« 「だから何?」と「それはなぜ?」 | Main | 仮説化(条件文)のロジック »

November 23, 2017

語句と定義の往復

Teigi


 先週、名古屋で開催された産業教育シンポジウムと向山型社会セミナー。午前・午後の学びで充実した1日だった。
 特に、今の自分の関心事が「ロジカル・ロジック」であったので、自分の問題意識に照らして再認識することも多かった。

〇外国を相手に、ものの売り買いをすることを貿易と言います。
◆「外国を相手に、ものの売り買いをすること」を何と言いますか?
→「貿易」と言います。
◆では逆に「貿易」とは何のことですか?
→「外国を相手に、ものの売り買いをすること」です。

・・そうだった、そうだった。
 TOSSでは、いろんな教科の授業で、「言葉」→「意味」・「意味」→「言葉」と往復で言わせることが定番になっている。
 最初に、この言葉の定義の往復活動を知った時は感激したのだった。
 片側だけなら、文をそのまま読めば分かる。ここを逆から言わせるところが「あと一歩の詰め」で、この往復があるのとないのでは、キーワードの意味理解が全然違う。
 しかも、この思考作業を授業で繰り返しておけば、別の定義に出会ったときに、自分で往復活動をさせて「ひとり学び」ができるのだ。

 1年の国語の「じどう車くらべ(光村)」には、次の記載箇所がある。
================
①クレーン車はおもいものをつり上げるしごとをしています。
②そのため、じょうぶなうでがのびたり、うごいたりするようにつくってあります。
③車たいがかたむかないように、しっかりしたあしがついています。

================

①の文は、

【クレーン車】→【おもいものをつり上げるしごと】

なので、2方向の問いが成り立つ。

(A)クレーン車はどんなしごとをしていますか?
→おもいものをつり上げるしごとをしています。

(B)おもいものをつり上げるしごとをするクルマは何ですか?
→クレーン車です。

③の文は、

【車たいがかたむかない】←【しっかりしたあしがついている】

と逆向きの構造ではあるが、これも2方向の問いが成り立つ。

(A)車たいがかたむかないように、どんなつくりになっていますか?
→しっかりしたあしがついています。

(B)しっかりしたあしがついているのは、何のためですか?
→車たいがかたむかないようにするためです。

 ①②はセットにして、構造を成している。
クレーン車はおもいものをつり上げるしごとをしている】
←【じょうぶなうでがのびたり、うごいたりするようにつくってある】

よって、これも2方向の問いが成り立つ。

(A)クレーン車はおもいものをつり上げるしごとをするために、どんなつくりになっていますか?
→じょうぶなうでがのびたり、うごいたりするようにつくってあります。

(B)じょうぶなうでがのびたり、うごいたりするようにつくってあるのは、何のためですか?
→おもいものをつり上げるしごとをするためです。

・・・このように双方向からの問いかけると、文末表現を原文から少し変える必要が出てくる。
その改変も含めて、言語感覚のトレーニング・論理的表現のトレーニングになるのだという思いを強くした。

|

« 「だから何?」と「それはなぜ?」 | Main | 仮説化(条件文)のロジック »

論理」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 語句と定義の往復:

« 「だから何?」と「それはなぜ?」 | Main | 仮説化(条件文)のロジック »