中室牧子氏の講演 「教育に科学的根拠を」
日本福祉大学の文化講演会として名古屋で行われた中室牧子氏の講演会。
非認知能力(GRITや自制心)、エビデンス、因果関係、政策の費用対効果
などしっかり復習するとともに新たなお話も入手できた。
(1)聞き慣れなかった言葉の1つが「可鍛性」。
「人が伸びる可能性」といった意味で用いられていた。
帰宅してググってみたら、中室氏を特集したサイトがヒットして、これまた復習になった。
◆シカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授らの最近の研究によると、認知能力の向上は子どもの学齢が上がるにつれて減少する一方、非認知能力の向上は学齢と無関係で、成人後まで可鍛性があるという。さらに、非認知能力は認知能力を向上させるが、その逆は観察されないという。
2つの重要な非認知能力「自制心」と「GRIT」
2017年05月08日
https://www.recruit-ms.co.jp/issue/interview/0000000566/
(2)もう1つのワードが「taught by somebody」(誰かに教わるもの)」
大学入学者には、高校卒業資格者と、大検合格資格者の2通りがあるが、大検合格者は、高校での様々な体験がないから、非認知能力が低いという結果が出ているという。
これも、ググってみたら、中室氏を特集したサイトがヒットして、こちらも今日の講演と重なるところがあって復習になった。
◆非認知能力とは「taught by somebody」(誰かに教わるもの)と定義している。つまり、「非認知能力」とは、机に向かって1人で獲得できるような類のものではなく、家庭や学校のなかで、親や教師、友人らから「教わって」身につけるものだということなのだろう。
人生の成功を左右する「非認知能力」とは
2017年01月23日
https://www.recruit-ms.co.jp/issue/interview/0000000542/
高校生活の様々な活動は、受験には無用で時間のムダかもしれないが、非認知能力の形成・人格の形成には重要なのだという。
(3)「taught by somebody」や「Googleの20%ルール」の話題もあって、「ムダの効用」ということを改めて考えた。
20%ルールは勤務時間内に与えられた自由時間から独創的なアイデアが生まれる実例である。
これろ同じように、雑談があるから教職員間の指導技術や授業のアイデアはシェアされる。
一見ムダな時間があるから、悩みを相談できる。冗談が言い合えるし、笑いを共有できる。
目の前の授業準備に追われるばかりでは大きな成長は望めない。今の学年の授業には直接関係のない情報にもアンテナを張っておく余裕が必要だ。さまざまな知識がいつか役に立つ。まさに「三年先の稽古」だ。
可鍛性のある非認知能力は、子供だけでなく職員も日々伸ばしていける。
教師自身の非認知能力を伸ばすためには「ムダな時間を削る努力」だけではいけない。「ムダな時間を確保し、有効に活用する努力」が必要なのだ。
「教育」カテゴリの記事
- 行動を価値づけする(2024.09.12)
- 人々が画一化しないために(2024.09.08)
- 「原爆裁判」については、ほとんど知りませんでした!(2024.09.06)
- パラリンピックの理念(2024.09.02)
- 先生が子離れしないと、子どもは自立できない。(2024.09.02)
Comments