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January 16, 2018

数学的に現代文を解く

Sugaku_3


◆(センター試験の現代文を)本文中にあることだけを手がかりにして、論理的に問題を解いていきましょう。それができれば、センスやヒラメキに関係なく誰もが同じ正解にたどり着けます。特別な才能の有無にかかわらず同じ結論に至ることができるというのは、「論理」の大きな魅力です。◆
  「根っからの文系のためのシンプル数学発想術」永野裕之著 技術評論社 P22。

・・・なんと頼もしい言葉だろう。国語はセンスやヒラメキがある人が点を稼ぐのではなく、論理的思考のできる人が点を稼ぐのだと説いている。

 本書の第一章のタイトルが「超数学的現代文読解法」。
 まず冒頭に紹介されるのが、2004年の慶応の環境情報学部の数学の問題。「数学」です。

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1、2、3番の3人が面接を受けている。
このうちいつも真実を述べるのは1人だけで、他の2人は嘘つきである。
1番の発言「2番の人は嘘つきです」
この発言から( )番の人が嘘つきであることが確実にいえる。

( )に入る番号は?
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・・・一読した時は分からなかった。
 しかし、ゆっくり場面分けしてみたら分かった。
 まさに「分ける」は「分かる」なのだ。

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1番が真実を述べたとしたら、嘘つきは2と3。
1番が嘘つきだとしたら、嘘つきは1と3。
よって、どちらの場合も3番が嘘つきとなるので、確実にいえるのは「3番が嘘つき」ということ。
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・・・この問題のカギは、嘘つきは2人いるが、嘘つきであることが確実にいえるのは何番かだけを問うている点だ。
 そこを慌てて読むと、2人の嘘つきを確定する問題と読み間違えて焦ってしまう。
 
 さて、この試験問題を紹介した後、「数学力とはすなわち、このように論理的に考える力のことです」と解説がある。
 そして、その後、センターの現代文を提示して、冒頭のように述べている。
 数学の問題も国語の問題も「論理的」に考えれば解けるというのが著者の主張なのだ。

 ただし、本書でこの後解説される国語の読解スキルは少々複雑なので、言うほど簡単にセンター入試問題は解けない。よって今回はここまで。

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January 13, 2018

子どもの理屈は「帰納的」ではなく「演繹的」

(1)A君もスマホを持っている
(2)B君もスマホを持っている
(3)みんなスマホを持っている
※ だからの僕にもスマホを買ってほしい。

という「みんな持っている」型の子どもの理屈がある。


これは個別事例を列挙して一般的な法則性を主張する「帰納的論証」の論法である。
しかし、この「帰納型」の特徴は「反例(例外)」が1つ出てきたら、もう成り立たなくなる点にある。

したがって、この場合、「自分はスマホを持っていない」という事実がある以上、「みんなスマホを持っている」という主張は成り立っていないことになる。

この「子どもの理屈」は「帰納的論証」で考えると破たんしている。
では「演繹的論証」として考えたらどうなるか。

 演繹的論証は、いわゆる「三段論法」で、

(1)確定的な事実や一般的法則に
(2)個別的な事案が含まれる場合
(3)個別的な主張は、その正しさが保障される

いう流れになっている。
 今回の例で言うと

(1)今の日本の小学生は全員スマホを持っている。
(2)私は日本の小学生である。
(3)ならば、私はスマホを持っている。

ということになるが、それでも「みんな持っているよ」というならば、私は既にもっていなくてはならないわけだから、論理が破綻してしまう。

ただし、少し譲歩して、「子どもの理屈」を支援すると、結構いけそうなのだ。

(1)今の日本の 多くの 小学生は全員スマホを持っている。
(2)私は日本の小学生である。
(3)ならば、私はスマホを持ってもおかしくない。

(1)私の周囲の友人は 全員スマホを持っている。
(2)私は周囲の友人と何ら変わりのない人間である。
(3)ならば、私はスマホを持っていてもおかしくない。

というように、「自分を含まない『全員』がスマホを持っている」ことを示すために限定表現を加えてみると

◆「多く」が「5割」だったり「9割」だったりと、数値で実証できれば主張が説得力をもつ。
◆「私の周囲の友人」という指定範囲が相手を納得させるものであれば主張が説得力をもつ。

ということにある。
 子どもの理屈」は、帰納的ではなく演繹的な論法に基づいている。
 ただし包含関係にあるべき「一般的事実」と「個別事案」が含みきれていないので、演繹型論証としては正しくはないのだが、

(1)「ほとんどは・大半は」といった付帯条件iに説得力があれば、親は認めてもいい。
(2)演繹的な論証に挑戦しているその努力を親は認めてもいい。

 論理トレーニングの一環として、子どもの説得力を見極めて応対してやればよいと思う。


 ただし、大人になって「普通は〇〇ですよ」」「いまどきの誰でも持ってますよ」といった、あたかも全員が含まれるような演繹的なセールストークを展開してきたら、数字的根拠を要求するなどしっかり突っ込んでロジカルに応対したい。

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January 08, 2018

教師は「教える」をやめたら何をすればよいのか?

 SAPIOの1月号で、大前研一氏がこれからの教育や教師の有りようについて述べている。

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 さらに教師もいらなくなる。今の小学校・中学校・高校の先生は文部科学省が定めた学習指導要領に従って教えている。ということは、学習指導要領に準拠した「AI先生」が登場すれば、それで事足りるし、自宅でパソコンやスマホなどを使って勉強することもできるので、わざわざ学校に行って授業を受ける必要はない。
 ただし、そもそも学習指導要領に基づいた画一化教育は、日本が世界に羽ばたいて活躍できる人材を生み出せない最大の原因になっている。20世紀の大量生産・大量消費時代は画一化教育で均一的な人間を作っていればよかったが、それではボーダーレスな厳しい世界競争の中で生き残ってくことはできない。均質的な人間が使いこなせるような仕事はすべてAIやロボットに置き換えられていき、それ以外の領域で能力を発揮できる人間しか富を創出することができなくなるからだ。にもかかわらず、日本の場合は依然として時代遅れの学習指導要領に従って、スマホがあれば答えが分かるようなことばかり教えている。
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・・・現行の学習指導要領が時代遅れだとの指摘はやむを得ない
新学習指導要領は次世代を念頭に置いており、AIに代替えされない人間を育てるためには、暗記型学力では通用しないことを主張しているが、まだ移行段階だ。
 それにしても、大前氏が述べるような危機感を現場の教師は共有できているかどうか、新学習指導要領の意味を共有できているかどうかが問われている。目先の授業準備に埋没するのではなく、日本の未来を見据えてもらわなくては困るのだ。
 大前氏の論はさらに続く。

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 一方、世界の先進国の多くは、とっくの昔に21世紀に対応した教育システムに移行している。たとえばデンマークは、約20年前に「ティーチ(教える)という概念を教室から追放した。
 なぜか?
 教えるという概念の前提は、教える人が答えを知っているということであり、教えられる人はその答えを覚えるだけになってしまうため、自分で考える能力がなくなる。答えを覚えることは人間よりコンピュータのほうが得意だから、コンピュータにできないことができる人間を育てなければ、国際的な競争力を失ってしまう。そう気づいたからである。
 そしてデンマークは、先生を「ティーチャー」と呼ぶこともやめた。生徒が自分で考えることを助けるという意味の「ファシリテーター(促進者)」に変えたのである。
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・・・「ファシリテーター」という語は知っていたが、「ティーチャー」に置き換わる概念だとは思っていなかった。
 教師は「教える」だけでなく「示唆する・導く」の度合いが強まってくる。
 しかし、だからといって「教えない=丸投げ=学び合い」を推奨することはあり得ない。
 いくら知らないことはAIが教えてくれるとしても最低基準の知識技能さえも身に付けていなければ、それはそれでAIの下請け人間にしかなれない。
 そこを注意しておかないと、以下の大前氏の文を読んですぐに「学び合い」の授業と結び付けてしまうだろう。

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 21世紀は答えのない時代である。そこで生き抜いていくためには、自分で質問して答えを予測し、他人議論する中でリーダーシップをふるって答えに至る道筋を見つけられるようにならねばならない。
 しかし、今の日本の教育制度では、そういう人間を育てることはできない。逆に言えば、21世紀の世の中で通用しない人間=AIやロボットに置き換えられる人間しか育てていないのである。
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・・・新学習指導要領は、この危機意識に立って作られている。
 「主体的・対話的で深い学び」が象徴的なキーワードになっていることからもそれが分かる。
 総則解説に書かれた「改訂の経緯及び基本方針」等を読めば、AI時代を見据えていることも分かる。

◆こうした変化の一つとして、人工知能(AI)の飛躍的な進化を挙げることができる。人工知能が自ら知識を概念的に理解し、思考し始めて言われ、雇用の在り方や学校において獲得する知識の意味にも大きな変化をもたらすのではないかとの予測も示されている。このことは同時に、人工知能がどれだけ進化し思考できるようになったとしても、その思考の目的を与えたり、目的のよさ・正しさ・美しさを判断したりできるのは人間の最も大きな強みであるということの再認識につながっている。(後略)

・・・新学習指導要領の総説は、よく書かれている。
 改訂の理念をしっかり共有できる1年でありたい。

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January 02, 2018

「証明教育」という概念

Suugaku
 「数学的思考法―説明力を鍛えるヒント」 講談社現代新書 新書 – 2005/4/19
 著者の芳沢光雄氏は、検索をするとたくさんの著書があることが分かる。
 数学の面白さや数学的思考の大切さや受験数学の問題点などを述べている点では、この本も同じである。
 「説明力を鍛える」とは、「証明問題を解く」の意味なのだと考えて読んだのだが、そういうわけではなかった。
 それでも、数学がいかに日常の問題に関わっているかを具体的に示していた。
 特に、証明問題の扱いについてIT大国のインドに比べ、いかに日本がいい加減かが分かった。


◆ITのソフトウエアの面で世界をリードしているのがインドの技術者だということはよく知られた話だが、
それには中学生の頃から鍛えられた「証明力」がものをいっているにちがいない。
インドの数学教育では、たとえ証明問題でなくとも、証明問題のようにきちんとした説明文を書かなくては、最後の答えが合っていても大幅に原典されてしまう。
ソフトウエアというのは、命令文の論理的な連なりでできている。
インドの技術者たちは「証明力」について、”理想的”な教育を受けているからこそ、複雑なソフトウエアでも、全体の構成から各部分の細かい命令文に至るまで、しっかりしたものを作ることができるのだ。
(中略)
 インドとはまったく対照的に、日本の中学校での証明教育の実情はまことに惨憺たる状況である。昭和40年代と比べると、現行(2002年学習指導要領改定)の中学校数学教科書の証明問題数は3分の1になってしまった。挙句の果てに、「証明の全文を中学生に書かせるのはかわいそうだし、試験に出しても点が取れない」などと”同情”して、なんと「三角形」だの「平行」だのという単語だけを”穴埋め式”に書かせるという、まったく日本固有の異常な教育があちこちの中学校で行われているのである。 P24/25

◆本当に注目すべきことは、日本と比べて内容面でのレベルが高いことではない。「証明力」を鍛えるという姿勢が、初等教育から大学入試まで一貫しているということである。日本の技術評論家諸氏も、インドの技術者について「英語を使えることや賃金面での優位性もさることながら、数学とくに証明教育で鍛えた問題解決力と論理力が優れている」という点を90年半ばから指摘している。
 ハイテク分野で世界的に高く評価されているインド国立工科大学の入試問題集が手元にあるが、2000年度の数学の問題は16題全問とも証明問題である。マークシート方式中心に問題を解くテクニックばかり学習しているような日本の受験生では、手も足も出ない問題ばかりだ。ちなみに筆者もチャレンジしてみたが、
制限時間内に解けた問題数は約半分で、全問を解くのには制限時間のほぼ2倍の時間を要した。
もっとも、約20万人受験して2500人ほどしか合格できないという寂しさを考えると、それも仕方がないのかもしれない。P29

◆日本のマスコミはなぜ、このような日本とインドの”違い”を報道しようとしないのか、ぜひ理由を知りたいものだが、これだけでもインドの数学教育が「証明力」の前段階での「試行錯誤」、そして「証明力」の後段階としての「説明文」を重視していることを窺い知ることができるだろう。P30

・・・書籍の前半でこのように「証明教育」の不足を訴えていたので、後半に具体的な「証明力・説明力」のヒントがあるかと期待して読み進めたが、残念ながら、それはなかった。
 「試行錯誤・説明・証明教育」によって、問題解決力と論理力が鍛えられるのだという筆者の主張をもう少し掘り下げてみたい。

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「推論・論証」は非言語分野

 学習障害(LD)には、次の3つのタイプがある。

(1)読字障害(ディスレクシア)・・・読みの困難
(2)書字表出障害(ディスグラフィア)・・・書きの困難
(3)算数障害(ディスカリキュリア)・・・算数、推論の困難

  「数学的推論の困難さ」は「例えば定量的問題を解くために、数学的概念、数学的事実、または数学的方法を適用することが非常に困難」とある。
  「算数障害」に「計算処理」だけでなく「推論」が入ることを知って、改めて「能力」そのものについて考えこんでしまった。
  「推論」には「論理的推論」と「数学的推論」と2つの用語があるようなのだが、ネット検索レベルではまだ十分にその違いが理解できていない。
 以下の推論が「数学的」であるぐらいは理解できるが。

※整数の四則計算のきまりは、小数や分数にも使えることを類推する。
※平行四辺形の求積は、長方形の求め方に帰着させると求められる。台形は長方形・平行四辺形・三角形の求め方に帰着させると求められる。
※合同な三角形の描き方を類推すれば、拡大図や縮図の作図を考えることができる。
※複合図形の面積も、既習の長方形と正方形に分ければ解ける。この発想を類推すれば、複合体積も直方体と立方体の組み合わせで考える。

 参考になったのが就職適性検査である「SPIテスト」の解説。SPIテストはリクルートの作成したものだが、各企業が採用している。
 その内容についてはユーキャンの就職試験対策の解説に詳しい。

 「言語分野」と「非言語分野」に分けられる。

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 【言語分野】主に国語分野から出題される。

 毎日の業務に必要な言語能力,つまり,円滑な意思伝達能力や,文書作成能力の有無を検査する。
出題傾向としては,[1] 語句に関する問題と,[2] 長文読解に関する問題が出題される。
二語の関係,同意語・反意語,ことわざ・慣用句,語句の意味,敬語,文法,空欄補充,文の並べ替えなどが含まれる。

 【非言語分野】主に数学,理科分野から出題される。
計算能力や論理的思考能力,つまり,在庫管理やデータ処理などに必要となる実務処理能力を検査する。
出題傾向としては,[1] 基本的な計算問題,[2] 論理的に考え判断する問題,[3] 図表や資を読み取る問題が出題される。
推論,論証,集合,順列・組合せ,確率,鶴亀算,損益算,速さ,通過算,仕事算,濃度算,年齢算,代金の支払い,表の読み取り,n進法,物の流れと比率,ブラックボックス,PERT法,などが含まれる。

http://www.shukatsu-kami.jp/trend/
http://www.shukatsu-kami.jp/spi2/method/special1.html
================

 これを見ても分かるように【非言語問題】には計算処理だけでなく「推論」「証明」が含まれていることが分かる。
 以下のサイトには、さらに詳細な解説がある。

=================
 計算能力や論理的思考能力を問われるのが,この非言語分野。

【推論】
与えられた情報から「必ず正しい」といえる事柄を選ぶ問題。どの条件をもとに考えるかが大切。

【論証】
ある命題から,必ず正しい事象を選ぶ問題。命題の「対偶」,「三段論法」を使うのが解法のカギ。

【集合】
あるグループの中で,特定の条件に合うものの数を求める問題。「ベン図」が解答への近道。

【順列・組合せ】
物の割り振り方の数を求める問題。順序まで考えるのが順列,順序を考えないのが組合せ。

【確率】
全体の場合の数のうち,ある事柄の起こる場合の数の割合を求める問題。

【鶴亀算】
鶴と亀の頭数と足の数の差を利用して解く問題。例題では方程式よりも速い解法を紹介。

【損益算】
定価や利益,売価などを求める問題。まずは,定価・原価・売価などの言葉の意味を覚える。

【速さ】
与えられた数値から速さ・時間・距離を求める問題。速度算の3つの公式をマスターしよう。

【通過算】「
速度算の一種。“列車が橋を通過し終える”時間などを求める。出題パターンを覚えよう!

【仕事算】
ある仕事にかかる日数や時間を求める問題。全体の仕事量を1として考えることが解法のコツ。

【濃度算】
食塩水の濃度や,食塩の重さなどを求める問題。基本の公式を理解し出題パターンに慣れよう。

【年齢算】
親子の年齢のように,一定の差がある2つの数値がn倍になるのはいつかを求める問題。

【代金の支払い】
代金の精算や値引,分割払いの問題。速く正確な計算力と頻出パターンの知識がものをいう。

【表の読み取り】
頻出のパターンは,表の空欄を補充する問題。出題頻度が高く対策は必須。

【n進法】
10進法→n進法,n進法→m進法が出題のパターン。一度慣れてしまうと得点源にできる問題。

【物の流れと比率】
図示されたルールを基に人や物の流れを式で表す問題。記号の多さに惑わされないこと!

【ブラックボックス】
装置に入力された数値が一定のルールに従い変化した出力後の数値を求める問題。

【PERT法】
プロジェクトの確率的なスケジューリング法を問う問題。限られた出題パターンを理解しよう


http://www.shukatsu-kami.jp/spi2/method/
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  「数学」は計算処理能力だけではなく、推論や論証の力も担っているが、「読み・書き・計算」という括りがどうしても邪魔してしまう。
 そもそも「推論・証明」が「非言語能力」という点がすんなり理解できないのである。

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January 01, 2018

推論の能力

 年末の特別支援教育の学習会で「LD」の中身について復習した。

===================
文部科学省の定義によると、学習障害とは、全般的な知的発達に遅れがないものの、
「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうちいずれかまたは複数のものの習得・使用に著しい困難を示す発達障害のこと。
医学的な分類では学習障害は主に

・読字障害(ディスレクシア)・・・読みの困難
・書字表出障害(ディスグラフィア)・・・書きの困難
・算数障害(ディスカリキュリア)・・・算数、推論の困難

の3つの種類に分けられる。
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 「算数障害」は計算だけでなく、物事を考え答えを導く推論の困難さも含んでいる。これまでも目にした箇所なのだが、問題意識に欠けていた。
 DSM-5における診断基準には次のように表記されている。

(6) 数学的推論の困難さ(例:定量的問題を解くために、数学的概念、数学的事実、または数学的方法を適用することが非常に困難である。

 「数学的推論」と「論理的推論」の違いもよく分かってはいないのだが、数学の時間に「証明問題」を行うのだから、全く違うというわけではないはずだ。
 というわけで、今後は「算数障害」の中の「数学的推論」の支援策も調べていこうと思う。

 さて、教育出版が出している「教育情報シリーズ」というファイルが前任校にあった。
かつてもブログで書き込んだことがあるのだが、そのNo121は「教師力アップへの道 文章題に強い子どもを育てる」という8ページの資料で、文章題の読み取りは国語の読解力とは別だと述べている。
 算数と国語の文章理解は別だという主張ではあるが、それでも参考になる点は多い。

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◆文章題の解決が思うように進められない子どもの原因を「国語の読解力がない」と、いとも簡単に断定する教師が少なくない。これは、ことの本質を曖昧にする判断である。算数・数学科の文章や文章題の表現ほど、美や感情の省略された単純で簡潔なものはない。
国語的な読解ではなく、文章題としての読み取り方を、下記のような事柄について発達段階に即して丁寧に指導していくことが重要である。
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・・・ 算数の文章問題の読み取りの力を、国語の力(論理的思考力)とは異質なものとして、「問題の理解」の指導過程について、次のような学習活動を提示している。
 以下の項目は、国語のテスト問題には必要な理解ではないかと思う。

①場面や情景の理解
 どのような場面かを捉えるように意識させる
②求答事項の確認
「何を聞いていますか?」「聞かれていることは何ですか?」
③既知事項の確認
「この問題から分かることは何ですか?」
④条件の理解(確認)
 文章の中に示された条件を見付けさせる。
「全部~するとしたら」「このままどうかするとしたら~」など。
⑤必要な既習事項の想起
 文章題は、そこに記述されている求答事項や既知事項、条件を明らかにしただけで解決できるとは限らない。(中略)問題文に記述されていない既習事項の活用しなければならない場合が多くなってくる。

・・・留意点として「②→③の順に行う」とある。
まず設問を確認せよという以下のアドバイスは受験国語でも大事なポイントだ。

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 多くの教師が②よりも③を先行して「この問題から分かることは何ですか?」としているが、これは大きな間違いである。
 このことは、一般的に考えて目的が分からないのに準備をすることができないことから容易に理解できる。
 求答事項を明らかにするために、この問題から分かることを取り出すのである。
 文章題の文中に、②③④などを記号化して指摘すると効果的である。 
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 ほかにも、常日ごろ気を付けたい指導事項の紹介があった(箇条書きで提示する)。

(1)文章題を分かっていることに言い換えてみる。
①文章題が複雑な構文で表現されているときは、簡単な構文に言い換えてみる。
②条件がいくつもある場合には、1つの場合、2つの場合と単純化してみる。
③小数や分数で表されているために分かりにくければ整数で表してみる。
④関係が見つけにくければ小さな数に置き換えてきまりを見つけやすくする。

(2)分かっていると仮定してみる。
解決の見通しが立てにくい場合や、演算決定ができない場合に、未知の部分を分かったものとして□やxなど記号や文字で表すと、解決の手がかりの得られることがある。

(3)演算決定するためには、次のような具体的な手立てを子どもにもたせる。
①キーワードに注目する。
②言葉の式や公式に当てはめる。
③数直線など図で問題の構造を捉える。
④数値を簡単にしてみる
⑤似た問題を思い出すなど。

・・・なお、以下の指摘は、数学がいかに「類推」思考を必要としているかがよく分かる。

①整数の四則計算のきまりは、小数や分数にも使えることを類推する。
②平行四辺形の求積は、長方形の求め方に帰着させると求められる。
台形は長方形・平行四辺形・三角形の求め方に帰着させると求められる。
③合同な三角形の描き方を類推すれば、拡大図や縮図の作図を考えることができる。
④複合図形の面積も、既習の長方形と正方形に分ければ解ける。
この発想を類推すれば、複合体積も直方体と立方体の組み合わせで考える。

 文章の読み取りには数学的思考が必要なのではという思いを強くした。

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