「理由」と「主張」を支える「大前提」
「箸を忘れたから、スプーンを貸してください」の構造を、「理由」と「主張」の関係として捉えていたのだが、どうも気になって考え直してみた。
「箸を忘れたから、スプーンを貸してください」は、本校の貸し出しルールを前提にしている。
学校によっては「箸を忘れたら、教室で割り箸を貸す出す」のような場合もあり得る。そもそも「お箸持参」というルールがないかもしれない。
むろん「箸を忘れたら我慢する」という前提はあり得ないだろう。
ということは
(1)「箸を忘れたら、職員室にスプーンを借りに来る約束がある」
(2)「私は箸を忘れた」
(3)「だから、私は職員室にスプーンを借りに来ました」
という三段論法で考える必要があるのだ。
上記の基本構造の順にあてはめると、次のようになる。
(根拠)「私は箸を忘れた」
(主張)「だから、私は職員室にスプーンを借りに来ました」
(前提)「なぜなら、箸を忘れたら、職員室にスプーンを借りに来ることになっているからです」
貸し出しルール(前提)がない学校で、職員室に「箸を忘れました」と主張したところでスプーンは貸し出されない。
ということで、「理由(事実)」と「主張」が成り立つには、その大前提として「約束やルール・通例・常識」がある。
「かぜをひいたから学校を休みます」は
・かぜをひいて登校したら、病状が悪化する
・かぜをひいて登校したら、他人に迷惑をかける
・かぜをひいたら欠席することが社会通念上認められている
というような大前提に基いている。
逆に「眠いから学校を休みます」には、「眠い場合は学校を休んでよい」という通例がないので、「眠いという理由だけでは学校を休んではいけないでしょ」ということになる。
一見「理由→主張」となりそうな事例であっても、基本構造の「三角ロジック」で考えるべきなのだ。
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