「やる気を出せ!」は言ってはいけない。
「やる気を出せ!」は言ってはいけない。
石田淳著(フォレスト出版)
サブタイトルが「行動科学で見えてくるリーダーの新常識」
何をどうすればわからずにとまどっている人に向かって「やる気はあるのか」とどなっても何の意味はない。
相手を委縮させるという意味では、むしろ逆効果だ。そう思ってもつい使ってしまうのだとしたら、それは、もはや単なるストレス発散だ。
筆者は、最高のリーダーを
「部下が自ら喜んで仕事をする環境をつくる人」
「部下一人ひとりのポテンシャルを最大限に引き出す環境を整えることができる人」
と定義している。
リーダーを「教師」にし、部下を「子ども」に置き換えても同じだと思う。
◆根本的には、「仕事は面白い」「楽しい」と思わせ、それを習慣化させることが重要なのである。
部下の行動が自発的になり、それを習慣化していく。これが、行動科学マネジメントの考え方なのである。p73
・・・ここが、本書の「肝」だ。
自分から「やりたい」と思っている社員が成果を上げるのに対して、「ねばならない」と思って仕事をしている社員は成果が上がらない。「行動自発率」が異なるからと言うのが筆者の主張だ。
「やる気を出せ」というアドバイスが不毛であるように、 「仕事を面白いと思え」「楽しいと思え」というアドバイスも不毛である。「思え」と言われたからといって、思えるほど、人の感情は単純ではないからだ。
◆上司から部下へ伝えるべきものは「やる気を出せ!」というセリフではなく、具体的な「やり方」「方法」であり、それに楽しんで取り組むことができるしくみなのである(p20)
◆部下に伝えるべきは「常識」という抽象的な言葉ではない。「結果に直結する具体的な行動」だ。p24
◆物事を続けられない理由は二つしかない。①やり方が分からないから。②やり方は知っているが、続け方を知らないから。p48
◆コーチングでは、叱ることと褒めることを多用する。これらを使い分けて部下を育てようとする手法には一理あるが、「望ましい行動」を教えたほうがずっと早い。褒めたり叱ったりは、まずそれをやってからすべきである。p123
・・・どう教えればよいのか、その具体例は自分で考えればよい。
具体例まで求めるマニュアル頼みの態度は、まさに「リーダーの非常識」だと思う。
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