「ダブルスタンダード」と「ダイバーシティ」
1つの目標に向かって協力することは素晴らしい。
「一致団結」「一枚岩」という言葉を否定はしない。
ただし、ダブルスタンダードで考えた方が個別配慮できることもある。
たとえば「がんばれ・努力せよ・全力を出し切れ」というメッセージは、本来正しいが、相手によってはそのメッセージが負担になる場合もある。
香山リカ氏は『勝間さん、努力で幸せになれますか』『しがみつかない生き方」を出し、勝間に感化された女性たちの中には、目標を達成できないことで自分を責め、うつ病を患い精神科を受診する女性が増えていると指摘した。
誰もが勝間氏のようになれるわけじゃないし、全ての人が勝間氏をめざさなくてもいい、それはそれで正論である。
かといって、「無理しなくていい」や「がんばらなくていい」というメッセージが、本来がんばるべき人のサボタージュの口実になっても、これまた困る。
◆できる人・手を抜いている人には、自己を高める努力を求め、もっともっとと厳しく要求する。
「あなたはもっとできる。ここで気を抜くのはモッタイナイ。全力を出し切ってみて!」
◆一方で、十分がんばっている人には、努力を認めやさしく諭す。
「あなたは十分がんばっている。無理しなくていいんだよ」
と個別対応すれば問題はない。
「みんな違って、みんないい」とスローガンだけは立派でも、現実は「みんな一緒」を強要する風潮はなかなか排除されない。一斉指導の方が楽でもあるからだ。
市内でも「〇〇スタンダード」という形で学習規律を揃えさせようとしているが、やり過ぎは自由を奪う。
最低基準はあっていいが、スタンダードは「標準仕様」なので、さまざまなオプションが用意されているべきなのだ。
さて、落合洋一氏が「ダイバーシテイ」 という言葉をよく使うので、自分もようやく、このワードがなじんできた。
「ダイバーシティ」=「多様性」「幅広く性質の異なるものが存在すること」「相違点」
義足や義手、車椅子などのテクノロジーの進歩によって、個人の身体的な差異が埋められる。身障者と健常者の差異がなくなるどころか、パワースーツを着用した身障者の方がパフォーマンスが高いという逆転も起こってくる。事実、パラリンピックの走り幅びでは、オリンピックの世界記録を上回ろうとしている。
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◆人間社会は、今まではなにが標準かを決める考え方で、世界史で偉い人たちが決めてきたけど、健常者がいるから障がい者がいるんです。全員ダイバーシティだったら、そんな人、誰もいないですからね。
男女が結婚するって決まっているからLGBTがいる。つまりそういうものがなければ、標準がなければ、そういうものは出てこない。
僕らが考えているのは、我々は今後必然的にダイバーシティ化するということ。高齢化社会にすごくネガティブなイメージを持っているけど、そうじゃなくて、それを「ダイバーシティ」ととらえようと。
例えば、目が見えなくなる、耳が聞こえなくなる、手が動かくなる、それはダイバーシティです。それをどうやってテクノロジーを使って置き換えていくかさえできれば、我々は人口減少国家だけど、めっちゃ成長もできるんです。
https://logmi.jp/238589
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・・・この「ダイバーシティ」を検索し、その奥深さに驚いている。
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◆組織でのダイバーシティとは「多様な人材を活かす戦略」。さまざまな違いを尊重して受け入れ、「違い」を積極的に活かすことにより、変化しつづけるビジネス環境や多様化する顧客ニーズに最も効果的に対応し、企業の優位性を創り上げること。
ダイバーシティの基本概念は、以下の4つです。
・個々人の「違い」を尊重し受け入れる
・「違い」に価値を見つける
・職務に関係のない性別、年齢、国籍等の属性を考慮せず、個人の成果、能力、貢献だけを評価する
・「違い」に係わらず、全社員が組織に平等に参画し、能力を最大限発揮できるようにする
これらを実行することにより、「組織のパフォーマンスを向上させること」がダイバーシティの目的です。
ダイバーシティを成功させている企業は、多様な人材の採用や定着ではなく、その先の「活用」にフォーカスして取り組んでおり、企業内の人材を誰ひとりとして無駄にしないことへつなげています。
http://www.worklifebalance.co.jp/diversity/about-diversit...
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◆ダイバーシティ・マネジメントとは、多様な人材を積極的に活用し、経営基盤を強化することです。多様性を受け入れる環境を整えるほか、採用した人材が活躍できるよう、一人一人のニーズに合った多様な働き方の選択肢を用意する必要があります。例えば、長時間労働を抑制し、勤務時間や正規、非正規の雇用形態に流動性を持たせるなどして、多様な人材が活躍できる組織にすることが求められます。
また、社員一人の人生においても、出産や育児、病気、介護など、状況の変化が起こります。そうした変化に即した働き方が可能になれば、社員の経験やスキル、異なる視点などを継続して生かすことができ、人材の損失を防いで発展へつなげられるでしょう。
https://www.d-healthcare.co.jp/business-column/work-style...
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・・・学級経営でも同じで、全員に同じ成果を求めてはいけない。
体力を活かす子もいれば、知性を活かす子もいる。どの子も、その子なりの特性を活かして最大限のパフォーマンスを発揮すればいい。
管理職っぽい内容で言うと、育休明けで小さなお子さんがいたり、持病があったり、親の介護を要する人がいる中で、全員に「同じ労働・同じ成果」を求めてはいけない。
それぞれの先生方が、それぞれの事情や特性を活かして最大限のパフォーマンスを発揮してもらえば十分なのだということになる。
以下の「教育新聞」のコラムは、要するに「ダイバーシテイ・マネージメント」のことを書いている。
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全員に同じ働き方を求めない
◆よくある間違いは、形式だけ「多様な働き方」を認めておきながら、教職員の考え方は昔と全く変わっていないというものです。時短勤務が認められていても、教職員各自が「仕事はみんな同じようにして当然だ」と思っていると組織はうまく回りません。
(中略)目指すべきは、学校内に「多様な働き方」を許容する文化を作ることです。今はフルタイムで働いていても、そう遠くない将来、自分も時短勤務を選択するかもしれない。そう想像できるようになれば、今は事情があって仕事を減らしている人がいたとしても「ずるい」と思わなくなります。「全員で同じ目標を追っているが、それぞれの事情で仕事への関わり方には差がある」のは決して不自然な状態ではないのです。
「働き方改革と学校システムの刷新」⑧ 住田昌治
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・・・「想像力」は「思いやり」なのだとつくづく思う。
相手の事情を慮る度量があれば、「ずるい」ではなく「お互い様」と寛容になれる。
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