慣化していく。これが、行動科学マネジメントの考え方なのである。p73

・・・ここが、本書の「肝」だ。
 自分から「やりたい」と思っている社員が成果を上げるのに対して、「ねばならない」と思って仕事をしている社員は成果が上がらない。「行動自発率」が異なるからと言うのが筆者の主張だ。

 「やる気を出せ」というアドバイスが不毛であるように、 「仕事を面白いと思え」「楽しいと思え」というアドバイスも不毛である。「思え」と言われたからといって、思えるほど、人の感情は単純ではないからだ。

◆上司から部下へ伝えるべきものは「やる気を出せ!」というセリフではなく、具体的な「やり方」「方法」であり、それに楽しんで取り組むことができるしくみなのである(p20)

◆部下に伝えるべきは「常識」という抽象的な言葉ではない。「結果に直結する具体的な行動」だ。p24

◆物事を続けられない理由は二つしかない。①やり方が分からないから。②やり方は知っているが、続け方を知らないから。p48

◆コーチングでは、叱ることと褒めることを多用する。これらを使い分けて部下を育てようとする手法には一理あるが、「望ましい行動」を教えたほうがずっと早い。褒めたり叱ったりは、まずそれをやってからすべきである。p123

・・・どう教えればよいのか、その具体例は自分で考えればよい。
具体例まで求めるマニュアル頼みの態度は、まさに「リーダーの非常識」だと思う。

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June 21, 2017

論理的思考につながる言い回し

 「あれ?おかしいなあ」は仮説との不一致を示す言い回し。
 「ほら、やっぱり~」は、仮説との一致を示す言い回し。
 「だってさあ」は、根拠や反論を示す言い回し。
 「それじゃあ」は、代案を示す言い回し。

・・過日、名古屋で聞いた奈須正裕氏(上智大学)の講座のメモ書き。
 ちょっとしたつぶやき言葉にも、論理の芽生えがあることが分かる。
 「たぶん」「きっと」「絶対に~」などは自説の確信度を示す重要な言い回しだが、子どもはちゃんと使い分けている。

 子どもたちは、稚拙でも理科的・論理的な考え方をしている。
 ただし、そうしたつぶやきを論理としてキャッチする構えが教師にないと、見逃してしまう。

 以前、自分の甥っ子が保育園の頃、水槽の金魚を眺めていた時に
「たくさんいるね、何匹いるのかな?」と尋ねたら、 「僕、数えれないから分からない」と言われた。
「数えられないから、何匹いるか分からない」というその論法に驚いたことがある。子どもには子どもの理屈があり、論理展開があるのだと思った。

 「出口式 論理力ノート」(PHP)の第1章に次の見出しがある。

「論理とは『他者意識』から生まれる」、
『自立心』が論理力を発達させる」

 
◆保育園・幼稚園に入ると自分の気持ちをわかってくれない相手(他者)・自分の思い通りにならない相手(他者)の存在を知る。そうなると、必然的に筋道を立てて説明しようと思う。だから、そこに「論理」が生まれる。

・・・他者を意識し、他者に向かって筋道を通す。それが「要求」だったり「交渉」だったり「妥協」だったりする。
 思い通りにならないとすぐ切れたり、押し黙ったりする子は、自分の意志を伝えられず、相手を説得することもできない。まさに「非論理的」だ。

 そんなワガママな子たちでも「あれ?」「やっぱり」「だってさあ」「それじゃあ」ぐらいは言える。
 できる語彙、できる論法から、少しずつレベルアップさせ、議論のできる教室を形成させたい。
 それは、教師が「話型」を提示して、そこに押し込める指導とは違う。「話型」にあてはめさせる指導はいかにも窮屈ではないか。

 子どもは、子どもなりに稚拙でも理科的・論理的な考え方ができる。
 子どもの能力を侮ってはならない。

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June 17, 2017

学問は「難しい」と「面白い」が両立する世界

 本日6月17日の中日新聞朝刊に「日本の科学、今ここにある危機」という特集記事が掲載された。今ならwebで全文見られる。

http://chuplus.jp/paper/article/detail.php?comment_id=466655&comment_sub_id=0&category_id=562&from=news&category_list=562&genre=special


 特に、薬学博士で作家の瀬名秀明氏のインタビュー記事に注目した。
 瀬名氏の「パラサイト・イブ」や「BRAIN VALLEY」は衝撃的で、「BRAIN~」は、後に科学者の解説本が出たほどだ。

◆「熱中する心」育てて 作家・瀬名秀明さん

 子どもが科学に興味を持たなくなっている、日本の科学は危機的状況ではないかという声があります。でも、それは科学に限った話なのでしょうか。活字や本離れを憂える声だってあります。科学に興味が持てない人は小説にもスポーツにも興味を持てないかもしれない。僕が感じるのは、何かに面白がって食いつく、関心を持つことが、世の中全体で薄らいでいるのではないかということです。
 これは印象ですが、背景にはネットの影響があると思います。たとえばネットでニュースが流れるとパーッと読み、すぐに感想を書き込む文化がある。刹那的な反応なので感情的になりやすいし、別の視点で調べる、自分の言葉で書くなどの作業が省かれがちです。
 実際、その場では何かいいことを言った気になっても、翌週には忘れるでしょう。本当に興味があれば、何週間も何カ月もその問題を考え続けるはずなのに。こうしたネットの刹那的な側面を克服して、熟考が可能なネット空間を発明できたら、本当に素晴らしいと思います。
 「学問をする」というのは、「考え続ける」ことです。最近では「難しいこと=悪いこと」とみなされがちですが、学問は「難しい」と「面白い」が両立する世界です。何かに熱中すると、必ず別の分野への関心へとつながっていきます。一流の科学者は必ず、自分の専門分野にとどまらない、広い視野と好奇心を持っています。

・・・最後の段落は実に奥が深い。
 「難しい」から「面白い」のであり、「難しくて面白い」から、考え続けられる。
 難しさと面白さが、努力を持続するモチベーションになることを子供たちに伝えていきたい。

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まとまった時間の確保

 忙しい人の仕事術として、スキマ時間の活用や複数案件の並行処理などが推奨される。
 しかし、それは、変化球に過ぎないとの指摘があった(復習案件の同時処理は、かえって効率が下がるとの指摘は前からあった)。
 ドラッカー氏の「新訳 経営者の条件」にあるらしい。引用は「日経アソシエ」6月号p37より。
〇成果を上げるには自由に使える時間を大きくまとめる必要がある。
〇多忙なビジネスパーソンはスキマ時間を活用して成果を上げようとするが、それだけでは目的を達成できない。
〇細切れ時間で対応せず、そのために集中できるまとまった時間を思い切って確保しなさい。
〇時間が何にとられているかを明らかにすることからスタートする。

・・・なるほどなー。
 思い切って長い時間を確保するには、当然、時間捻出のマネジメントが必要になる。
 それを怠ってスキマ時間で対応しても負けは見えているわけだ。
 場所の確保も同様で、きちんと一定時間集中できる場所を確保しないと成果を上げられない。

  猛省します。

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June 03, 2017

若い世代の台頭は、元気をもたらす

 将棋の史上最年少棋士・藤井聡太四段(14)が、6月2日の棋王戦予選6組決勝で、澤田真吾六段(25)を155手で破り、デビュー以来無敗の連勝記録を「20」に更新した。

 卓球のアジア女王で平野美宇(17)は、6月2日の世界選手権(デュッセルドルフ)女子シングルス準決勝進出を決め、同種目では48年ぶりとなるメダルを確定させた。

 同じく卓球の男子シングルス2回戦で、張本智和(13)が、6月1日、リオデジャネイロ五輪銅メダルの水谷隼をで破った。

 サッカーの久保建英は、4月15日、15歳10カ月11日でJリーグ最年少得点記録を達成した。

 水泳の池江璃花子(16)は、現在14種目の日本記録を保持しているが、中学3年の時点で 全日本初制覇・世界選手権初出場・3種目の日本記録保持者になっている。


・・・彼らは、若いなりに「1万時間のルール」を越えたのだろうか。一万時間に満たなくても一流になれた天才なのだろうか。
練習を苦とも思わない「努力の天才」なのだろうか。

 それにしても、若い選手の活躍は、若い世代のさらなる活躍を促す。

 スポーツに関心がなくても、将棋に関心がなくても、世界で活躍する同世代の若者がいることを伝え、自分の長所を伸ばす活力を与えたい。

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