「ワーク」と「ライフ」のバランスの意味
「これからの世界をつくる仲間たちへ」落合陽一 小学館は、示唆に富む一冊だった。
その中の一部に「「ワーク・ライフ・バランス」に関する部分がある。
◆ワーク・ライフ・バランスが問題になるのは、「好きなこと」「やりたいこと」を仕事にしていないからです。解決したい問題がある人間、僕だったら研究ですが、そういう人は、できることなら24時間、1年365日をそれに費やしたい。(中略)ワーク・ライフ・バランスなんて考えたこともないし、その概念自体が僕には必要ありません。P164
◆ワークとライフを区別せずに「やりたいこと」をやり続ける生き方は、幸福なものではありますが、決して楽なものではありません。息抜きや遊びの時間も必要ですが、それはあくまでも自分の目的を実現するための手段のようなもの。「ライフ」の充実を「ワーク」の目的と考える生き方とは正反対です。
「やりたい仕事に熱中するのに、バランスが関係あるか」という意味の主張であるとすれば、これは今の「ワークライフバランス」の流れに真っ向から対立するものだが、言わんとすることはよく分かる。
やりたくない「ワーク」を強いられて、「ライフ」が削られることは、むろん避けるべきだ。それでは「社畜」と言われ絵も仕方ない。
本当にやりたこと・楽しみたいことが「ライフ」の側にある人は、その「ライフ」のための資金を「ワーク」で賄えばいいので、バランスをとればいい。
しかし、西洋的な職業観には合わないかもしれないが、「道を極める」「寝食を忘れて」という生き方もあっていいと思う。 四六時中、そのことを考えいるくらいの熱がなければ、生き残れないし、一人前にはなれないということもある。休みの日に本を読んだり、自己研さんに励んだりするのは、ごく自然な行為だ。
やりたいことを「ワーク」としている人は、「ワーク」と「ライフ」と切り離せるものではない。
やりたくない仕事を勤務時間の範囲内で無理無理こなしている人と、楽しくて仕方ない仕事に没頭している人を同等に扱うことはできない。
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