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June 17, 2018

中室牧子氏の講演 「教育に科学的根拠を」

 日本福祉大学の文化講演会として名古屋で行われた中室牧子氏の講演会。

 非認知能力(GRITや自制心)、エビデンス、因果関係、政策の費用対効果
 
などしっかり復習するとともに新たなお話も入手できた。

(1)聞き慣れなかった言葉の1つが「可鍛性」。
 「人が伸びる可能性」といった意味で用いられていた。
 帰宅してググってみたら、中室氏を特集したサイトがヒットして、これまた復習になった。

◆シカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授らの最近の研究によると、認知能力の向上は子どもの学齢が上がるにつれて減少する一方、非認知能力の向上は学齢と無関係で、成人後まで可鍛性があるという。さらに、非認知能力は認知能力を向上させるが、その逆は観察されないという。

 2つの重要な非認知能力「自制心」と「GRIT」
  2017年05月08日

https://www.recruit-ms.co.jp/issue/interview/0000000566/


(2)もう1つのワードが「taught by somebody」(誰かに教わるもの)」
 大学入学者には、高校卒業資格者と、大検合格資格者の2通りがあるが、大検合格者は、高校での様々な体験がないから、非認知能力が低いという結果が出ているという。
 これも、ググってみたら、中室氏を特集したサイトがヒットして、こちらも今日の講演と重なるところがあって復習になった。

◆非認知能力とは「taught by somebody」(誰かに教わるもの)と定義している。つまり、「非認知能力」とは、机に向かって1人で獲得できるような類のものではなく、家庭や学校のなかで、親や教師、友人らから「教わって」身につけるものだということなのだろう。

人生の成功を左右する「非認知能力」とは
2017年01月23日
https://www.recruit-ms.co.jp/issue/interview/0000000542/

 高校生活の様々な活動は、受験には無用で時間のムダかもしれないが、非認知能力の形成・人格の形成には重要なのだという。

(3)「taught by somebody」や「Googleの20%ルール」の話題もあって、「ムダの効用」ということを改めて考えた。
 20%ルールは勤務時間内に与えられた自由時間から独創的なアイデアが生まれる実例である。
 これろ同じように、雑談があるから教職員間の指導技術や授業のアイデアはシェアされる。
 一見ムダな時間があるから、悩みを相談できる。冗談が言い合えるし、笑いを共有できる。
 目の前の授業準備に追われるばかりでは大きな成長は望めない。今の学年の授業には直接関係のない情報にもアンテナを張っておく余裕が必要だ。さまざまな知識がいつか役に立つ。まさに「三年先の稽古」だ。

 可鍛性のある非認知能力は、子供だけでなく職員も日々伸ばしていける。
 教師自身の非認知能力を伸ばすためには「ムダな時間を削る努力」だけではいけない。「ムダな時間を確保し、有効に活用する努力」が必要なのだ。

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June 16, 2018

道徳「泣いた赤おに」を学ばせるということは・・

 道徳の授業は1つの価値観を押しつけるものではないし、心情の読み取りに終始するべきものではない。宇佐美寛先生の著作を参考にすれば、そもそも1つの価値観で切り取る授業そのものに問題があることになる。

それはそうなのだが、あえて1点。

 たとえば 「泣いた赤おに」を題材にして「信頼・友情」を考えさせる授業ということは、赤おにや青おにのどんな点をピックアップしたいのかを明確にしないといけない。

 赤おにを苦しませてしまった青おにの行動には賛否両論あるが、とりあえず、道徳モデルとして

◆「人間と仲良くありたい赤鬼の希望をかなえるために、自分を悪者になることを申し出た姿が、青おにの『友情』」

ととらえてみる。
 これを、一般化してみると

◆「友達のために、自分の得にならないことでも惜しみなく協力できることが『友情』の1つ」

 たとえば友達のために、自分の持ち物を分けてあげる
 たとえば友達のために、自分の時間を割いてあげる
(たとえば友達のために、自分が身代わりになる・損をする・嫌われる)

といったあたりになるだろうか。


 そういう「無償の行為・自己犠牲」に触れることが、「泣いた赤おに」で道徳の授業を行うことの意味だ。
 そこを押さえないで、ただ「困っていたら助ける」「やさしくする」といった漠然とした「友情」で子どもの発言が終始しているとしたら、それではあまりに深まりがないということなのだ。
 「自分が痛い目にあっても、傷ついても、それでも友達が喜んでくれるならかまわない」という友情モデルのすごさを想像できれば、たとえ実際に自分が真似できなくてもとそれでいい。

 もし、赤おにを批判的に考えさせたいなら

◆いくら自分が人間と友達になりたいからといって、青鬼の悪者に仕立てるような芝居に同意すべきではなかった。

であり、これを一般化すると

◆いくら相手が承諾していても、相手が不利益になるような行為は望まないのがお互いの友情

ということになる。

 親友の献身的な行為に心を打たれるというのは、道徳資料の1つのパターン。
 また、自分の利益を優先するあまり、相手の心を踏みにじってしまうというのも、道徳資料の1つのパターン。

 この資料で学ばせたいモデルは何か、、そこをはっきりさせておかないと、授業の「めざす子供像」があいまいになる。決して1つの価値観を押し付けるつもりはないが、本時で学ばせたいモデルは明確にしておく必要がある。

 ちなみい「思いやり」と「友情」は、線引きが難しい。資料によっては「思いやり」か「友情」か分からなくなることがある。広義には「友情」は「思いやり」に含まれると自分は解釈している。

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June 13, 2018

小集団学習で陥りがちな問題点と対応策

 「授業力&学級統率力」 2012年10月号(明治図書)に書いた原稿
 特集 小集団学習に入れる“共同と競争”の条件

 小集団学習で陥りがちな問題点と対応策 小集団と全体の関係づくり

◆「習得の場面」か「活用の場面」かを意識する◆

1 ある理科の授業

4人グループを8班編成でメダカの観察をさせていた。8つのビーカーにメダカが1匹ずつ入っている。それぞれのビーカーのメダカがオスかメスかを班で相談して見分けていく場面である。
メダカがオスかメスかを決めて黒板の表に書き込んでいく。時間がきたらビーカーを次の班に回していく展開だった。
1つのビーカーにメダカは1匹しかいないので、論点は焦点化される。4人グループだから同時にビーカーをのぞきこめる。8回ビーカーが回ってくるのでメダカの見分け方も習熟できる。
小集団学習の利点が生かされている授業だった。

2 ある国語の授業

4人グループの8班編成でデイベートをさせていた。
肯定側1人・否定側1人・審判役2人の分担を決め、教師の合図で同時にデイベートを進行させる。全員にすべての立場を経験させることをねらったマイクロデイベートの形式である。
一斉授業のデイベートでは、一時間に1回か2回の対戦が限度で、発言者も限定されてしまう。
しかし、グループでデイベートを同時進行させれば、個々のデイベート体験(肯定側・否定側・審判役)も確保でき、議論の仕方も習熟できる。
これも小集団学習の利点が生かされている授業だった。

三 問題のある小集団学習の場面

個々の観察体験を確保したり、話し合いの場数を確保したりするのに小集団学習は適している。
ただし、先の事例の場合も次のような事態が生じたら問題である。

◆一部の子の声に押し切られて、班で十分に議論することもなくオスかメスかが決められてしまう場合。特に班競争の要素が加わると、話し合いが雑になりやすい。
オスとメスの見分け方のポイントを確認するために話し合いの場を設定しているのに、これでは意味がない。
司会の子が全員の意見と理由を聞き、話し合いの末に結論を出すルールを徹底する必要がある。
事前指導がカギである。

◆各班がデイベートを開始している中で、意見が止まったり、筋違いの議論が続いたりした場合。
 各班一斉にデイべートをさせるなら、全員に最低ラインの立論・反論・判定の仕方を習得させておかなくてはいけない。
やはり、事前指導がカギである。

四 習得段階と活用段階の区別

小集団学習は、自分の意見を遠慮なく言ったり、自分の疑問を素直にぶつけたりできる長所がある。一斉学習に比べ、発言の機会も増えるので学習成果も上げやすい。
全員が自分なりの意見を持ち、自信をもっていれば、互いの根拠を確かめながら意見を1つに練り上げていくことができる。
しかし、自分の意見に自信をもてないと、一部の子の意見に引っ張られ、十分な話し合いがされないままにまとめられてしまう。
また、小集団学習は学級内で同時多発的に活動が行われることになるので、教師の目が行き届かなくなる。「指導」ではなく「任す・流す」という時間になりやすい。
『国語教育』十一年三月号で佐藤洋一氏は「『言語活動』中心の授業は『話し合いや説明、発表等の活動が多くなり教科の学習を貧弱にする』というご指摘を伺うことがある。」と述べ、次のように提言している。

============
より大事なのは「子どもの学びの思考過程や事実」をきちんと教師が瞬時に診断でき、的確に評価して子どもに返す、結果的に学力保証の結果責任を果たすことである。そのためにはまず「習得から活用の内容(指導事項のレベル)」が教師自身に見えていること、次に「習得から活用への学習ステップの明確化」が必要である     (一一五頁)

============
子ども同士の話し合いや学び合いだけでは習得できない知識・技能がたくさんある。
「とりあえず班で相談させてみよう」といった安易な授業では、各教科が求める確かな知識や技能は身に付けられない。
「活動あって指導なし」の授業では、結果責任を果たせない。

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June 11, 2018

QAR 問いと答えの関係

Qar2_300


QAR(question–answer relationship)、日本語では「問いと答えの関係」

日本語の文献がなかなか見つからず、英語のサイトにチャレンジしなくてはならなかった。

http://www.readingrockets.org/strategies/question_answer_...

The question–answer relationship (QAR) strategy helps students understand the different types of questions.
By learning that the answers to some questions are "Right There" in the text,
that some answers require a reader to "Think and Search,"
and that some answers can only be answered "On My Own," students recognize that they must first consider the question before developing an answer.

 Google翻訳を参考にして、めっちゃ簡略に示してみると

QARの戦略は、生徒がさまざまなタイプの質問を理解するのに役立ちます。
生徒は質問に対する答えが

(1)「テキストにある(すぐそこにある)
(2)「思えて、探す」
(3)「自分の中にある」

であることを学習し、答えを出す前に、質問を検討する必要があることを認識しています。

 ここでは3つのステップだが、サイトに示された図を見ると、4つのステップがある。

(1)答えは、本文中にある Right There Questions
(2)答えは、考えて探す  Think and Search Questions
(3)答えは、筆者と自分  Author and You
(4)答えは、自分自身   On My Own

 図の中には、もう少し詳しいアドバイスがある。
(1)は5W1Hみたいな内容だとわかる。

(2)以降は、次のような単語が見える。
Summarize   要約してみる
Compare and Contrast 比べてみる
What caused  何が原因かと言うと
How did    どうやって
Retell      もう一度読むと
Find 2example  2つ例を挙げる

(3)
Use your schema and make an Interence using the story
あなたの経験を用いて、そして話を用いて推論せよ

Predict what will happen
何が起きるか予測せよ

What is tha mein idea of
何が本旨かと言うと

What could be another title for
別の題をつけるとしたら

Why did the author write
なぜ作者は書いたのか

(4)
use your schema and tell your opinion
あなたの経験を用いて、自分の意見を述べよ

Have you ever
あなたはいつもどうしてる

How would you feel if
もし~だったら、あなたならどう思う

Context Clues : Infering Meaning
文脈の手がかり:推論 

Good readers figure out unknown words by using
よき読者は、以下を用いて知らない言葉を理解する
① schema         自分の経験
② clues from the text テキストからの手掛かり
③ clues from pictures 図や写真からの手掛かり
④ rereading       再読

 これは、大学入試資料に見られた問いのマトリックスと重なる。

(1)単純な知識理解の答え
(2)論理的思考を要する答え
(3)自分の判断を要する答え
(4)自分の創造力を要する答え

 QARのサイトでは動画も見られるが、もちろん英語!

http://www.vdoe.whro.org/elementary_reading/QAR1-25-2010_...

 まだまだ知らないことばかりである。

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June 09, 2018

「読解力向上」と「論理」の私案

★なぜ「論理」なのか~他者意識の始まりが「論理」のはじまり

文相互の関係・段落相互の関係
1)基本的な考え方=「文の構造」
2)文相互の関係を見抜くための「接続語」
3)段落構成を見抜くための「接続語」
4)筆者の主張を読み解くための「イコールのパターン」
5)芥山先生の主張を読み解くための「イコールのパターン」
6)論理力ノート 「イコール」の関係
7)イコールの関係=paraphrase
具体と抽象の関係
1)「小見出し」は具体的な文章の内容を「抽象化」している
2)「小見出し」の意味 その2
3)論理力ノート 「抽象」の訓練になる「見出し」
4)対比は「抽象化」の手だてである
5)具体的な叙述を促すために「例えば」を用いる
6)具体的な提示がないと議論はかみあわない
7)抽象と具体の整合性を確かめる「ケンカ読み」
8)抽象と具象の能力を試す「2段落構成の作文」
9)抽象と具象の能力を試す「ラベリング」

数学的なアプローチ
1)論理数学的な法則性
2)証明教育
3)証明教育の重要性
4)「東大数学」が求めるロジカルな説明力
5)数学的現代文読解法
6)
数学的推論

三角ロジックの考え方
1)基本構造
2)仮説化のロジック
3)「理由」と「主張」と「大前提」
4)「理由」と「根拠」を分けて考える
5)「理由」と「主張」の往復活動
6)「言葉」と「定義」の往復活動

その他の論理関係
1)「だが、しかし~」の論法
2)論理力ノート 「譲歩」
3)論理力ノート 「弁証法」
4)因果関係=「なぜ」でつながる文脈~フィンランドメソッド~
5)因果関係=「なぜ」で読み解く『ドラゴン桜』の学習法
6)説得力を増すための「比喩」
7)対照実験の論理をつかむ「対比」の思考
8)文中の数値を具体的にイメージする

★トラックバックいただいた方々の論理
 論理エンジンに近い「文単位」の指導
 論理的な思考
 論理的な思考(2)

★自分のレポート
「要約指導」に関わる授業実践レポート
「要約指導」に関わらない授業実践レポート
 

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June 05, 2018

仮説検証のロジック

 昨年の11月に、仮説化の能力について書いた。

 例示は、向山先生の1980年の工業地帯の授業。

◆「〜であれば工業地帯である。(になりやすい)。」
◆「工業地帯であれば、〜である。(見られる。)」という説を創ることができる。
但し、次の条件をつけ加える。
① 自分で調べて証明できると考えられるもの。
② 本などを見てはならない。

 この「仮説化(仮説検証)」の授業は、

 【ある条件】ならば 【主張Aである】という論理に対して、その【根拠】を自分で探す形になっている。

 プログラミングの基礎的な用法に、「If 条件式 Then ...」というのがある。if-thenで条件判定が成立した場合と、成立しなかった場合の2通りに分岐したプログラムを書くことができる。
 対応する文型は、「AならばB」「Aの場合はB」「AするときはB」などになる。
 1980年に向山先生が提起した「仮説化」の授業は、まさに、プログラミング的思考の先駆なのであると言えラる。
 さて、この、向山実践の源流は、向山先生が教育実習で疑問を感じて調べたという「青森のリンゴ」である。
「斉藤喜博を追って」にその記載がある。

「気候が適しているから 青森県は日本で一番りんごを生産している」

→気候は北海道や東北地方と変わらない。
 つまり、気温はりんご生産の要因の1つではあっても、青森県が生産1位になる理由にはならない。

 こうしてみると、「気候とリンゴ生産」には因果関係はあるが、それだけでは青森が生産1位になったことの「原因と結果」を説明できないのだ。

 実際には、 「鉄道」「港」「米作からの転換」「大土地所有制度」「日清戦争」「対ロ貿易」などの条件がが関わっている。「気候→青森のリンゴ」という短絡的な発想がいかに貧弱化が分かる。

 これからの時代はデータ分析が重要だと言われる。
単なる相関関係を、因果関係とすりかえないように、安易な推論に流されないように、ロジカルに疑ってかかる思考スタンスが必要であり、その原型を30年以上前の向山実践に見ることができる。

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June 03, 2018

「深い学び」を促す言語環境の整備

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 「幼児教育における審議の取りまとめ」の資料の中に、次のタイトルのものがある。

◆アクテイブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた、幼児教育における学びの過程(5歳児後半の時期)のイメージ

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/057/so...

 「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」の3つの関連が図示されてあって、とても分かりやすい。
 中でも、深い学びの項目は、小学校でも十分配慮すべき指導内容になっている。

◆直接的・具体的な体験の中で、「見方・考え方」を働かせて対象と関わって心を動かし、幼児なりのやり方やペースで試行錯誤を繰り返し、生活を意味あるものとして捉える「深い学び」ができているか。

【感触・感覚・感動】
すごいなあ・〇〇だね。

【試行錯誤・気付き・発見の喜び】
なぜ・どうして・どうなるのかな・見つけた

【予想・予測・比較・分類・確認】
〇〇かもしれない・〇〇になりそう
〇〇は同じだけど△△は違う


【規則性・法則性・関連性等の発見と応用】
〇〇だから△△になった
〇〇なのは△△だから
△△すると〇〇になりそう
次に〇〇するとどうなるかな

・・・「皆さん、どうですか?」「賛成」といったくだらない話形の指導をする学級をよく見かけるが、上記のような言葉のやりとりと語彙の習得こそ指導してほしい。いや指導というか、先生が率先して使って、自然に子どもから発せられるような言語環境にしてほしい。

 ところで、文科省発行の「言語活動の充実に関する指導事例集【小学校版】」に「児童の発達の段階に応じた指導の充実」の記述がある。
 「つなぎ言葉」に関連する項目のみ抜粋すると以下のようになる。
 幼児期から慣れさせたい発語と、小学校で使わせたい接続語。ここをうまくつなげられたら、論理的思考の指導がうまくいきそうな気がする。
 
【低学年】
○判断と理由の関係を明確にして表現する。
○時系列(例えば,まず,次に,そして,など)で表現できる。

【中学年】
○判断と根拠,結果と原因の関係を明確にして表現する。
○条件文( 例えば,「もし,○○ならば,△△である)で表現する。

【高学年】
○演繹法や帰納法などの論理を用いて表現する。
○規則性やきまりなどを用いて表現する。

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東大数学が求める国語力

 斎藤孝氏の「数学は国語力」の中に、「数独(ナンバープレース)」の魅力を説く箇所がある(あとがきp227)

◆例えば、「このマトリックスで足りないのは、2、4、7、8で、ヨコ軸に2があるから4、7、8が残る」「もしここに8が入ると、他のマスが二つとも5になってしまうから、8はありえない」。この後者のつぶやきをしている時に、「背理法だなあ、これは」と感じたりして楽しかった。(中略)
数独で数字をはめていく作業の最中に、自分が考えていることをすべて言葉にしていくなら、話し方がとても論理的になる

・・・ウイキペデイアにある「数独」の以下のような解答例は、確かにロジカルである。

◆例題の上端横に伸びる赤い線の左端に5があり、上段右のブロックの上段には5は入らない。
同じく、その下の短い横に伸びる赤い線の左端にも5があり、上段右のブロックの中段には5は入らない。
さらに、下段右のブロックの5のある列も上段右のブロックの5の入る候補から排除する。
上段右のブロックのまだ赤線の引かれていない2マスの内、一つは既に数字が確定しているので、残った緑色のマスには5が入る以外にない。

・・・ 先に「偶然は学習ではない」で次のように書いたこととつながる。

◆行き当たりばったりの試行錯誤ではなく、ある程度の仮説や予測に基づいて試行錯誤させるべきだという意味では、プログラミングを実行させる前段階が大事だということになる。

if-then的な思考が数学の問題を解く基本的な思考過程であることが、数独の解答からもよく分かる。
齋藤氏は、数学の解法の過程を日本語で解説していくことの重要さも書いている。

◆東大入試の数学の問題について何人かの東大の先生が言っているのは、「数学を式ばかり並べて終わりと思っては駄目だ。日本語でしっかり説明する努力をしてほしい」ということでした。(中略)
出題している人や採点する人に自分の解答の中で日本語で説明してわからせる、そういう誰が見てもわかるような解答を書く国語的な表現の力、数学はそれが大事なんだよと言っているわけです。
(中略)
なぜ、その式を立てたのか、なぜ立てられたのかを日本語で説明し、こういう条件なので、こういう観点からこの式が立つ。そうすると、次に考えなければいけないことはこうで、今度は別のこの式が成り立つ・・・そういう具合に日本語で丁寧に問い詰めて説明していく力が要求されているわけです。

・・・ 「自分の解法を説明する数学」と「自分の解釈を説明する国語」は、相手に伝わるような論理的な説法という点ではどちらも同じだ。だから数学を解くのに国語力、国語を解くのに数学力が必要というのは、同じ意味なのだ。

 あとがきの言葉が印象的だった。

◆数学は、国語にとって最良のテキストだ。数学のプロセスをすべて日本語で説明してみると、論理的な日本語力が鍛えられるのを感じる。.

 また、あとがきP225には、くだらないエピソードの引用がある。くだらないから印象に残って効果的なのだ。

◆「スケベと変態は違うんです。自分はスケベだけど変態じゃない。でも彼はスケベじゃないけど変態なんです」

・・・この状態について、斎藤氏はマトリックスを用いて、

第一象限には「スケベかつ変態」
第ニ象限には「スケベだが変態ではない」
第四象限には「スケベではないが変態」

と、座標軸として図化できるという。

 整理する=図式化する=記号化する

 よりシンプルに変形させていくことが、数学の魅力ということになるだろうか。

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偶然は学習ではない!

東京書籍の「教室の窓」4月号にプログラミング学習の記事があった。

 プログラミング的思考は「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」とされている。

 榎本竜二氏は、この定義を受けて次のように言う。

◆行き当たばったりの数値を調整して面白い動きを偶然見つけたりするような授業は、プログラミング学習ではない。問題を解決する必要があるのだから、目標通りの正しい動作をしなければならない。また、同質の問題が発生したときにも、手順が再現できるものでなければならない。

◆そのため「このように作れば、こう動くので、この問題は解決する」という予測を立ててから、プログラミングの作業を行わせなければならない。与えられた課題を小さな問題に分割していく過程や、予測どおりの動きになるように修正を行う過程で、論理的思考が活躍する。プログラミング教育というのは、このような問題解決の過程を思考しながら繰り返すことで、コンピュータの考え方や動作の原理を学んでいくことなのだ。

 なるほど!
 最後に「コンピュータの考え方や動作の原理を学んでいく」とあるが、これは、「人間の問題解決の思考過程の原理」そのものなのだと思う。
 行き当たりばったりの試行錯誤ではなく、ある程度の仮説や予測に基づいて試行錯誤させるべきだという意味では、プログラミングを実行させる前段階が大事だということになる。
 「偶然は学習ではない」「プログラミング教育には予測が必要」の言葉は重い。

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