創造性に必要な条件
ノーベル博物館長のスヴァンテ・リンドクヴィストさんが「個人が創造性を発揮するために必要なもの」 について9つの条件」を述べている。2002年日本で開かれた「ノーベル賞100周年記念国際フォーラム」の講演録である。
①勇気 Courage
②挑戦 To challenge
③不屈の意志 Persistence
④組み合わせ To combine
⑤新たな視点 To see in a new way
⑥遊び心 Playfulness(“Homo Ludens”)
⑦偶然 Chance
⑧努力 Work
⑨瞬間的ひらめき
(田中耕一著「生涯最高の失敗」朝日新聞出版社 p85より)
田中氏がノーベル賞を取った経緯が、この9つの条件に合致したことを語っている。真面目さと遊び(ゆとり)を併せ持たないと創造性は育まれない。
さらに、「創造性を育む環境には、どんな特徴があるか」について10項目を挙げている(p87)。
①集中(人口密度)
②多彩な才能
③コミュニケーション
④ネットワーク
⑤インフォーマルな会合の場
⑥往来がいやすいmobirity
⑦資源
⑧自由
⑨競争(業績へのプレッシャー)
⑩カオス(組織の不安定な状態)
田中氏は、この中で、今の日本に欠けているのは、「インフォーマルな会合」と「競争」「組織の不安定な状態」だと言う。
これは、まさに「コンフォートゾーン」の逆だ。
安定した居心地のよい環境は「ぬるま湯」になりやすい。様々な情報の出入りがあり、競争意識(プレッシャー)にさらされないと創造性が育まれないというのは、崖っぷちに立たされて初めて脳がフル回転することに通じているのかもしれない。
牧歌的でのんきな環境は心地よくはあるが、創造性は育まれない、というのは、新たな発見であった。
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