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June 13, 2018

小集団学習で陥りがちな問題点と対応策

 「授業力&学級統率力」 2012年10月号(明治図書)に書いた原稿
 特集 小集団学習に入れる“共同と競争”の条件

 小集団学習で陥りがちな問題点と対応策 小集団と全体の関係づくり

◆「習得の場面」か「活用の場面」かを意識する◆

1 ある理科の授業

4人グループを8班編成でメダカの観察をさせていた。8つのビーカーにメダカが1匹ずつ入っている。それぞれのビーカーのメダカがオスかメスかを班で相談して見分けていく場面である。
メダカがオスかメスかを決めて黒板の表に書き込んでいく。時間がきたらビーカーを次の班に回していく展開だった。
1つのビーカーにメダカは1匹しかいないので、論点は焦点化される。4人グループだから同時にビーカーをのぞきこめる。8回ビーカーが回ってくるのでメダカの見分け方も習熟できる。
小集団学習の利点が生かされている授業だった。

2 ある国語の授業

4人グループの8班編成でデイベートをさせていた。
肯定側1人・否定側1人・審判役2人の分担を決め、教師の合図で同時にデイベートを進行させる。全員にすべての立場を経験させることをねらったマイクロデイベートの形式である。
一斉授業のデイベートでは、一時間に1回か2回の対戦が限度で、発言者も限定されてしまう。
しかし、グループでデイベートを同時進行させれば、個々のデイベート体験(肯定側・否定側・審判役)も確保でき、議論の仕方も習熟できる。
これも小集団学習の利点が生かされている授業だった。

三 問題のある小集団学習の場面

個々の観察体験を確保したり、話し合いの場数を確保したりするのに小集団学習は適している。
ただし、先の事例の場合も次のような事態が生じたら問題である。

◆一部の子の声に押し切られて、班で十分に議論することもなくオスかメスかが決められてしまう場合。特に班競争の要素が加わると、話し合いが雑になりやすい。
オスとメスの見分け方のポイントを確認するために話し合いの場を設定しているのに、これでは意味がない。
司会の子が全員の意見と理由を聞き、話し合いの末に結論を出すルールを徹底する必要がある。
事前指導がカギである。

◆各班がデイベートを開始している中で、意見が止まったり、筋違いの議論が続いたりした場合。
 各班一斉にデイべートをさせるなら、全員に最低ラインの立論・反論・判定の仕方を習得させておかなくてはいけない。
やはり、事前指導がカギである。

四 習得段階と活用段階の区別

小集団学習は、自分の意見を遠慮なく言ったり、自分の疑問を素直にぶつけたりできる長所がある。一斉学習に比べ、発言の機会も増えるので学習成果も上げやすい。
全員が自分なりの意見を持ち、自信をもっていれば、互いの根拠を確かめながら意見を1つに練り上げていくことができる。
しかし、自分の意見に自信をもてないと、一部の子の意見に引っ張られ、十分な話し合いがされないままにまとめられてしまう。
また、小集団学習は学級内で同時多発的に活動が行われることになるので、教師の目が行き届かなくなる。「指導」ではなく「任す・流す」という時間になりやすい。
『国語教育』十一年三月号で佐藤洋一氏は「『言語活動』中心の授業は『話し合いや説明、発表等の活動が多くなり教科の学習を貧弱にする』というご指摘を伺うことがある。」と述べ、次のように提言している。

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より大事なのは「子どもの学びの思考過程や事実」をきちんと教師が瞬時に診断でき、的確に評価して子どもに返す、結果的に学力保証の結果責任を果たすことである。そのためにはまず「習得から活用の内容(指導事項のレベル)」が教師自身に見えていること、次に「習得から活用への学習ステップの明確化」が必要である     (一一五頁)

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子ども同士の話し合いや学び合いだけでは習得できない知識・技能がたくさんある。
「とりあえず班で相談させてみよう」といった安易な授業では、各教科が求める確かな知識や技能は身に付けられない。
「活動あって指導なし」の授業では、結果責任を果たせない。

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