仮説化(条件文)のロジック
向山洋一氏の1980年の工業地帯の授業では「仮説化」が問題提起された。
◆「〜であれば工業地帯である。(になりやすい)。」
◆「工業地帯であれば、〜である。(見られる。)」という説をつくることができる。
ただし、思い付きを並べるだけでは意味がないので、次の条件がつけ加えている。
①自分で調べて証明できると考えられるもの。
②本などを見てはならない。
・・・社会科の授業から遠ざかって忘れていたが、先週の向社セミナーで話題になって思い出した。
この「仮説化(仮説検証)」の授業は、
【ある条件】ならば 【主張Aである】という仮説に対して、その【根拠】を自分で探す形になっている。
文科省発行の「言語活動の充実に関する指導事例集【小学校版】」。
第3章の「言語活動を充実させる指導と事例」の(1)に「児童の発達の段階に応じた指導の充実」の記述がある。
これは非常に分かりやすい。 「つなぎ言葉」に関連する項目のみ抜粋すると以下のようになる。
【低学年】
○判断と理由の関係を明確にして表現する。
○時系列(例えば,まず,次に,そして,など)で表現できる。
【中学年】
○判断と根拠,結果と原因の関係を明確にして表現する。
○条件文( 例えば,「もし,○○ならば,△△である)で表現する。
【高学年】
○演繹法や帰納法などの論理を用いて表現する。
○規則性やきまりなどを用いて表現する。
何気なく示されているが、中学年で「判断と根拠・結果と原因」「条件文(もし,○○ならば,△△である)」を指導せよとされている。
しかし、因果関係や条件式の文を駆使して自説を主張させる指導は、中学年どころか中学生であってもなかなかできていない。
自分の仮説を立証するための根拠を自分でさせる向山実践は、極めて高度でダイナミックな活動で、子どもの知性を鍛え上げていることが分かる。
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