因果関係を見抜く「反事実」の考え方
中室牧子氏の「原因と結果の経済学」(ダイヤモンド社)では、因果関係があるかどうかを見抜くことの大切さがけてたら、主張されている。根拠のない通説にだまされないために・データの勝手な解釈にだまされないためにである。
広告のおかげで、今年はアイスクリームの売り上げが伸びた。
のような場合だ。
中室氏は、次の3点でチェックせよと言う。
「まったくの偶然ではないか」
「第三の変数(要因)はないか」
「逆の因果関係はないか」
そして、因果関係を証明するのに「反事実(反実仮想)」を想定し、比較してみよと言う。
◆もし、〇〇がなかったとしたら、どうなっていただろう。
今年は暑かったから、広告がなくても結構売れてたかも。
と第三の要因が浮上するかもしれない
「アイスクリーム総選挙」みたいな特別番組があったら、そりゃあ、そっちの影響の方が強いはずだ。
ただし、中室氏は経済学者だから、あてずっぽうで「反事実」を想定して、あてずっぽうで適否を決めるわけでじゃない。
実際には、もう広告を出してしまったのだから、今さら「もし広告を出さなかったら」という直接の比較をするのは不可能だ。
だから、類似条件で試した実験を比較材料にして検討することになる。これがエビデンス=因果関係を示唆する根拠である。
国語の世界・言葉の世界で因果関係を云々言うだけなら「エビデンス」は要らない。
しかし、経済の世界では「エビデンス」が必要になる。
そこの違いをきちんと自覚しておかねばと思う。
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