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December 30, 2017

「主張」と「苦情」の違い

 「クレーム」という単語は誤解されている。

 claim ...正当で当然の権利として要求する。損害賠償、支払い要求など。

 complain ...不平、苦情、グチ

 だから、先に示した「三角ロジック」の本の中では

 主張(claim)・・結論

となっている。
 人はそれぞれ自分を主張する権利がある。
 それをクレームと呼んで「迷惑」のレッテルを張るのは問題だ。
 むろん、聞く側は100%主張を受け入れる必要はない。

◆100%受け入れられるとは限らない前提で主張をし、
◆100%受け入れるとは限らない前提で主張を聞き入れる。

 日本にはそのルールがないから

 クレームを言えば全部要求が通るつもりの主張が多い。
 そしてクレームを言われた側は、要求を全て聞き入れなければと身構えてしまうため、逆に門前払いしてしまう。
 また「クレーマー」のレッテルを貼られのが嫌だから、自分の正当な主張もあきらめてしまう。

 主張をする側が「ダメでもともと」くらいの気軽な態度で主張し、
 主張を聞く側が「不当な要求には屈する必要はない」という確固たる信念で、オープンに主張を聞き取るようになった時、日本にもようやく「議論の文化」が根付くのだと思う。

 「クレーム」という単語にマイナスイメージが張り付いているうちは「議論の文化」は根付かない。

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「ごんぎつね」の主役を例に、「理由」と「根拠」の違い

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「ごん」が主役です。なぜなら題名が「ごんぎつね」だからです。
 
 題名が「ごんぎつね」であることは「事実」であるが、「題名になっていたら主役」は、自明の理なのだろうか。

 三段論法で言うなら

(1)題名になる登場人物は主役である。
(2)題名が「ごんぎつね」である。
(3)だから「ごんじつね」の主役は「ごん」である。

が成り立つ場合、

(1)は「大前提・主に普遍的な法則」と言われ
(2)は「個別の事実」と言われる。

(2)だけ提示して(1)を言わないのは、当事者にとって、(1)が当たり前すぎて論じるまでないと思えるからだ。

しかし、自分にとって当然だから相手にとっても当然とは限らない。

「だって、題名なんだから当然でしょ?」という主張は、独りよがりになりやすい。


 水戸黄門の印籠を例にとってみると分かる。
「この紋所が目に入らぬか」と言われて「はは~」となるのは、相手が印籠の意味を知っていることが前提である。
 もし、相手が印籠の意味を知らなければ何の効果もない。「だから何なの?」と言われておしまいだ。

 

 異文化交流が進むと自分の常識が通用するとは限らなくなる。

 だから(1)の大前提は一般常識だと思っても念のため補足した方がいい。

 

 「理由」と「根拠」は別概念であるときちんと教えるべきなのだ。
 だから、自分の示した基本構造図では「前提」とすることにした。

 そして、この「前提」が「理由」になるのだと、私は考えている(違うかもしれない)。

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 実際、現在の国語教科書を見ても、「根拠」と「理由」は同じような意味で使われている。しかし、英語ではその違いは明らかである。
 「根拠」とは、誰が見ても明らかな証拠資料(客観的な事実・データ)のことである。書かれたテキストにおける文・言葉、グラフや図表に示された数字、絵や写真に表されたものなどである。自分が経験した事実は、いくら自分しか知らないことで、第三者が確かめようがないからである。
 次に、その根拠がなぜ主張をささえることになるのかことになる、どうしてその証拠資料からその主張ができるのかを説明するのが「理由」である。言い換えると、主張と根拠をリンクさせるのが「理由」の役目である。根拠となる事実やデータをあげるだけでは、論証にならない。
(中略)
 論理的思考力・表現力の育成にとって、「理由づけ」は最も重要であるが、最も困難な課題でもある。実際、先のデイベートの例にかぎらず、「根拠」はあげることができて「理由づけ」がうまくできない子どもたちが多い。

「論理的思考力・表現力を育てる三角ロジック」P17/18 鶴田清司著(図書文化)
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英単語が分からないと理解が進まないことが多くなってきた。

・ 理由付け(warrant)(reasonng)
・ 根拠(evidence)
・ 事実(data)

 

「〇〇に書いてあるから」は、根拠ではあって、理由ではない。

「〇〇」と書いてあったら、どうして△△と言えるのか、その理由を説明してもらわないといけない。

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December 28, 2017

「理由」と「主張」を支える「大前提」

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 「箸を忘れたから、スプーンを貸してください」の構造を、「理由」と「主張」の関係として捉えていたのだが、どうも気になって考え直してみた。

  「箸を忘れたから、スプーンを貸してください」は、本校の貸し出しルールを前提にしている。
 学校によっては「箸を忘れたら、教室で割り箸を貸す出す」のような場合もあり得る。そもそも「お箸持参」というルールがないかもしれない。
 むろん「箸を忘れたら我慢する」という前提はあり得ないだろう。

ということは

(1)「箸を忘れたら、職員室にスプーンを借りに来る約束がある」
(2)「私は箸を忘れた」
(3)「だから、私は職員室にスプーンを借りに来ました」

という三段論法で考える必要があるのだ。
 上記の基本構造の順にあてはめると、次のようになる。

(根拠)「私は箸を忘れた」
(主張)「だから、私は職員室にスプーンを借りに来ました」
(前提)「なぜなら、箸を忘れたら、職員室にスプーンを借りに来ることになっているからです」

 貸し出しルール(前提)がない学校で、職員室に「箸を忘れました」と主張したところでスプーンは貸し出されない。

ということで、「理由(事実)」と「主張」が成り立つには、その大前提として「約束やルール・通例・常識」がある。

 「かぜをひいたから学校を休みます」は
・かぜをひいて登校したら、病状が悪化する
・かぜをひいて登校したら、他人に迷惑をかける
・かぜをひいたら欠席することが社会通念上認められている

というような大前提に基いている。

 逆に「眠いから学校を休みます」には、「眠い場合は学校を休んでよい」という通例がないので、「眠いという理由だけでは学校を休んではいけないでしょ」ということになる。

 一見「理由→主張」となりそうな事例であっても、基本構造の「三角ロジック」で考えるべきなのだ。

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December 26, 2017

失敗から学ぶ

Ajimomoto

味の素の新聞広告「これ、ぜんぶ失敗作」

・グラタン「目を離したら、お料理焦げまくりの失敗」
・チーズ「気づいたら、ミルク変質してるじゃん!の失敗」
・アイスキャンデイ「飲み物を外に置きっぱなしの失敗」
・ポテトチップ「嫌がらせに、いっそ薄く切ってしまえ!な失敗」
・高野豆腐「修行中の僧侶、豆腐を外に置きっぱなしの失敗」

などなど。
https://www.ajinomoto.co.jp/kfb/cm/newspaper/index.html

PDF画像はこちらから。
https://www.ajinomoto.co.jp/kfb/cm/newspaper/pdf/2016_7.pdf

 元画像がポスターなので、数々の失敗エピソードの文字を読み取るのはちょっと難しいが、「肉じゃが ビーフシチューなのに、まさかのお醤油味!の失敗」の内容を見てびっくり。

◆海外で食べたビーフシチューに感銘を受けた東郷平八郎が、日本にそれを再現させたところ、似ても似つかないものに。ただし味はおいしかったため、新しい料理として広まる。

・・・東郷平八郎がこんなところで登場する。
ということは「肉じゃが」は江戸時代はなかったということか。考えてみれば牛肉料理だから確かに江戸時代っぽくないな。

 広告の締めの言葉も含蓄がある。

◆おふくろの味の肉じゃがに、子どもに人気のグラタン、精進料理の高野豆腐だって、失敗が生んだ成功作です。
 あ~失敗。努力が一瞬で無になるその瞬間、例えようもないがっかり感が私たちを襲います。人は誰でも失敗するというけれど、それでもやっぱりショックなもの。だけど声を大きくして言います。どうかそこで諦めないでください。今では定番の肉じゃがだってビーフシチューの失敗作が始まりだから。日本人らしい知恵と工夫でアレンジしたことで、まったく新しい「日本食」の誕生につながったのだから。焼いてみようか、煮込もうか。うま味をプラスしようか。本当の料理上手は、アレンジ上手。さあ、きょうも挑戦を楽しんでください。
少々失敗しても、逆転できるから料理は面白い。あなたらしい知恵と工夫で、毎日の料理づくるを楽しんで!


・・・「小三教育技術」1月号に紹介されていた授業資料だが、ぜひ使ってみたくなる。

 失敗からの発明については、ノーベル賞クラスの発明など自分も調べてみたことがある。

◆失敗から学ぶ
◆失敗を活かす
◆そもそも「失敗」と思わない

といった前向きな発想を伝えていきたい。

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