« June 2017 | Main | August 2017 »

July 26, 2017

教師特有の「不合理な信念」

 こころの病の原因の1つともなっている「不合理な信念」。
 端的に言うと「自責の念に駆られるネガテイブな発想」ぐらいに思っていたのだが、改めて調べてみるとなかなか奥が深いワードであった。

◆ところで、不合理な信念にはいろいろな種類があるが、代表的なのは現実を無視して本人が勝手に「・・・でなければならない」と決めているような信念である。
また、実際我慢しなければならない事態になれば我慢できるにもかかわらず「・・・は我慢ならない」とか、実際には不都合である程度であるのに「・・・ではやっていけない。」など、事態の評価が過度にひどく評価されているような信念も代表例である。
http://www.kokoronet.ne.jp/fukui/jibtr/mnl/jibtr01.html

◆よくある不合理な信念の例

(1)「ねばならない」という思いこみ
 「約束は守らなければならない」「人には優しくしなければならない」など、

(2)悲観的な思いこみ
 「ろくなことがない」「どうしようもない」「救いようがない」「同じことの繰り返しだ」「絶望的だ」など

(3)自己卑下と非難の思いこみ
 「こんなこともできない、ダメな人間だ」

(4)「耐えられない」という思いこみ
 「夫の態度には我慢できない」「今の会社は耐えられない」
http://wakayama-counseling.com/facilities3.html


・・・とりわけ教師は「不合理な信念」に陥りやすいそうで、教師専用の行動療法のカードがある。その解説の言葉がなかなか重い。

◆国際労働機関(ILO)は、かつて「教師は戦場並みのストレスにさらされている」と指摘しましたが、昨今、特にストレスフルな状況下にある教師という職業の特殊性は、随所で指摘されています。
ひとつは、自分の授業への評価が児童・生徒や保護者によってなされること、
二つ目に、教える対象が変わることにより過去の経験や身につけた技法が必ずしも通用しないこと、
三つ目は、仕事範囲や責任領域が際限なく拡張され、プライベートな領域にも入り込んでくること、があげられています。

また教師という職業の持つ特殊性に加え、教師自身には「理想的な児童・生徒像」「完璧な教師像」「力量不足」「自己犠牲的傾向」という教師特有の不合理な信念が存在することが明らかにされています。

http://www.saccess55.co.jp/untitled120.html

・・・先にも書いたが、教師は真面目だから自分で抱え込んでしまうし、自分を追い込んでしまう。
 「なんとかなるさ」と思える個々の楽観性も大事だが、自分を追い込まないですむ職場環境の保持が大事だな。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 23, 2017

バックワード・チェイニング

Back
「日本で最も人材を育成する会社のテキスト」酒井穣著 光文社新書

 行動をゴールから始めて、少しずつスタートまでさかのぼっていく方法を「バックワード・チェイニング」と呼ぶそうだ。

◆スタートから1つずつ行程を踏む「フォワード・チェイニング」は、ハードルが多く、ゴールが遠く、成功体験が得られにくい。「新人は途中で挫折し、失意のうちに会社を去ってしまうかもしれません。(P129)
 
◆バックワード・チェイニングのポイントは、つねに「最後までやり抜いた」という充実感をともなって育成対象となる人材の経験をクローズできることです。(中略)
バックワード・チェイニングは「つねにゴールのテープを切る」という成功体験を積ませつつ、徐々に難易度を高めていく経験のデザイン手法です (P130~131)


(1)赤鉛筆でなぞらせて、最後だけは自分にやらせるノート指導。
(2)最後の場面を取り出す応援団や呼びかけの最初の指導。、

といった向山実践が思い浮かぶ。
 わがサークルの岩本先生が「巻き戻しスモールステップ」を提案したが、これも同じ原理だ。

 行動を細分化すればするほど、ゴールが遠くなってしまう。
 1つ1つのステップは容易になっても、ステップの数が多すぎれば子どもは飽きてしまう。ゴールが「お預け状態」になってしまうからだ。
 まずはゴールを体感することで、見通しが立ち、ヤル気が促される。
 「バックワード・チェイニング」なんて言葉は今日まで知らなかったが、向山型の指導は実に理に適っていたのだ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

仕事は「気分」でやるな! 脱モチベーション

 かつてテレビで、ある主婦が旦那へのメッセージとして語っていた言葉。

 「家事は『気分』でやるな」

・今日は早く帰ったから手伝うよ。
・今日は疲れていないから手伝うよ。
・今日は気分がいいから早く帰ってきたよ。

などと言えば、さぞかし奥様は喜んでくれるものと旦那は思っているが、逆だと言う。

 疲れていようがいまいが、家事はやらざるをえないもの。
 その日の気分でやったりやらなかったりできないのが家事。
 だから、自分の都合で、自分の好きな家事だけ担当したからって、それを自慢するんじゃない。

・・・「家事は気分でやるな、家事は義務だ」という主張であった(と自分は解釈した)。

 これは、「家事」を「仕事」に置き換えても同じだろう。

 仕事は気分でやるものではない。
 「今日は調子いいから120%の仕事。今日は調子でないから会社休みます。」では、誰も信頼して仕事を任せられないし、安定した質の仕事は期待できない。
 好き嫌いや気分に左右されず、コンスタントにベストを尽くし、契約義務を果たすのがプロの仕事。淡々と義務を果たすのが大人の流儀。

 さて、先日読んだ次の書籍も同じような主張であった。

「モチベーションで仕事はできない」坂口孝則著 KKベスト新書

◆世の中には「やりたい仕事に就こう!」「モチベーションをアップする方法」などの書籍やセミナーがあふれている。にもかかわらず、多くのビジネスピープルが「今日もやり気が出ない」と悩みを抱えて生きている。本書ではこうした世間のモチベーション信仰に警鐘をならし、憂鬱なあなたに向け、新しい仕事術の提案をしていく。成功のためには、「やりがい」「夢」「目標」なんて不要だ。やる気があるときもなかなか出ないときも、確実に結果を出していくための方法とは。

というのが、ネットの紹介文。モチベーションがあろうがなかろうが、とにかく仕事をこなせ、という主張だ。

◆仕事ができないのは、やる気ではなく技術の不足
◆定型的な仕事は効率よく終わらせ、じっくり思考時間を確保する

といった本書の記述も参考になった。

 なお、読んでないが、同じような書籍もヒットした。

 「仕事ができる人はなぜモチベーションにこだわらないのか」相原 孝夫 (幻冬舎新書)
◆モチベーション高く働く―。意欲が常に湧き上がっている、理想とされる働き方だ。モチベーションという言葉が仕事の場面で使われ始めたのは2008年のリーマンショック頃。以来、時を同じくして職場うつの問題が急浮上。高い意欲を礼賛する風潮が、働き方を窮屈にしたのだ。そもそもモチベーションとは、ささいな理由で上下する個人の気分。成果を出し続ける人は、自分の気分などには関心を払わず、淡々と仕事をこなす。高いモチベーションを維持する人などいない。気持ちに左右されない安定感ある働き方を提言する。

 「目の前の仕事をたんたんとこなす」というのは、ミスチルが歌う「彩」にも出てくる生き方だ。

◆ただ目の前に並べられた仕事を手際よくこなしていく。誰が褒めるでもないけど・・

 プロとしてのプライドがあるなら、褒められるから頑張る・褒められないから頑張らないではなく、いついかなる状況でも、結果を出していくことが求められる。

 そもそもプロの仕事は「相手の求められるものを約束通り提供する」ことで対価を得ている。
 芸術家のようなごくごく才能のある者だけが「自分の自由気ままに行った仕事」で評価される。
 ただし、納得できる作品が出来上がるまでじっと待っていてくれるなんていうのは、きわめてレアなケースで、小説家でも多くの場合は期限のある連載を抱え、締め切りに間に合わせるべく苦悩している。
 実は、その「締め切り」そのものがモチベーションになっているケースもあって、自分たちも締め切りがないと、なかなか前向きに課題に取り組めないのが実情だ。

 やる気の有無・好きか嫌いかで質が左右するのはプロの仕事ではない。このことをしっかり肝に銘じたい。

Moti


| | Comments (0) | TrackBack (0)

「強化学習」と「ARCSモデル」

 茂木健一郎氏の「脳を活かす勉強法」などによると「強化学習」と「自発性の回路」は同じ意味ということになる。

 「挑戦する」
 「熱中する」
 「うまいくいく」
 「快感を味わう」
 「もう一度挑戦したくなる」

の形で、「成功」を繰り返して上達していく「学習」の基本サイクルを茂木氏は「自発性の回路」と呼ぶ。
 同時に、試行錯誤を経ることで脳内に強固なシナプスが形成され、やがて一つの行動に練達していくこの過程を「強化学習」と呼ぶ。「脳を活かす勉強法」のひとつめの極意は、この「強化学習」のサイクルを回すことにあると。

・・・ところが、「ドーパミン強化学習」も「自発性の回路」も、検索すると茂木氏の著作しか出てこない。

 この「自発性の回路」によく似たモデルがあった。
 1983年にジョンケラーが示した「ARCSモデル(アークスモデル)」だ。

===================
ARCSモデルは,Kellerの提唱した学習意欲モデルで
A:注意(Attention)
R:関連性(Relevance)
C:自信(Confidence)
S:満足感(Satisfaction)からなる。

【注意の側面】
おもしろそうだ,何かありそうだという学習者の興味・関心の動きがあれば,注意が獲得できる。
新奇性(もの珍しさ)によって知覚的な注意を促したり,不思議さや驚きによって探究心を刺激する。
また,注意の持続には,マンネリを避け,授業の要素を変化させる。

•A1 知覚的喚起:学習者の興味をひくため何ができるか
•A2 探究心の喚起:どのようにすれば探求の態度を刺激できるか
•A3 変化性:どのようにすれば学習者の注意を維持できるか


【関連性の側面
学習課題が何であるかを知り,やりがい(意義)があると思えれば,学習活動の関連性が高まる。
反対に,「何のためにこんな勉強をするのか」との戸惑いは,関連性の欠如に由来する。
学習の将来的価値のみならず,プロセスを楽しむという意義や課題の親しみやすさも関連性の一側面だとされている。

•R1 親しみやすさ:どのようにすれば学習者の経験と教材とを結びつけることができるか
•R2 目的指向性:どのようにすれば学習者の目的と教材を関連づけられるか
•R3 動機との一致:いつどのようにすればが学習派の学習スタイルや興味と教材とを関連づけられるか


【自信の側面】
達成の可能性が低い,やっても無駄だと思えば,自信を失う。
逆に,学び始めに成功の体験を重ねたり,それが自分が工夫したためだと思えれば「やればできる」という自信がつく。
自信への第1歩は,ゴールを明確にし,それをクリアーすること。
教師の指示にただ従うだけではなく,試行錯誤を重ね,自分なりの工夫をこらして成功した場合(学習の自己管理),自信はさらに高まる。

•C1 学習欲求:どのようにすれば学習者が前向きな成功への期待感を持つように支援できるか
•C2 成功の機会:学習経験が,学習者自身の能力に対する信念をどのように支えたり高めたりするのか
•C3 コントロールの個人化:どのようにすれば学習者は自分の成功が自分の努力と脳力によるものであると確信するか


【満足感の側面】
学習を振り返り,努力が実を結び「やってよかった」と思えれば,次の学習意欲へつながる満足感が達成される。
マスターした技能が実際に役に立ったという経験や,教師や仲間からの認知と賞賛,努力を無駄にさせない首尾一貫した学習環境などが重要だとしている。

•S1 内発的な強化:どのようにすれば学習経験の本来の楽しみを促進し支援できるか
•S2 外発的報酬:学習者の成功に対して,どのような報酬的結末を提供するのか
•S3 公平さ:どのようにすれば学習者が公平に扱われていると感じるか

参考文献:「教育工学事典」日本教育工学会,実教出版,2000
http://home.riise.hiroshima-u.ac.jp/~ten/arcs.html
==========

・・・そうか、「教育工学」というジャンルで学ぶのか。

 「おもしろそうだな」
→「やりがいがありそうだな」
→ 「やればできそうだな」
→「やってよかった」

とサイクルとして捉えると、ARCSモデルは「自発性の回路」と重なる。
おそらく「ドーパミン」が分泌されて、学習が「強化」されるのだろうと勝手に解釈している。

http://www.gsis.kumamoto-u.ac.jp/ksuzuki/resume/books/199...

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« June 2017 | Main | August 2017 »