仮説検証のロジック
昨年の11月に、仮説化の能力について書いた。
例示は、向山先生の1980年の工業地帯の授業。
◆「〜であれば工業地帯である。(になりやすい)。」
◆「工業地帯であれば、〜である。(見られる。)」という説を創ることができる。
但し、次の条件をつけ加える。
① 自分で調べて証明できると考えられるもの。
② 本などを見てはならない。
この「仮説化(仮説検証)」の授業は、
【ある条件】ならば 【主張Aである】という論理に対して、その【根拠】を自分で探す形になっている。
プログラミングの基礎的な用法に、「If 条件式 Then ...」というのがある。if-thenで条件判定が成立した場合と、成立しなかった場合の2通りに分岐したプログラムを書くことができる。
対応する文型は、「AならばB」「Aの場合はB」「AするときはB」などになる。
1980年に向山先生が提起した「仮説化」の授業は、まさに、プログラミング的思考の先駆なのであると言えラる。
さて、この、向山実践の源流は、向山先生が教育実習で疑問を感じて調べたという「青森のリンゴ」である。
「斉藤喜博を追って」にその記載がある。
「気候が適しているから 青森県は日本で一番りんごを生産している」
→気候は北海道や東北地方と変わらない。
つまり、気温はりんご生産の要因の1つではあっても、青森県が生産1位になる理由にはならない。
こうしてみると、「気候とリンゴ生産」には因果関係はあるが、それだけでは青森が生産1位になったことの「原因と結果」を説明できないのだ。
実際には、 「鉄道」「港」「米作からの転換」「大土地所有制度」「日清戦争」「対ロ貿易」などの条件がが関わっている。「気候→青森のリンゴ」という短絡的な発想がいかに貧弱化が分かる。
これからの時代はデータ分析が重要だと言われる。
単なる相関関係を、因果関係とすりかえないように、安易な推論に流されないように、ロジカルに疑ってかかる思考スタンスが必要であり、その原型を30年以上前の向山実践に見ることができる。
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