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February 19, 2018

「東大教授の父が教えてくれた頭がよくなる勉強法」永野裕之著(PHP)

この本は、さまざまな引用が印象に残る1冊だった。


(1)◆ガンジー 
 「明日死ぬつもりで生きなさい
  永遠に生きるつもりで学びなさい」

・・・対句表現である。
 「A - B   A’ - B’」
の構造で「学びなさい」を考えさせると、格好の「類推」の訓練になる

(2)◆東大生は一般学生よりも「勉強しなさい」と言われた割合が少ない
 2014年8月号「プレジデントファミリー」の集計結果(過去十年1064人の東大生)より。
 
 もともと成績が良かったから」と考えれば相関関係。
 「勉強しなさい」と言われなかったから成績が伸びたと実証できれば因果関係。

・・・ところが、筆者は、ここで何の実証もなく次のように、自分の「思い」を述べる。

「それはもともと成績が良かったからでしょ」という声が聞こえてきそうですね。もっともです。
 でも私は、成績が良かったから「勉強しなさい」と言われなかったのではなく、「勉強しなさい」と言われなかったから成績が伸びたのだと思います。

・・・そして、その後

「勉強しなさい」というセリフはそれだけ、子どもから勉強ができるようになるために必要なものを奪いかねない危険なセリフなのです。

と、因果関係であることを規定事実にすりかえたかのような表現をしている。
 このような「主張」と「事実」の巧妙なすり替えには十分注意しないといけない。

 
(4)◆アインシュタインの言葉
「調べればわかることを覚えるほど僕の脳は暇じゃない」


(5)◆MITメデイアラボ伊藤穣一
「世界の変化のスピードがこれだけ速くなると『地図』はもはや役に立たない。必要なのは『コンパス』です。
そして素直で謙虚であり続けながら権威を疑わないことなのです」

(6)◆ルソー
「ある真実を教える事よりも、真実を見出すにはどうしなければならないかを教える事の方が重要である」

(7)◆筆者
「なぜ?」と思いながら勉強する姿勢こそが本質にたどり着く最短の思考法なのです。

(8)◆『学びのイノベーション事業実証研究報告書」
小学校就学以前から子供が主体的に学ぶような教育へ転換していく必要性

(8)◆音楽家レナード・バーンスタイン
「自分は音楽家になるべきでしょうか、と訊ねられたら私はノーと答える。なぜならそう質問したからだ.
質問する限り、答えはノーだよ。『禅』問答みたいだけどね。音楽家になるのは、音楽家になりたいと願うその人自身なんだ」
「良い音楽家になりたいのならまずはそう思うことから始めなければ。なぜならそれはとても難しいことだから」

(9)◆デカルト
「困難は分割せよ」

(10)◆アルバート・バンデユーラの「自己効力感」(自分はやればできるんだ)の4つの要因
・達成体験(成功体験)
・代理体験(他人の成功)
・言語的説得(励まし)
・生理的情緒的高揚(気分)

(11)◆暁星小学校の碑文
 「困難や欠乏に耐え、進んで鍛錬の道をえらぶ気力のある少年以外はこの門をくぐってはならない」

・・・暁星小学校の建学の精神は、キリスト教の理念に基づく教育により、人格の完成をめざすとともに、社会の福祉に努める人物を育成することです。それは、「自分を大切にする」「他者を尊重する」「神を愛する」という教育理念として示されています。
 「自分を大切にする」とは、自分のよさに気づき、個性を大切にして能力を伸ばす努力をする姿です。また、「他者を尊重する」とは、さまざまな考え方や個性・能力をもった人たちと学び合い、支え合い、育ち合う生き方を表しています。そして、「神を愛する」とは、イエス・キリストが神と人を愛する生き方が人間にふさわしい自己実現の道であると教えてくださったことを示しています。
 変化の激しい社会にあって、どのような状況の中でもたくましい「心と体」で生きていく力を身につけるように学校全体で取り組んでいます。「真・善・美」を愛する豊かな感性、知的好奇心と学びを探究する心、困難に対しても進んで挑戦する実行力、そうした力を支える基礎学力をしっかり身につけさせること、それが暁星がめざす教育です。
 本校には、「困苦と欠乏に耐え、進んで鍛錬の道を選ぶ、気力のある少年以外はこの門をくぐってはならない」ということばが伝えられています。この精神を、望ましい形での「鍛える教育」として大切にしていきます。そして、次代を担うリーダーにふさわしい「心と体」を培っていきます。暁星小学校 学校長   吉川 直剛


(12)◆夏目漱石 長塚節の「土」の序文 
  「面白いから読めというのではない。苦しいから読めというのだと告げたい」

 余はとくに歓楽に憧憬しょうけいする若い男や若い女が、読み苦しいのを我慢して、此「土」を読む勇気を鼓舞する事を希望するのである。余の娘が年頃になって、音楽会がどうだの、帝国座がどうだのと云い募つのる時分になったら、余は是非此「土」を読ましたいと思って居る。娘は屹度きっと厭いやだというに違ない。より多くの興味を感ずる恋愛小説と取り換えて呉くれというに違ない。けれども余は其時娘に向って、面白いから読めというのではない。苦しいから読めというのだと告げたいと思って居る。参考の為だから、世間を知る為だから、知って己れの人格の上に暗い恐ろしい影を反射させる為だから我慢して読めと忠告したいと思って居る。何も考えずに暖かく成長した若い女(男でも同じである)の起す菩提心ぼだいしんや宗教心は、皆此暗い影の奥から射して来るのだと余は固く信じて居るからである。

 適切な引用があると、説得力が増す。
 いや、違う。
 適切な引用ができるほど博学な人の文章だから、説得力があるのだ!

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